TECCと午後の散策

前の日曜日、お受験シリーズ最終回はTECCであった。この前の週とはまた別の
大学で行われた。前回よりもさらにひっそりとした佇まい、よく考えると周囲は、
ここらあたりで屈指の高級住宅街、歩いている人もなんとなくセレブな感じで、
私が入るとやはり、場違い感は否めない。まあ、こんなところへ来るのは、
試験のときだけだから許してもらおう。会場はキャンパスの一番奥にある校舎の
そのまた一番奥の教室。途中に案内板の類は一切なく、なにやら秘密結社の入団式場に
足を踏み入れたような感覚であった。参加予定者は20人、実際参加は18人、
うち男性が15人を占めた。男性の圧倒的に多い中国語試験会場など、そうそう
お目にかかれるものではないと思う。年配者も結構参加されていたが、どう見ても
自分が最年長。ここは一番、満点を取って、貫禄を示さなければいけないと
ばかりに、勝手に自分にプレッシャーをかけていた。最初のリスニング70問は
自分でも驚くほど良く聞き取れた。たいていは2,3箇所、ぼんやりして、
わかったようなわからなかったような気分にさせられることが多いのに、
このたびは、マークするときのチョンボがない限り、全問正解できたと思う。
ここで気を引き締めて、後半のリーディングさえうまくいけば、悲願が達成される
かもしれないと思うや、興奮状態に陥り、後半戦は実に惨憺たる結果となった。
ひとつのミスもしないようにと丁寧に指差し確認をしながら進んでいった。
その点は非常に良かったのだが、時間配分を誤った。あと7分で13問に
答えなければならない。最後の方は難易度が極端に高く、しかも必死に受験者を
陥れようとするような、ひっかけ問題が多い。なので、本文を読まずに、いきなり
設問に飛ぼうとすると危険度がかなり増すため、やむを得ず速読して大意を
つかもうと、必死でもがいた。結果、答えられた部分は相当いけていると思うが、
最終の3問がなんと手付かずに残ってしまった。監督官のオネイサンが
「はい、やめて!」と叫ぶのを聞いてから、その3問にでたらめにマークした。
4択なので、これが全て正解である確率は、1/4 x 1/4 x 1/4 = 1/64でこの時点で
すでに終わっている。教室を出るとき、先のオネイサンが優しく声をかけて
くれたが、放心状態になっていて、なんと答えたのかも覚えていない。
首尾よくいけば、TECCももう卒業かと色めき立ったが、まだまだ長期戦にもつれこみ
そうである。リベンジは来年6月である。試験のあと、家内と待ち合わせて、
キャンパスの周囲を散歩した。1軒だけポツンとある、古本屋さんに入り、
また辞典を1冊買っってしまった。千円なり。でも定価はなんと7,800円、
日外アソシエーツ(なつかしい)社。以前から人名事典が欲しくて、中国でも
探し回ったが、英雄列伝のようなものはあっても、通時的に網羅したものがなく、
あきらめていた。この本は国交回復20周年を記念して刊行されたものらしい
(去年2012 年がちょうど40周年)。当時の駐日中国大使館の1等書記官が刊行
お祝いの文を寄せている。今は昔、人々が日中友好の幻想に酔いしれていた頃の
産物である。可愛い、と思ったのは、編者が中国語の知識がないためか、人名は
日本語読みで引くようになっている。「毛泽东」は、モータクトーでひかなければ
ならない。モー娘は採録されていないが、もしあれば、その近所に落ち着くことに
なる。その上でカタカナ(!)で、中国語音を横に書いてある。マオツォトン。
劉備玄徳からアグネス・チャンまで実に9405人を採録している。生没年不詳の
人もいれば、まだ現役でバリバリ、働いている人も入っている。自分が調べたかった
7人ほどの人名を試しに引いてみて、全て採録されていたので、迷わずにレジへ
走った。おやじさんは典型的な古本屋のおやじさんで、丁寧に袋に入れてくれ、
「古本まつり」の案内もくれた。この本屋はチェックしておかなければ、と思った。
中国語関係の本がやたらと多く、充実しているからである。新古本はほとんどなく、
全て古い年代(10年以上前)の骨董品ばかりである。この店を出て、前の急勾配の
坂道をどんどん登っていった。両側の家は、お屋敷か邸宅というにふさわしい
厳かな佇まいで、日曜日の午後、全てがひっそりとしていた。坂の一番上にある
小さな喫茶店は前面がフランス窓で、外向きに座った。坂の下に見える都会の
街並みが弱い夕日を浴びて、鈍く染まっていて、昔の映画に出てくるような
情景だった。1杯700円のカフェオレは高いけれど、眼前に迫る大きな夕日を
見ながら、本を眺めていられる時間は、やはり至福のときというべきだろう。
試験の失敗もしばし忘れて、気持ちの良い夕暮れを過ごすことができた。


★本日の学習進捗状況
前進なし。ただし聴く中国語ニュースのディクテーション7,8,9月号と3冊こなした。

1.単語帳(Campus Wide)
13冊目 4ページ目(全39ページ、1ページに30単語)

2.祖國的陌生人(6〜275ページ)「向南方」
38ページ目、

3.中国語作文−その基本と上達法(1~253ページ)
47ページ目

4.音読「三国志演義」(10−67ページ)
27ページ目

5.音だけを聞いて長文を暗記する
耳が喜ぶ中国語 13課

•祖國的陌生人 p36-37(向南方)
從漢中前往綿陽的公路,穿越了一座又一座山峰,一座又一座橋樑,我看不見窗外那些高山與谷地,大雨突然滂沱,雨打玻璃的聲音,短促有力,而窗外一片漆鄢迎面而來的汽車的前燈,短暫的打破這鄢暗,提醒我車依舊在開往目的地,而非僅僅是鑽入了無盡的鄢暗。我聞到了那種神秘氣息,其中甚至帶了某種殺氣,如果在此埋下一支伏兵,誰能進入富饒的成都平原。我在穿越蜀道,前往綿陽,富饒擁擠的四川北部。
漢中から綿陽に続く道は、いくつもの山を越え、橋を過ぎる。私には窓の外の高い山や谷を見えない。突然、大雨が降り出し、窓を打つ雨の音はせわしなく力強かった。窓の外の暗闇が前から来る車のライトにしばしの間、引き裂かれる、それで自分の車は決して無限の暗闇に紛れ込んだのではなく、依然として目的地に向かって進んでいることに気がついた。私は何か神秘的な気配を感じた。その中にはある種の殺気すら感じた。もしこの辺りに伏兵でも潜んでいたら、誰も豊饒なる成都の平原に足を踏み入れることはかなわない。私は蜀の道を進み、綿陽を目指した。それは、豊かで人のひしめき合う四川省北部の町である。
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