ガールズケイリンをはじめよう〜まずは選手を知ろう。

 新年明けましておめでとうございます。旧年中はあんまり更新できませんでしたけど、ブログがニュースの紹介メディアとして他のソーシャルメディアに取って変わられている中で、今後はTwitterなんかでは書きにくい長い話中心にボチボチと更新していきたいと思っております。今後ともどうかよろしくお願いいたします。

さてみなさん(浜村淳風)、GPシリーズどうでした?わたしはガールズケイリングランプリのみの的中でした(2車単)。小林莉子流しです。その理屈は多分加瀬の番手に収まってるだろうなあということです。ヒモは内枠中心に。本線は増茂との裏表。これは増茂が小林の後ろにいる可能性が高いと見たからです。しかし実際の小林の後ろは荒牧でした。これは1枚だけ押さえておきました。

 あのメンバーだと、加瀬がいつものように打鐘から押さえ先行に出て後位が小林以下の内枠勢と外枠の捲り勢で並走になると読みました。そして、加瀬の先行に振り回されて脚力を消耗する外枠勢よりも内で脚をためられる内枠勢が有利と見たわけです。しかし実際は並走にはならず、思いのほか内枠勢が有利となりました。そして男子競輪風にいうと加瀬のズブズブで決まったわけです。

 加瀬が残り2周で上昇した際、誰も追わずに結果単調なレースになったことについて、特に加瀬との2強と言われていた中村由香里がなにもできなかったことに対し、レース後、評論家などから非難の声が上がりました。これはねえ、いつも走ってるレースと賞金のケタが違いますし、第一回覇者そして賞金女王の名誉ももちろんあります。そして加瀬の圧力ですね。加瀬に喧嘩を売れば、加瀬は潰せても自分も潰れます。ラインの守りなどありませんからね。初期は先行有利なところがありましたけど、最近のガールズ上位戦は好位でなるべく脚をためて最後に仕掛けたほうが有利な感じになりつつあります。…ただし、加瀬を除く。

 いやあ、加瀬ちゃんはすごいですよ。打鐘から駆けて逃げ切れるのはこの人だけです。しかも毎回のようにそんなレースをしています。そうですねえ、20年前の吉岡がこんな感じだったんじゃないですか。

 始まって半年が過ぎて、各選手の脚質も固まってきました。7月になると新しい選手も加わりますから、ガールズケイリンをはじめるには今がちょうどいい時期かもしれません。33人しか居ませんからね、特徴をつかむのも割と楽です。ちょっと男子競輪の選手に例えながら主な選手を紹介してみましょうか。

 加瀬ちゃんは吉岡です。そうなるとグランプリで初めて対戦した中村由香里神山雄一郎ということになりましょうか。若い競輪ファンには武田豊樹みたいな感じと言ったほうがいいかもしれません。20世紀末の競輪では吉岡と神山は特別競輪でしか対戦しないようになっていました。実際、中村由香里は自力時代の神山のように、先行も捲りもこなすクレバーな選手です。普段から何十ものパターンを想定した実戦形式の練習をしているそうです。

 グランプリを制した小林莉子は最年少ですが、スタートダッシュの速さでは1,2を争います。そして誰か来れば飛び付き。誰も来なければ突っ張り先行です。男子に例えれば…木本賢二(大阪69期)というのは失礼かな。全盛期かつ冬季の伊藤保文(京都71期)ということにしておきましょうか。

 小林同様突っ張り先行を得意とする選手に中川諒子がいます。ご存知中川誠一郎の妹さんですね。この選手もスタート速いです。そして、小林よりも早めの突っ張り先行を多用します。初期はそういった戦法で抜群の安定感を誇っていたのですが、捲りや追込みが決まるようになった現在では少し末の粘りが課題となっています。男子に例えれば、うーんそうですね、兄をひっくり返した感じでしょうか。

 グランプリで2着に入った荒牧聖未は先行でも捲りでも追込みでもなんでもアリの自在型です。この人に関してはちょっと掴みどころがないといえばないですね。 

 グランプリでわたしが対抗に推した増茂るるこは鋭い追込みを得意とする選手です。個人的には女井上茂徳と呼んでいます。なんとなく雰囲気も似てません?追込みですので早めの仕掛けはほとんどありません。早くてバック捲り。グランプリでは後方からひとり内を追い込んできましたが、ルールの壁に阻まれて直線では脚を余してしまいましたね。

 グランプリ組最後のひとりは中山麗敏です。この人の持ち味はナタで切るような豪快な捲りです。男子に例えるならば、ハマったときの松田孝志(愛媛55期)でしょうか。マニアックですいません。

 え?例えがイチイチ古い?昔ながらの競輪客の方ほどあんまりガールズケイリンに興味をしめさない傾向にあるような気がしましたのでそういう人にも親しめるようにと考えたんですけど…。他にもいい例えがあるよ!グランプリ組以外の選手もこの男子っぽいよ!というのがありましたらコメント欄までお願いします。

 グランプリ組の他に注目すべき選手としては、近時機材の悩みがなくなって急上昇中の渡辺ゆかり。鋭い捲りと追込みを武器にします。先日の今年の開幕戦で予選を逃げ切った重光啓代も今後注目かもしれません。岡山で巨体を活かした豪快な先行といえば…女増成と呼びたいですね。やっぱり古い?ゴメンナサイ。

 まだまだ詳しく紹介したい個性が大勢残っているのですが、今日のところはこの辺で。

元祖メンズギア、あの男が帰ってきた!

 今日はS級戦もなく、お昼のガールズ劇場を観戦、そしてヤラれた後は仕事したりしなかったりとぼんやり過ごしていたのですが、Twitterのタイムラインに流れた玉野競輪公式からのツイートに我が目を疑いました。


 増成!!!増成富夫!!!

 増成富夫が病に臥せっていたのはスポニチ斎藤哲也さんのコラム(参照)で知っていたのですが、復帰戦を走っていたことはこのツイートで初めて知りました。一年ぶりの復帰戦。初日は見事な先行を見せたものの最後ほんの少し末を欠いて4着でした。しかし病み上がりの先行とはとても思えない、巨体を揺らした大迫力の走りです。そして今日の初勝利。バックからゴゴゴ…と(ほんとそんな感じなんですってば)捲り、出切ると、実況の宮原英治さんのボルテージも上がります。「おかえりなさい!増成富夫!」ダイジェストなのに思わず目に熱いものがこみ上げます。

 最近、山口幸二マサ斎藤の引退をはじめとして引退ラッシュもあり、寂しい話題の多かった競輪界ですけど、本当に嬉しい復活劇ですね。哲ちゃんのコラムにもあるように、私生活でも競輪でも常に豪快な選手です。勝っても豪快、負けるときも豪快。まだ20世紀、ほとんどの選手が3.57か3.54のギアで戦っていた頃ですが、当時破格の大ギアだった3.85のギアで戦う選手たちがいました。誰が呼んだか、「男のギア」「メンズギア」。その代表格が増成でしたね。まだ今ほどウェイトトレーニング理論が発達してなかった頃です。多くの「メンズギア」の使い手たちが次々に膝を痛めて戦列を離れていったり下位に低迷するなか、増成は波はあったものの上位で踏ん張って、徹底先行を愛する客の寵愛を集めました。わたし?もちろん大好きですよ。数少ない瀬戸内の鉄砲玉でしたからね。

 増成のように大病を克服した選手に青森の高谷敏史(91期)がいますね。こちらも哲ちゃんのコラムに詳細があります(参照)。高谷も増成と同じく徹底先行の選手です。徹底先行の競輪選手はすごい!

 二人ともずっと練習を仕事としてきたアスリートです。それが長期にわたって病の床に臥せった後、復活するんですから並大抵のことではありません。こんなすごい競輪選手たちのことをもっと世の大勢の人たちに知ってもらいたい。総選挙を前にしてもなんの希望もないこの国に少しでも光を灯してくれる存在なんです。そういった競輪選手達とともに泣き、笑い、悔しがり、戦う時間を共有してくれる人が増えればいいのにな、と心から思います。
 

自転車競技法第4条第5項但し書

 と、このタイトルでなんのことか分かる人いらっしゃいます?え、分からない?じゃあ条文(こちら)引いて下さいよ。

 え、めんどくさい?仕方ないですねえ。じゃあこちらに転記しますね。但し書きだけ転記してもなんのことやらなので4条5項を全文載せてみましょう。但し書きは太字にしますね。

5  競輪は、第1項の許可を受けて設置され又は移転された競走場(以下「競輪場」という。)で行われなければならない。ただし、経済産業省令で定めるところにより経済産業大臣の許可を受けたときは、道路を利用して行うことができる。

 実は道路でも競輪ができるよ!という話なんですけど、この話って知られてるんでしょうか。わたしの観測範囲ではあまり話題にのぼらないようなのですけれども。まあ実際問題道路で競輪やるっていったらまんどくさいですよね。自転車競技法の手続きの他にも道交法上の様々な許認可が必要ですし、コースが広いとそれだけなにかと大変です。今ある競輪場でやるほうが楽かも…。

 ところがですね、ネット投票システムさえ整えれば来年からでも大盛り上がりで二日間の路上競輪ができそうな場所があるんですよ。それはどこかというと宇都宮です。ロードレースに興味がある方はもうピンと来ましたね。そうです、ジャパンカップですよ。やたー、競輪でもジャパンカップができますよ!10万人の大観衆!

 ジャパンカップの主催はどこでしょうか。あら、宇都宮市じゃないですか。ご存知のとおり競輪施行者です。ジャパンカップはすでに20年の歴史を持つ日本最高峰のロードレースです。国内のみならず海外でも認知されています。当然運営ノウハウもすでに蓄積されています。ついでに言いますと競輪補助事業です。

 しかしトラックの競輪とは競技形態があまりにも違います。競輪もロードレースも両方やる方はチーム競技的な性格からくる共通点もお分かりになるかと思いますが、それでもまず走る人数が違いますよね。競輪は9人。ロードレースは200人以上が走ることもありますが、ジャパンカップに関しては14チーム70人です。競輪的に言いますと5人ずつの14分戦です。こんなもん、連勝式車券は現実問題として売れませんから単勝式・複勝式だけの発売になるでしょうか。勝者予想ならばくちをやらない人でも普通にやるわけで、抵抗も少ないでしょう。

 そういえば土曜日のクリテリウムレースには競輪選手や競輪客にもお馴染みのテオ・ボスも出走しますね。上記ははっきり申し上げて夢物語かもしれませんが、このレースがロードレースファンと競輪ファンの架け橋になることを願ってやみません。

競輪の払戻率の引き下げは平成26年4月から?

 最近は生活環境の変化、Twitter競輪ニュースbotの登場などであまり速報性のある情報が提供できず、存在意義(そんなものがあればですが)が問われていた当ブログですが、久しぶりに興味深いネタを見つけましたので紹介したいと思います。

 http://www.city.kishiwada.osaka.jp/soshiki/53/saiken2012.html

 本日WEBに掲載されました岸和田市公営競技事業所の資料です。1つ目のPDFファイルの最後のところ見てください。見落としそうでしたけどドキッとしましたよ。引用します。

払戻率引き下げ
平成26年4月より払戻金率が 75%から70%へ引き下げ
払戻率引き下げにより収益5%増 (26、27年度については収益5%のうちシステム改修に1%、被災地支援に1%配分)

 法改正後オートレースが早速払戻率を引き下げましたので競輪の動向が注目されていましたが、この話が確かなら再来年の4月からの引き下げということになりましょうか。被災地支援やシステム改修を盛り込んでいることから岸和田単独とは考えられず、横並びに全国的に26年度からの引き下げと思われます。ふむう。

 まだ時間がありますからひっくり返る可能性もないことはないですね。注目されるのは先に引下げたオートレースの経営状況です。オートの経営が引下げによって逆に悪くなれば競輪だってやめとこかということになりますからね。控除率の引き下げには、引き下げショックによる短期的影響と、お客の資金が回らないことによる長期的影響が考えられます。今のところオートの収益がどうなっているのか不勉強にして知らないのですが、最低1年くらいのスパンで見ることが必要でしょう。

 競輪客としてはやはり払戻し率の引下げ、しかも5%という法定上限いっぱいの引下げは勘弁して欲しいです。わたしだって楽しく、長く競輪を打ちたいですもん。払戻し率の引下げで持続可能な競輪事業が可能ならそれでもいいのかもしれませんが、そううまくいきますかどうか。早急な日本全体の景気回復や奇跡的な競輪人気の復活を望みたいところですが…。

「希望を抱くのが間違いだなんて言われたら、私、そんなのは違うって、何度でもそう言い返せます。きっといつまでも言い張れます」

 ガールズケイリンのはじまりにあたって、とある物語の終盤で、ある少女が力強く語ったこのセリフを捧げます。

 今までいろんな希望が浮かんでは消えしてきました、この競輪界では。今回も儚い泡かもしれません。が、あえてわたしは希望を語りたいと思います。102期全員輝いています。希望を持ってこの戦いに臨んでいます。そして、コメントを見るとみんな自分の役割をよく分かっています。なにより彼女たちの人生がかかっています。関係者の皆さんは、彼女たちの希望を絶望に変えるようなことだけはないようにお願いしたいです。

 もちろんわたしも客として彼女たちと共に競輪を絶望の淵からすくいあげたいです。しかし、ガールズケイリン始まりました。いきなりデータもなしに予想せえと言われてもちょっと困りますね。模擬レースで蓄積しといて出して欲しかったところです。まあ今さら言うてもしゃあないのですが。男子の競輪と全然違う競技なので出すデータもゼロベースで検討すべきです。そういうことは始まってから分かる部分も大きいですが、周回中何番手に何回いたかと、その位置での連対率なんかあると便利じゃないでしょうか。競艇みたいですけど。あと、開催中と前場所前々場所くらいは枠順と位置と最終順位をセットで見せてくれるとうれしいかな。これも競艇みたいですけど。まあいいじゃないですか。うまいことすれば女子競艇のファンに新たな楽しみを提供できるかもしれません。ちょっとワクワクしませんか。わたしはします。

 もっと書きたいことがあるのですが、まとまらないうちに時間切れです。冒頭の台詞の少女は最後に、希望という概念そのものになりました。彼女たちも競輪を照らす希望になってほしい。寛仁親王殿下に代わって。

広島市の競輪事業あり方懇談会の初会合が行われました。

 記事こちら→(中国新聞)(読売)(毎日)

 とりあえず今回分かったことを列挙してみましょう(前回の記事)。

昨年度の黒字は800万円(各紙)。吹けば飛ぶような金額ですねえ。

施設の耐震化に7億5千万円必要(各紙)。内部留保は10億7500万円ですからその範囲に収まっています。これは存続にはいい材料ですね。

座長は広島大大学院の伊藤敏安教授(中国、毎日)。地域経済がご専門というわけで適任ではないかと思います。教授のブログに公営競技にまつわる記事を見つけました(参照)。記事自体は公営競技の現状分析でして、中立的なものですが、最後の一文がなかなか面白いですね。

来場者の交通費や従業員の人件費などで、地元への経済効果が約20億円(推定)あるとか(毎日)。

ちょっと数字が新聞によって違うのですが、360〜370人の雇用が発生している、と(読売、中国)。ただしこれは70人の選手を含むそうで、雇用問題が発生するのは300人程度のようです。選手の練習地問題はどうなるでしょうか。競輪場の敷地は国有地だそうですので、びわこのケースのように市が取得してくれるといいですけど。 


 でまあ、本格的に議論するのは次回からだそうです。
   

寛仁親王殿下、逝去されました。

 競輪の象徴であり競輪客統合の象徴であらせられますところの寛仁親王殿下が本日午後3時35分、逝去されました。ご冥福をお祈りいたします。ここ数年、殿下は様々なご病気で入退院を繰り返され、寛仁親王牌の季節になると殿下がお出ましになるか否かが大きな話題になってましたけど、もうそういう話題もできなくなってしまいましたね。殿下は競輪場にお出ましの際にはいつも車券を買って観戦なさったと聞いています。

 殿下は以前、皇室の役割として「光の当たっていないところに光をあてるもの」とのお考えを示されていました(参照)。競輪なんて日陰も日陰ですよ。そんな競輪をずっとあの笑顔で照らしてくださっていました。もし今後も競輪のレースにお名前をお貸しいただけるのであれば、これからもずっと競輪を照らし続けていてください、ね、殿下。