soba

 【日光】「寒ざらしそば」の仕込みが市内や鹿沼の有志グループの手で始まった。冬の日光の厳しい自然を生かし、商品化に向けて昨年から試験的に取り組んでいる。今シーズンは昨年の3倍に当たる360キロ、3千食分を生産。県内の百貨店やそば店に出荷する予定だ。商工会議所や観光協会なども新たに巻き込み、日光の新しい名産づくりに向けた動きが本格化している。

 かつて雪国の特産として将軍家に献上された寒ざらしそばは、ソバの実を厳冬期の清流や雪原にさらし、あくを抜くことで甘みや風味を引き出す。日光のきれいな水や厳しい自然条件が寒ざらしそば作りにぴったりだという。市内で食品関係の会社を経営する片浦孝人さん(56)や鹿沼市で製粉・製めん業を営む米山慎太郎さん(39)ら有志が昨年から生産を試みている。

 仕込みは天然氷の製氷池に伏流水を引き込み、その清流で日光産と鹿沼産の2種類のソバの実をさらす。水温は1度。水温が高いと実が発芽しようとして良いそばができなくなるという。

 清流に1週間ほどさらした後は霧降高原の雪原で寒風にさらし、その後氷室で保管。春にはそばができる。

 6日に行われた仕込み作業には、日光商工会議所関係者らも視察。「日光の資源づくりに一緒に取り組めれば」と事業化を検討していることも明らかにした。

 来年は1トンの生産を目指すという米山さん。「昨年試験的に作ったところ、夏のギフトなどとしての評判が良く、可能性を感じた。いよいよ本格的始動。楽しみでもあり期待もしている」と話していた。