旧・Z会ブログ(移転しました) このページをアンテナに追加 RSSフィード

※このブログは移転しました。

Z会ブログ


2008.01.10

[] 好きを貫く


キャリアの方向性を考える、平たく言うと「どんな仕事をやるか」を考える際には、以下の3つの基準を元にして希望業界や希望職種を決めるというのが、一般的なキャリアデザインの方法です。


  • その仕事は、あなたの好きなことか?
  • その仕事は、あなたの得意なことか?
  • その仕事は、社会(他人)の役に立つことか(必要とされていることか、感謝されることか)?

もし、あなたが、今の仕事が大好きで、他の人より上手にこなせるという自負や実績があり、かつ、あなたの仕事ぶりに対してお客さんが感謝してくれるようなものであれば、あなたはとても幸せなキャリアを掴めていると実感できるはずです。


なお、上記の条件のうち、3つめの「社会(他人)の役に立つ(必要とされている)」という条件を満たしている仕事には、お客さんが喜んで対価を払ってくれますから相応に儲かります。つまり、経済的に成立する仕事だということです。


そこで、「がんばれ社長!」という人気メルマガを発行している経営コンサルタントの武沢信行氏は、自分が「好きで、得意で、儲かる分野」のことを「偉大ゾーン」と呼んでいます。そして、武沢氏は、各人における偉大ゾーンがどこかを見極めその分野の日本一になれるようにがんばるべきだと主張しています。


私もまた、この3つの条件を満たす仕事を選択するという考え方には100%賛同します。


ただ、特に重要なのは、


「その仕事は、あなたの好きなことか?」


という条件だと思います。




こう言うと、「でもさぁ、ただ好きなだけで仕事を選んでも、食っていけるとは限らないよね」という反論をよく受けます。確かにそれはそうなのですが、そもそも、仕事自体が好きになれないと、どんなに儲かったとしても「幸せなキャリア」という実感は得にくいでしょう。儲かってうれしいのはおそらく最初だけで、好きでもない仕事をずっとやり続けることほど、自分の人生にとって無意味であり、つらいものはないはずです。


また、あらゆる分野で「高度な専門性」が要求されるようになった今、四六時中そのことばかりを考え、寝食を忘れて没入するくらいでないと、その道のプロとして認められないという現実があります。したがって、その仕事が好きでもなかったら、寝食を忘れて仕事に取り組むなんてできないわけです。


だからこそ、まず第一に「あなたにとって好きな仕事」が何かを見極める必要があります


「Web進化論」や「Web時代をゆく」の著者でシリコンバレー在住のコンサルタント梅田望夫氏は元エンジニアですが、エンジニアとしてのキャリアをあきらめたのは、周囲に、朝から晩までプログラムを書いたり、電子回路を設計することに没入できる人がいたからだそうです。梅田氏は、そうした人ほどエンジニアの仕事を愛せないし、仕事をそこまで愛している彼らには勝てないと思ったからエンジニアから足を洗ったのです。


梅田氏は、齋藤孝氏(明治大学教授)との対談の中で次のように述べています。


今は、道具(松尾注:PCやインターネットなどのこと)のおかげで、あらゆる職種で時間も場所も関係なく仕事に没入できる。それだけに、仕事において「好き」を貫かないとサバイバルは難しくなるでしょうね。


日経ビジネスアソシエ』2008年01月15日号




ちょっと楽観的かもしれませんが、当初は何が役に立つのかわからない、とても経済的に成立しそうもない変てこな分野や仕事でも、とことん取り組んで極めると、不思議と人が喜んでお金を払うだけの価値が生まれてくるものです。実際、夜景評論家や、ラーメン評論家として生計を立てている人がいることがその証明です。もちろん、そんな特殊な価値を認めてくれる人は限られているかもしれません。しかし、そうした限られた市場と結びつくことが、Web時代には比較的簡単に実現できるのです。


「好き」をとことん貫いてみませんか?


え?、自分は、どんな仕事が好きかわからない?


実は、その悩みがキャリアの最大の課題なんですよね。あなただけが悩んでるわけじゃありません。


次回は、その悩みの解決のヒントを書きたいと思います。お楽しみに!

(次回は2月7日、「Z会ブログ」上にて!)


(キャリア・アドバイザー 松尾順)

2007.12.27

[] キャリアは長丁場だ。簡単にあきらめるな!


私が愛読しているメールマガジンのひとつ、「プレジデントビジョン」の最新号(Vol.640、2007/12/21)の編集後記に驚くべきことが書いてありました。


プレジデントビジョンは、ベンチャー企業の社長に取材した内容が掲載されている無料のメルマガです。現在の発行部数18万部以上。様々な分野のベンチャー企業経営者が、現在に至るまでの苦労話などを赤裸々に語ってくれていて、とても面白く、また参考になるメルマガですよ。


このメルマガの取材、および執筆を行っているのは、(株)ライブレボリューションの社長、増永寛之氏です。増永氏自身も創業時の苦難を乗り越え、自社を軌道に乗せることに成功した優れた経営者。まだ30代前半ながら、明確なビジョンと経営理念を持ち、軸のぶれない経営を推し進めていることがうかがえます。今後どこまで大きな存在になるのか楽しみな、若手経営者の中でもとびきりの注目株だと個人的には思っています。




さて、プレジデントビジョンの編集後記によれば、増永氏が先日、日本を代表し、社会人であれば知らぬものはいない超一流企業の採用担当の責任者に会った際、次のようなことを言われたのだそうです。


「学生なんて、ほっといても何万人とくるんですよ。だから、学生一人ひとりとの対話なんてしたくないです。学生の顔を見て仕事をしていますかって?見ているわけがないでしょう。ナイショの就職協定との兼ね合いで、4月までは面接できません。それなのに5月の連休までに内定を出さなきゃいけない。数百人レベルの内定を出すのに、顔なんて見てないですよ。学生の幸せですか?関係ないですよ。入社後だって顔を合わせないんだから。人間性?そんなのわかるんですかね?」


そしてまた、その会社では、採用は「学歴順」で行われていることも増永氏に教えてくれました。なぜなら、内定を出した時点では活躍するかどうかわからないからです。したがって、採用担当者の評価は、高学歴(有名大学)の人材を何人採ったかで決まります。


また、縁故採用も当然。縁故採用の何が悪いという感じです。なぜなら、有名大企業役員のご子息を採用した方が、一般の学生を採用するより儲かるからです(言うまでもなく、取引企業との関係が強まるからですね)。ですから、一般学生とは別に、縁故採用のための特別枠が大企業では設定されています。




冒頭、「驚くべきこと」と書きましたが、実際には、上記のような大企業の採用方法については、社会人にとってはいまさら驚くこともない周知の事実だと思います(増永氏は、前述の大手企業の採用方法は社会人なら誰でも知っていることだが、就活生はほとんど知らないと指摘しています)。とはいえ、こうした歪んだ採用方法がいまだに根強く続いていることが、大手一流企業の採用担当責任者自身から平然と語られてしまうと、さすがに開いた口がふさがりません。


一方で、相変わらず学生の大手企業志向、ブランド企業志向は根強いものがありますね。どんなに大手企業への就職を希望したとしても、大手企業の採用の実態は上述したとおり。個々の学生の人間性を無視した学歴順の機械的採用で決まってしまうのですが。それでも、学生の大手志向はある意味仕方がないことだとは思います。誰だって、みんなが知ってる大企業に勤めたいものです。このため、社会人の中には、大手企業に入れなかった挫折感を持ったまま働いている方もいらっしゃるかもしれません。



しかし、今改めて認識してほしいのは、最初の就職時にどこの会社に入るかでキャリアの大部分が決まってしまった時代はとっくに終わっているということです。そもそも、「就職」、というか「就社」は、キャリアを形成するための第一歩を踏み出したことに過ぎません。大事なのは、自分はどんなキャリアを作っていくのかであり、どの会社に属しているかは二の次です。以前も書きましたが、「会社」は、自分という主役を演じるための「舞台」に過ぎないのです。


ですから、もし大手企業に入れなかったからといって落ち込むことはありません。近年は、大手企業も中途採用に積極的です。今の会社で経験を積み、能力を磨いていけば、中途で大手企業に入ることは決して夢ではありません。働き始めてからは、どんな能力を持っているかが、学歴縁故よりも重要視されるからです。実際、私の友人の一人は、社員数人の中小企業で働いていましたが、そこで磨いた専門性が認められ、いくつかの転職を経て、現在は誰でも知っているグローバルな大企業への転職を果たしています。



おっと、こんな書き方をすると、大手企業で働くのがキャリアの理想であるかのように私が考えていると誤解されてしまうかもしれませんね。決してそんなことはありません。キャリアの理想は人それぞれです。大企業で働くのが向いている人、中小企業の方が向いている人、私のように独立した方が楽しい人など、自分なりの理想を持てばいい。


ただ、目先の就職や転職に失敗したからといって、簡単にあきらめる必要はないということを申し上げたいのです。キャリアは、最低でも40年は続く長丁場です。敗者復活戦のチャンスは何度もあります。あなたが、どんな状況にあっても決して腐らず、自分の能力を磨き続けさえすれば、自分の望みのキャリアを手にするチャンスをきっと掴むことができるでしょう。


(キャリア・アドバイザー 松尾順)

2007.12.20

[] あなたのキャリアの将来を冷静に予測しましょう!


はたらけど

はたらけどなほわが生活楽にならざり

ぢつと手を見る

ご存知、宮沢賢治石川啄木の詩です。


いい詩ではありますが、内容が内容だけになんだか気分が鬱々としてきますね・・・



私は基本的に明るく前向きな話が好きです。でも時々は厳しい現実をご紹介して警鐘を鳴らしたいと思っています。なぜなら先日も『あなたは「心配症」ですか?』で書いたように、「健全なる危機感」を持つことがキャリアにおける成功のひとつの条件だからです。


「現状のままでは将来うまくいかなくなるかもしれない」という気持ちを忘れないこと。そして、その不安が的中しないように、今自分は何をやるべきかを考えて行動を起こすこと。これは、将来の変化への準備を早めに始めるということです。そうすれば、いざその時がやって来た時に、慌てることなく落ち着いて対処できるというわけです。



話を戻しましょう。


冒頭の詩は、現代で言えば「ワーキングプア」と呼ばれる人々の暮らしを表現したものだと言えますね。毎日休みなくフルタイムで働いても十分な収入が得られず、かつかつの生活しかできない人が世界中で増えています。


これには、まず労働の「非正規化」が進んだことが背景にあります。すなわち、以前は正社員がやっていた仕事が、今はどんどん派遣社員、パート・アルバイトなど正社員よりも低賃金の人たちに移っているということです。企業側から見れば、非正規社員に切り替えたことによって労働コストを削減することができます。しかし、働く側から見れば収入の大幅減を意味するわけです。最近は原油・原材料高が続き、物価が上昇傾向にありますから生活がますます厳しくなっているようです。



さて、以上の話を読んであなたはどう思いましたか。


「自分は関係ない」「大丈夫だ」「なんとかなるだろう」と根拠なく感じるだけだとしたら、ちょっとまずいですよ。また、「今の会社(仕事)は規制で守られているし」だとか、「専門性が必要な仕事だから、そう簡単に首にはできないはずだよ」などと楽観的な見方をしてませんか。


確かに今はそうかもしれません。でも、将来、規制が緩和されて競争が激しくなったら?あるいは、画期的な技術が導入されて、専門的な仕事が誰にでもこなせるものになってしまったら?こうした可能性は絶対にないとは言えないはずですよね。



先日、NHKスペシャルで「ワーキングプアIII」が放映されましたが、日本ではまだほとんど起きていないけれども米国では深刻な問題となっていることが取り上げられていました。それは、専門的な職業であるはずのITエンジニアが次々と職を失い、ハンバーガーショップなど、せっかくの専門能力を活かせない仕事に就いて苦しい生活を送らざるを得ないという現状です。


なぜ、時代の最先端の職業のひとつであるはずのITエンジニアがこんな目に合わなければいけないのでしょうか?


IT業界の方ならすぐにおわかりになると思いますが、システム開発の多くが、今やインドや中国で行われているようになったからです。現地では、インド人や中国人のエンジニアが、米国人の数分の1の賃金でプログラミング等の仕事を請けています。このため、米国人エンジニアには仕事が回ってこなくなったというわけです。



日本では、幸い言語の壁があるためにITシステム開発業務はまだあまり海外に流出してはいません。実は、私は以前ネット系のシステム開発会社に契約ベースで1年ほど在籍していたことがあります。その会社は、開発拠点がリトアニア(バルト三国の1つですね)にありました。日本とリトアニアのエンジニアたちをつないでいたのは、同社の役員を勤めていたリトアニア人です。彼は日本に長く住んでいて日本語が堪能だったこともあり、言語の壁を乗り越え、うまく両者の橋渡しができていました。でも、そうでもなければ、日本企業が海外でのシステム開発に乗り出すことには難があるのが現状でしょう。


しかし、米国の今は、日本の近未来です。日本のITエンジニアに、今米国で起きているような厳しい事態が起こる可能性は非常に高いと思います。もし、この記事を読んでいる方がITエンジニアだったら、そんな事態がやってきた時でも仕事をキープするためには何が必要かまたそのために今どんな行動を起こすべきかをぜひ今のうちから考えておいてください。


また、あなたがITエンジニアでなかったとしても、将来起こりうる社会環境や技術環境の変化によってあなたのキャリアが大きな修正を迫られたり、得意とする仕事が消えてしまう可能性がないか、冷静に、ただし悲観的にはならないように予測してみましょう


何事につけ、「備えあれば憂いなし」ですよ。


(キャリア・アドバイザー 松尾順)

2007.12.13

[] トップ営業に学ぶ就職・転職活動の考え方


「サンプル百貨店」というWebサイトはご存知ですか?


screenshot


このサイトの会員になると、様々な企業のサンプル(試供品)がもらえます。つまり、サンプルを配布したい企業と、サンプルを欲しい消費者をつなぐサービスを展開しているのが「サンプル百貨店」です。現在は、女性を中心に30万人もの会員を抱えて順調に事業を伸ばしています。



このサイトを企画・開発・運営するルーク19(株)の設立者は2人の女性です。代表取締役社長は渡辺明日香さん。同代表取締役副社長は飯島淳代さん。お2人は、「サンプル百貨店」を立ち上げる前は、外資系の大手英会話教材のトップ営業でした。お二人とも、年間販売実績ベースで全世界ナンバーワンになったことがあります。


この2人営業のプロが率いるルーク19ですから、言うまでもなく営業はお手のもの。当初、サンプルを配布したい企業にこの仕組みを提案するに当たっては、実際の店舗に並んでいる商品の裏に記載されているメーカーを調べ、片っ端から営業をかけていったそうです。


実は先日、渡辺さんのお話を聞く機会があったのですが、なるほどトップ営業の方は違うなと感じたことがありました。それは、非常にシンプルですが


「受け入れてくれる人に出会うまで続ける」


ということです。



具体的に渡辺さんのやり方をご紹介しましょう。


現在、「サンプル百貨店」でもらえるサンプルは宅配便で送ってきます。でも、この方法が採用しにくい商品があります。例えばアイスクリームなどは溶けないように保冷状態で送る必要があります。しかし、これだと配送料が割高になってしまいます。つまり、配送コストがネックでサンプル配布ができないケースがあるのだそうです。


そこで配送コストをなんとかできないかと考え出されたのが、引換券のついたハガキを希望者に郵送し、コンビニやドラッグストアで現品と交換できる新しいサービスです。


このサービスを実現するためには、コンビニやドラッグストアの協力を仰がなければなりませんが、同社のように、まだまだ無名のネットベンチャーだと、話を聞いてもらう以前に門前払いされます。


しかし、渡辺さんたちの思考・行動は違っていました。同じ会社でも、何度でも電話をかけなおせば別の方が出ることがある。この新しいサービスに関心を示してくれる人にぶつかるまで電話をかけ続ければいい。これがプロの営業のアプローチなのです。


実際、こうしてコンビニ最大手の中に話を聞いてくれる人を見つけ出し、最終的に同社と大手コンビニとの事業協力関係が成立しました。大手を落とせば他の企業も簡単に追随しますから、その後の営業は楽だったようです。



営業として成功する人の共通点を探ると、営業をかけていた人に断られたからといっていちいち落ち込まないことがわかります。自分や商品が否定されたわけではなく、それは単にその商品を必要としていなかった、話を聞いてくれる人でなかっただけ、とすぐさま頭を切り替えて新しい営業先に向かう。


営業マンとして当然備えておくべき商品知識やコミュニケーションスキルは重要ですが、商談が成立しなかったからといって必要以上に自分を責めたりしない。非常に簡単な話ですが、「買ってくれる客と出会うまであきらめずに営業を続けることが「成功のカギ」のようです。



こうした考え方は、やはり同様に英会話教材でトップ営業だった和田裕美さんもおっしゃっていました。


和田さんは、営業の場面以外でも、就職・転職の際、すんなりと就職・転職先が決まる人もいるけれども、何社も落ち続ける人もいるという例を挙げていました。私にも経験がありますが、採用不可が続くと「自分は社会に必要とされていない人間なのか・・・」などと考えて絶望的な気分になってきます。


でも、本来はそんなに落ち込む必要はありません。トランプのカードを引き続けていいると、いつかは必ず「ハートのA」が出てきますが、幸運にも1枚目で引く人も、逆に50枚目にやっと引く人もいる。つまり、就職・転職活動についても、相性のいい会社との出会いが早いか・遅いかというタイミングの問題なのです。


もちろん、ビジネスパーソンとして自分の価値を高めるための努力は惜しんではいけませんよ。自分はどんな仕事をやりたいのか、どんなスキルを持っているのかといった冷静な自己分析、そして入社を希望する企業の研究も必要です。


しかし、こうしたやるべきことをやっているという自負があるのなら、「就職・転職活動でうまくいかないのは、単に、自分にふさわしい会社との出会いが遅くなっているだけだ」と考えればいいのです。ついでながら、ここで「会社」を「恋人」と差し替えた場合も同じことが言えます(笑)。


(キャリア・アドバイザー 松尾順)

2007.12.06

[] あなたは「心配症」ですか?


あなたは、将来に不安を抱えてますか?くよくよと細かいことが気になりますか?


もしそうだったら、大変結構です!心配症でいいんですよ。


実は、心配症であることは成功のひとつの条件なのです。私は、以前からキャリアデザインにおける基本姿勢のひとつとして「健全な危機意識」の必要性を訴えていますが、この言葉はひらたく言うと「心配症」ということです。




実は、最近聞いた何人かの成功者の話でもやはり重要なキーワードは「心配症」でした。



日本の喫茶店業界に革命をもたらした「ドトール」はもちろんご存知ですよね。


従来の喫茶店は、いわば場所貸し業です。ゆっくりとくつろげる代わりに、コーヒー代は300-500円位します。ホテルのカフェでは、雰囲気代もチャージされて一杯1,000円とかするところもありますね。一方、ちょっと一息のために気軽に立ち寄れ、安くておいしいコーヒーを飲める場所として登場したのが「ドトール」でした。1980年にデビューしたこの新業態は、たちまちビジネスパーソンを中心に大人気となりました。現在の国内店舗数は1000店舗以上に達しています。


さて、ドトールは、創業者の鳥場博道氏が1970年代にフランスに旅行に行ったことがきっかけでした。鳥場氏は、パリのカフェで、朝方、出勤前の人たちがカウンターでコーヒーを立ったまま飲んでいる光景に驚きました。聞くと、立ち飲みと椅子に座った場合で値段が違っていたのです。そして、鳥場氏は、この気軽に飲めるカフェのスタイルは日本でもきっと受けるはずだと直観したというわけです。


実はこの旅行は、喫茶店を経営する同業者の人々と一緒だったのですが、「ドトール」のような新業態を具現化したのは鳥場氏だけでした。なぜ、鳥場氏だけが直観できたのでしょうか。


それは、将来に対する不安がベースにあったようです。70年代といえばまだまだ従来型の喫茶店が流行っていた時期です。目先の経営にはなんの問題もありませんでした。しかし、鳥場氏はこのままの繁栄が長く続くはずはないと「心配」していたんですね。また、当時の喫茶店にはややいかがわしいイメージがつきまとっていたことも気になっていたそうです。


要するに、鳥場氏は従来の喫茶店経営の将来に対して不安で仕方がない「心配症」だったからこそ、同じものを見ても、他の人にはわからなかったビジネスチャンスを発見できたというわけです。



また、短期間で急成長した出版社、幻冬舎の社長、見城徹氏は、自分自身のことを「小さいことにくよくよする人間だ」と言っていますね。でも、「そうでなければ成功しない」とも付け加えています。


「Only the Paranoid Survive.」

−病的なほどの心配症の人間だけが生き残る


というのは、インテル創業者の一人、アンドリュー・グローブの座右の銘であり著書のタイトル(邦題は「インテル戦略転換」)です。将来に不安を感じている人だからこそ、現状に甘んじることなく常に生き残れそうな道を探し続ける。そして必要とあらば大胆な策が打てる。長期にわたる成功を収めている方に共通しているのはこういうことなのです。



ついでながら、TVドラマ「花より男子」で“花沢類”を演じた22歳の役者、小栗旬さんは今年大ブレークして、文字通り「今が旬」と言われていますね。あちこちから引っ張りだこの人気で休む暇もありません。さぞかし舞い上がっているんだろうなと思ってましたが、実はそうではありませんでした。


先日の「情熱大陸」で彼の密着取材の様子が放送されていましたが、「こんな人気が1年後も続いているはずはない」と、かなり冷めた目で自分を見ていました。もちろん目の前の仕事には全力でぶつかっています。それでも、現在の異常な人気に戸惑いを隠せず、ある意味で大きな不安を抱えているようです。彼も結構「心配症」なのかもしれませんね。しかし、実際に彼が「心配症」であったとしたなら、だからこそ、現在の人気に溺れることなく、地道な努力を欠かさず、役者として大成することができるんじゃないかと思います。


(キャリア・アドバイザー 松尾順)

2007.11.29

[] TODAY DECIDES TOMORROW.


こんにちは。

キャリア・アドバイザーの松尾順です。


2年ほど前、仕事で都内の某インターナショナルスクールを訪問したことがあります。そこでもらったイラスト入りの可愛らしいグリーティングカードには、次のような一文が書かれていました。


“TODAY DECIDES TOMORROW.”


直訳すれば、“今日が明日を決める”ということですね。特に誰か有名人が言った名言とか、格言ではなさそうです。でも、たった3つの単語だけの短い言葉ながら、とても深い意味が感じられます。私はひと目見てこのフレーズが気に入り、今でも自宅のデスクの前にこのカードを貼っています。




さて、この「今日が明日を決める」という言葉は、今の毎日の生活の中でどんな行動を選択するかが、未来のあなたの人生に影響を与えるということを端的に教えてくれているのだと思います。未来はどうなるかわかりません。しかし、あなたの未来は、あなたがどんな未来を望むのか、そして、その望みを叶えるために、今現在どんな行動を起こすのかによってある程度決まってきます。


もちろん、100%自分の望みどおりの人生が手に入ることはまずないでしょう。しかし、ただ将来の夢もビジョンもなく漠然と毎日を過ごした場合と比較したら、はるかに充実した人生を手に入れることができるはずです。




私は、この言葉をご紹介しようと思った時、ふと『オーロラの彼方へ』という2000年のアメリカ映画を思い出しました。


これは、ニューヨークに住む父親、フランクと、その息子、ジョンとの間の父子の愛情を描いたものです。ジョンがまだ小さい頃、勇敢な消防士だったフランクは消火活動中に殉職してしまいます。それから30年後、ジョンは既に36歳になっていましたが、ふとしたきっかけで父親が使っていたアマチュア無線機を見つけ、遊び半分でスイッチを入れてみました。すると、その無線機から聞こえてきたのは、なんと30年前のフランクでした。当時、ニューヨークの空に現れたオーロラの影響で時空を超えた通信が可能になっていたのです。


実は、ジョンが30年前のフランクと話した日は、フランクが殉職する日の前日でした。そこで、ジョンはフランクに対して、明日の消火活動中にフランクが死んでしまうことを告げ、消防署長の話によれば、別の脱出方法があったことを教えます。ジョンが言ったとおり、フランクは、翌日の消火活動中に絶対絶命の危機に陥りますが、ジョンの言葉を思い出し、無事火事場からの脱出に成功しました。つまり、フランクは死なずに済んだというわけです。こうして、ジョンがフランクの元々の運命を変えてしまったことによって、この映画は思わぬ方向へとストーリーが展開していきますが、これ以上はネタバレになりますので止めておきましょう。




さて、元々の運命でフランクは、消火活動中に誤った行動を選択したため死にました。しかし、未来を知っていた(正確には「過去を知っていた」)息子、ジョンのおかげで適切な行動を選択でき、命拾いできました。言うまでもなく、これはあくまで映画の中の作り話です。現実の私たちの人生では、誰も自分の未来を教えてくれません。したがって、その都度、自分で望ましいと考えられる行動を選択するしかないわけですが、それが、


自分の未来にどのような影響を及ぼすか


をちゃんと考えているでしょうか?


私たちの多くは、消防士のフランクのような生死を分けるギリギリの選択を迫られることはあまりないと思いますが、将来はどうなるかわからないなどと開き直り、無為な毎日を過ごした先には、不幸な人生が待っている可能性が高いですよね。




すいません、止めておくといった前言を翻しますが、『オーロラの彼方へ』の中から、もうひとつエピソードをご紹介させてください。


フランクはものすごいヘビースモーカーだったため、ジョンが火事場での殉職から救った後も、結局は「肺癌」に罹って10年前に死んでしまうという運命になっています。したがって、36歳のジョンにはやはり既に父親はいません。しかし、ジョンは、30年前のフランクにタバコは止めたほうがいいと強く忠告します。そこで、フランクはこのジョンの言葉に従い、タバコを止めるという選択をしました。すると、36歳のジョンの目の前に、年は取っているものの元気なフランクが現れるのです。


タバコを止める・止めないという選択は本人の自由です。しかし、フランクのように、タバコを吸い続けたことによって早死にすることがあるし、逆に禁煙したことで長生きできるという運命に転ぶこともある。どちらにせよ、フランクのある今日時点での選択が将来に影響を与えたことは確かですよね。




“TODAY DECIDES TOMORROW.”


あなたは、明日のために、今日どんな行動を選択しますか?


(キャリア・アドバイザー 松尾順)

2007.11.22

[] 「D」から始めてみよう!


こんにちは。

キャリア・アドバイザーの松尾順です。


「PDCA」という言葉を聞いたことありますか?


これは、


Plan-Do-Check-Action」(計画段階実行段階検証段階改善段階


の各単語の頭文字を取った略語です。


「Action」(改善)の後は、再び「Plan」(計画)に戻ります。つまり、「PDCA」はぐるぐるとサイクルのように回すことになっています。「PDCA」は、一般に「マネジメントサイクル」と呼ばれています。企業経営に限らず、何か物事をやろうとする際には、この順序で取り組むべきであると説明されています。




さて、このサイクルの中で特に重要なのは「Check」(検証)の段階です。計画に基づいて行動した結果(実績)が、どの程度計画通りに進んでいるかを確認し、もし「計画」と「実績」の間に「ずれ」(差異)があれば、そのずれが発生した原因、つまり行動上の問題点を把握し必要な改善をします。もし、そもそも「計画」自体に無理があるようであれば、計画を修正した上で再び実行するという流れを繰り返して、目標に近づいていくというわけです。


先ほど企業経営に限らずと書きましたが、たとえば試験勉強なども基本的にPDCAサイクルで進めれば効果的、かつ効率的です。計画をしっかりと立てた上で行動に移し、かつ細かく行動や計画を見直していくので、無駄の少ない勉強ができるというわけです。



ただ、どんな時でも「PDCA」の順番でやるべきとは思いません。例えば、まったく未知の世界の何かに取り組もうとする時、全体像が見えないため、きちんとした計画を立てることはそれほど簡単ではありません。このため、うんうん唸ってばかりで一向に計画が立てられず、なかなか実行段階に移れないということが起こります。


しかし、よく考えてみれば、計画を立てることが最終目的ではないはず。目指したいゴールに到達することが本来の目的です。そこで、多少の無駄や非効率を承知の上で、最初は粗い計画のまま(あるいは計画なし)でもいいので、とりあえずやれることから始めてみるという手があります。つまり、PDCAの「D」からサイクルをスタートするわけです。


実際に行動してみると、ただあれこれ頭だけで計画を練っていたのとは異なる手ごたえや実感を得ることができます。そしてしばらくして「Check」、つまり検証してみると、まだ直感的なレベルではありますが、「このやり方でいけそうだ!」、あるいは逆に「これではうまくいきそうもないな・・・」という感触があるでしょう。その時点で、しっかりとした計画を立てればいいわけです。



一切行動しようとせず、机上だけで考えて現実離れした計画を立ててしまい、文字通り「計画倒れ」になるよりも、まず行動してみたほうが実行可能性の高い計画が立てやすい。これは、私自身の経験からも言えることです(もちろん、無計画に行動するばかりを続けていたらダメですよ)。


あなたが、いつも計画倒れに終わりがちだという自覚があったら、一度「D」から始まる「DCAP」のマネジメントサイクルで物事に取り組んでみたらどうでしょうか?


(キャリア・アドバイザー 松尾順)