釧路新聞に依頼されコラムを寄稿しています
今回は山羊のジュリーの事を書きました
『2月24日、メンバーYさんが飼っていた山羊のジュリ−が、天に旅立ちました。昨年末に左前足を負傷し、その後、右前足も痛め立てなくなってしまったジュリ−。
雄山羊のジュリ−は体が大きく、座ったままの状態では、脚が固まり壊死してしまうという事で、元酪農家さんの協力を得て、天井に滑車を取りつけ立たせるための木枠を作りました。
両足の付け根にロープを回し、引っ張り上げなければ立つ事が出来なかったジュリ−ですが、数日後には滑車で少し体を吊ると、後ろ足は自力で立てるようになりました。
自分は食べなくても、キャベツやブドウ、イチゴなど、ジュリ−が好む物を与えていたYさんは、厳寒の深夜1時2時に、体にかけた毛布が脱げて寒くないかと、毎晩ジュリ−の様子を見に行く日々が2ヶ月も続きました。
献身的に介護をするYさんのお手伝いに通い、「えらいねぇー、ジュリ−。治るからね。春になったら、草の上を歩こうね!」と励ますと、顔を上げて私を見つめ、このまま元気になると信じていたのですが、春を待たずに突然ジュリ−は逝ってしまいました。
飼い主さんが決まるまで、保護犬の世話をしてくれているYさんの家で産まれたジュリ−。犬の散歩にどこまでもついてきたり、人を見ると寄ってくる、とても人なつこい山羊でした。
しおんの会のメンバー皆で、ジュリ−にお別れをしましたが、Yさんの家に向かう車のラジオで、シリアの国で爆撃があり、子供たちを含むたくさんの人が亡くなったというニュースを聞きました。
1匹の山羊のために、全身全霊で世話をしたYさんと、子供たちの命を犠牲にしても争いを止めない人たち。眠るように横たわるジュリ−の体を撫で、手を合わせた時、「同じ人間なのに……。」という思いがこみ上げてきました。シリアの子供たち、ジュリ−よ、安らかに。』
記3月6日 代表*福澤