No.1:暗がりに揺れる妖しき光は地を結う 「電灯灯々日々②」

グチャ

足元から微かに臭う血の臭い。
俺の廻りには頭の吹っ飛んだ死体と、血の海が広がっている。

「おぇ・・・」

後ろから嘔吐している音がする。
唯一の友人、『澪野 標識』
まあ、特に何もない一般人だ。

「だから、着いて来るなと言ったのに・・・」
「でもよぉ・・・うっぷ・・・」
「ったく。」
ゆっくりと背中をさすってやる。
本当は知られたくなかった。

俺が復讐代理屋をやっていること。

しかし、知ってしまったら仕方がない。
巻き込むか、殺すしかないのだ。
だったら、と言うことで。
巻き込む事にした。
だが、

「うえぇぇぇぇぇ・・・」

こんなことになるなら連れて来るのだけは止めておけばよかった。
とんだ判断ミスだ。

「もういいか?標識。」
「あ、あぁ。すまん・・・」

標識の吐き気が治まり、バットについた血を拭こうとしたところで、

「うししししっ!!」

その笑い声は聞こえた。

「!?」
「あん?なんだ?」
「上だ!避けろ!!」

ドスンッ

重い何かが落ちる音がして、
それは落ちて来た。

「ッ―――!!」
「標識!!」
標識が声にならない叫びの様なもの上げ、
俺は咄嗟に後ろに下がった。

「ふーん、なかなかなクッションぶりだったよ。おじさん♪」

標識の上に落ちて来たのは俺よりも年下と見える少年。
その口元に浮かべた笑みが嫌にわざとらしい。
よく見ると、あちらこちらに黒い染みが付いている。
特に、口周り。

「君が僕にご飯を作ってくれたのかな?」

・・・ご飯?
何かあったかと、辺りを見渡す。
そして、

辺りには、何もなかった。

あったはずの死体の海すら、
綺麗サッパリ消えていた。

どこに消えた?
いったい、
この数分で、
どこに・・・

「クスクス・・・」

まさか、
こいつが。

「食べたのか?」
「お。ピンポーン!大正解!!」

そんなことって、あるなかよ。
ただの都市伝説だと思ってたが、

『人喰い』食人と呼ばれている『カニバリズム

その都市伝説が、今目の前に・・・

「僕は『悲願 嘆飢』。よろしくね♪」

ああ、楽しそうじゃねかよ。







続く・・・

No.1:暗がりに揺れる妖しき光は地を結う 「電灯灯々日々」

ある日、とある廃ビル。

日差しが強くガラスのない窓からは直に入り込んでくる。

・・・暑い。
とにかく暑くて日陰にいても汗が次々に吹き出てくる。
「・・・朝日奈?」
ボロボロになったフェンスの向こうから同い年ぐらいの青年が顔を出す。
「・・・。」
「無視すんなや。」
「別に、無視はしてない・・・」

彼の名は『朝日奈 雷』
長身細体。左目の下には稲妻の刺青。
どう見たって女にしか見えないが、
列記とした男である。

これだけ聞けばまだマシな青年であろう。
しかし、彼の背負っているそれが、違和感をかもし出している。

黒いバットケースに入れられた銀の金属バット。
ただし、鉛の入った鉄の長いバットである。
もちろん、そのような金属で出来ているのならとてつもなく重い。
地面に置けば、コンクリートでさえも少し窪みができる。
それほどまでに重いものを、

アイツは片手で振り回すのだ。

そう、雷はとてつもない怪力だ。
どこかのバーテン服の男の様に、自動販売機すら軽々と持ち上げてしまうほどである。
まさに化け物だ。

ただ、違和感の原因はこれだけではない。

小脇に抱えた古めの型のテレビ。
これがもう一つの原因だった。

「持っていてくれるか。」
「ちょ、おま!!」
こんな重たいもの持てるか!

バットを俺の側に立てかけ、テレビを手に持ち、

そのままスッポリと頭に被る。

すると、テレビ人間の出来上がりである。
彼はバットをケースから出し、肩に担ぐと、

「行くか。」

一言そう言って出て行く。


さて、これから彼が巻き込まれることに、
俺も雷も、今の時点では、

気づかなかった。





続く・・・

日常と君と、④

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・眠れない。

どうも目が冴えてしかたがない。
布団に入ってからもう何時間も過ぎたが、
寝相を変えてもなにをしてもどうやっても、
眠れない。

しょうがない、なにか飲もう。

そう思い布団から出て、ドアノブに手を掛ける。
すると、

ギィ・・・

向かいの部屋からドアを開ける音がした。
たしか向かいの部屋は、

マキナ・・・?

そっとドアを開け、廊下を覗き見る。
隙間から黒い影が階段を降りるのが見えた。
間違いようも無く、あの面影はマキナだ。

こんな時間に?なんだ・・・?

マキナが階段を降りたところを見送り、
その後をそっとつけてみる。
しばらくするとマキナは庭に出て行った。

庭になんの用だろう・・・

影からこっそり覗いていると、

「・・・いるんだろ?エース。」
「えっ・・・」

・・・バレてた。

「やっぱり、エースだ。」
いつもの笑顔でこちらを向くマキナ。
表面的には夕方のことはあまり気にしていない様だが。

気にして、ないのか?

「なあ、マキナ・・・」
「エース。」
「え、あ、うん。なに?」

びっくりした・・・

「あのさ、今日。七夕だよな。」
「は?」
た、七夕?
「あ、ああ。七夕な。・・・それが?」
「実はさ、」

「俺が好きな人に初めて告白したの、七夕だったんだよ。」

・・・え?
俺が、あの子に告白されたのも、
七夕、だった。





続く




お久しぶりーふ!!
すぎて吹く。
うん。
とくにないかな。
では!
次はあるかな・・・

Re:初恋

初恋は実らない。

そうだとしたら、僕らの恋はどうなのだろう。

初恋が実らなかった彼と、実った僕。

結果はどう考えても同じだ。

結局はどちらの初恋も実った事になる。

それは運命が加速しようとも、

たとえどこかですれ違っていても、

絶対に、確実に、

実っていた、初恋の話。



最初の出会いは、幼稚園で。
その日は窓からはなにも見えなくなるくらいに吹雪いていた。
一歩外に出れば目の前に広がるのは真っ白な銀世界。

「すごい・・・」

思わず口からこぼれた言葉。
ただ、すぐに吹雪の音と怒鳴り声でかき消されたのだが。

「何度言ったら解かるんだっ!!」

そう言って抱き上げられる。

「エースッ!聞いてるのか?」
「聞いてる・・・」

耳元で怒鳴られると、鼓膜が破れそうだ。
正直うるさい。
いつもいつも、小さな事で騒ぎ立てて。
変に心配性だ。
でも・・・

「もう心配させるなよ」

説教の後のこの笑顔は、
唯一の、


好きなところだ。





To be continue...



なんか新しいの始めちゃったよ、オイ。
「日常と君と、」もやるけどさぁ、
うーん、完結するかな・・・?
まあ、頑張るよ。

んじゃ!
次回は「日常と君と、④」だぜ!

ストリップ・ストリッパー

彼は人を食らう殺人鬼。
私は残酷な悲しき人外。

「実に滑稽だな。」

目の前に転がっているのは、その殺人鬼。
ゆっくりと近づきしゃがみ込む。

「…俺に、何しよってんだ。テメェ、」

酷い仏頂面をこちらに向け、不機嫌さが滲み出た態度を取る。
そんな態度を取るのは逆効果だとは知らずに。
所詮は『人間』か。

「さて、遊ぼうか。」

満面の笑みを浮かべ、そっと彼の体に指を走らせる。
その行為の意味を悟ったのか、体を捩じらせ逃げようとする。
これだから、
これだからムカつく。

「やめろっ、やめてくれっ!!」
「今さらだよ。もう遅い。」


本当に、今さらだ。




続く








短っ!!
まあ、続くらしい。
期待すんじゃねぇぞっ!!
では^^

日常と君と、③

まさか、まさかとは思っていたが。
ありえない、こんなこと。
「転校してきた、マキナ・クナギリです。」
もし、この世界に神様がいるのなら、とてつもなく意地悪な神様だろう。

「それじゃあ、マキナの席は…エースの隣だ。」

それも、とびっきりの。


「なあ、エース。」
「ん、なに?ナイン。また宿題やって来なかったの?」
「そうじゃねえよ。まぁ、忘れたけど。」
結局、忘れたんだ。
「じゃあ、なに?」
「いや、転校生のマキナのことだけどよぉ…」
ナインの口から出た言葉に、思わず固まる。
今日はやけに、あいつが出てくるな、
「アイツ、どっかで見たことあんだよなぁ。」
「ふーん、どこだろうね。それよりも宿題はいいのか?次、クラサメ先生の授業だぞ。」
「ああ!!ヤベェ!エース、写させてくれ!!」
まったく、ナインは相変わらずだ。


あー…、やっとお昼休みだ。
今日はどこで食べようか。
「…て、あれ?」
弁当箱が、ない。
そいえば朝、慌てて出て行ったから忘れたんだ…
「最悪だ……」
どうしよう、ナインとクイーンには先に行っててもらうとして…
「お探し物は、これかな?」
「あ、」
机の上に置かれた弁当箱を持つ手を、ゆっくりと遡る。
「…マキナ。」
遡った先には、ニッコリと笑顔を浮かべ、こちらを見つめる今朝も見たばかりの見慣れた(そこまで見慣れてもいないが)顔があった。
「エース、忘れて行っただろ。」
「ああ、ごめん。」
弁当を受け取り、足早に教室を出ようとする。
マキナが呼び止めるのを、無視しナインたちの所へ向かう。
が、
「あら、エースじゃない。あ、マキナも、ちょうどいい所に。」
…本当に、今日はついてない日だ。



……
………
気まずい…
「…なあ、クイーン。なんでアイツを呼んだんだよ。」
「いいじゃない。それに転校生なんだから、仲良くしてあげなきゃ。ねっ、エース。」
「あ、う、うん。」
気まずいなあ。
「あの、俺、邪魔…だったかな?」
場の空気を察したのか、マキナが申し訳なさそうに口を開いた。
「ううん、そんなことないわよ。私たちは平気だから。」
「そっか…」
マキナとクイーンの会話を最後に、そのあとはただただ、無言が続いた。


6時間目も終わり、ようやく自由になる。
「んー……はあ、」
今日はいろいろとありすぎて、疲れた。
早く帰って、風呂にでも入ろう。
「エース、帰ろう。」
うーん、まあ、どうせ家は一緒だし、いっか。
「ん、いいよ。」

「ねえ、マキナじゃない?」

後ろからかかってきた声にマキナが振り向くと、そこには見知らぬ女が立っていた。
「レムじゃないか!!」
「マキナ!久しぶりだね!」
訳が分からず、呆然と立ち尽くしていると、マキナが振り向き女の紹介を始めた。
「こいつはレム。俺の小学校からの幼馴染なんだ。」
「初めまして。レム・トキミヤです。」
嬉しそうにレムと喋っているマキナを見てると、
なんで、なんでこんなに、

イライラするんだろう。

「…ねぇ、マキナ。話が、あるから校舎裏に来て欲しいんだけど。」
「え、でも、エースが…」

「行けよ。」

「えっ?」
「行ってやれよ。僕は平気だから、」
「エース…」
「行けよ!!」

「……分かった。」

「じゃあ、またな。」
そういって、背を向けて歩いていくマキナ。
隣に居るのは、僕じゃなくて、レム。

イライラして、悲しくて、苦しくて…
何なんだろう、この気持ち、
辛くてしょうがない、酷く息苦しい。

「何なんだよ、これ。」

マキナ…



続く



ウピャァ!
なんだこれ、恥ずかし!
ウピャァァァァ!!
でも、書いてて楽しかった^^
では、次回を乞うご期待!!

日常と君と、②

孤児院から、出て行く日。
最後の日に告白されたんだっけ。
しかも、男に。
「君の事が、好きだ。」
始めは、何かの冗談かと思った。
だから、
「僕、男だけど。」
そうやって、からかってやった。

「知ってる。」

返ってきた返事に、僕は驚いた。
知っていた。じゃあ、どうして?
そう質問をしたかったのだが、彼の真剣な表情に思わず途中で言葉を呑みこむ。
「……じゃあさ、1つだけ…条件がある。」
「…?」

「10年後、会えたら付き合う。」



幼い頃の僕は、たぶん混乱していたんだと思う。
だからあんな約束を…
それにしても、
「あ、エース。おはよう。」
…似すぎだろ。
あの時、告白してきた男の子に、あまりにも似すぎている。
ただの思い込みだといいのだが。
「ん、おはよ。」
とりあえずそんな考えを振り払い、あいさつを返す。
この前、家族になったばかりの彼、『マキナ』
僕の義理の母であるエミナさんが、再婚したらしく、その再婚相手の息子が彼で、今こうして一緒に住んでいる訳である。
つまりは、義理の兄弟という訳だ。
「母さん、エースにも朝飯。」
しっかし、慣れるのが早すぎだろ。
数年一緒だった僕でさえも、まだ、母さんなんて呼べず、タメ口も利けず、
「はい、どーぞ。」
「ありがとうございます。エミナさん。」
なんて呼んで、しかも敬語だ。
「そうそう、マキナはエースと同じ学校に行くのよね。」
「ああ、そうだよ。」
「同じクラスになれると、いいわね。」
正直言って、それは無理だろう。
僕の通っている『零式学園』は能力によって、クラスが決まる。
そして僕は最高クラスの『0組』に通っている。
つまりはマキナが僕と同じクラスになる確率は、ほぼない。
まぁ、マキナの実力次第なのだが。
「いってきます。」
食事を終えて、席を立つ。
「エース、もう行くのか!」
「ちょっと、委員会会議でね。」
それじゃ。と言い残して家を飛び出した。


ハッキリ言って委員会会議には、まだ早かった。
けれども、アイツのそばに居ると、あの男の子のことが頭にちらついて落ち着かない。
「最近、疲れてるのかな…」
マザーのことと言い、マキナのことと言い。
…秋だから人恋しくなっているのだろうか、
なんてことも考えてしまう。
「やっぱり僕らしくないな。」
早く学校へ行こう……


「…………ちょ…」

「いい…ちょ…」

「委員長!!」
「うわっ!?」
あー…ヤバイ。
「ごめん…」
「まったく、会議の途中でボォー…とするなんて、委員長らしくないですよ。どうしたんですか?」
まあ、いろいろと…
「あー…うん。で、会議は?」
適当にはぐらかしとこう。うん。
「とっくに終わりました!!チョコボの飼育順、適当に決めちゃいましたからね。」
「えっ、」
何に対して怒っているかは、分からなかったが飼育順を勝手に決められたのは、相当困る。
「ちょっと、ま…」
「んあっ?」
ゴンッ
「痛っ!」
「?エースじゃねぇか、コラ。」
少し大きめの手を差し伸べられ、恐る恐るその手を取る。
「あ、ナイン。」
目の前に立つ体格の大き目の幼馴染の名前を呼ぶ。
『ナイン』は孤児院からの幼馴染の一人だ。
「何かあったのか?」
「んー、いやなんでもない。」
この調子だと、飼育順の件は諦めた方が、良さそうだ。
「ふうん、ま、いいか。それはそうと。」
単純な性格なので、それ以上聞くのはめんどくさいのか、話題を変えた。
「0組に、転校生が来るらしいぜ。」



続く


第3話を乞うご期待!!
エロがぁ((殴