空中キャンプ

2007-05-14

日本映画界に(たまには)もの申す

今年になってから、あまり日本映画を見ていない。むしろ避けているような気がする。世間は日本映画バブルだというし、邦画の興行収入が洋画を超えて、年間1,000本の新作(DVD作品含む)が撮られているとか。でも見てないの。今年に入ってから、六本だけです。外国映画は、四十本くらい見たのに。なぜか日本映画を見たい感がない。バブルなわりには、ぶくぶく泡立つ感じがしないのはなぜかしら。これはいったいなんだろうなあとおもって、今現在、劇場で公開している日本映画を調べてみた。

さくらん、眉山、東京タワー、アンフェア the movie、大帝の剣、ゲゲゲの鬼太郎、北斗の拳、神童、あしたの私のつくり方、クレヨンしんちゃん、アルゼンチンババア、赤い文化住宅の初子、蟲師。今やっているのって、このくらいかな。で、今挙げたのって全部、漫画もしくは小説、テレビドラマの映画化なのである。調べてみておどろいた。こんなにたくさんの映画が公開されていて、オリジナル脚本がほとんどない。「俺は、君のためにこそ死にに行く」ぐらいですよ、自前で脚本を準備しているのって。まあ、準備したのって、石原だけど…。中には単館系でいくつか、オリジナル脚本の作品はあるものの、やはり比率として数はとてもすくなく、既にあるていど原作が知られているものを映画化するのがほぼ定番になってきている。いやだな、そういうの。今年の興行収入で上位に入った日本映画を調べても、東京タワー、ドラえもん、バッテリー、どろろ、愛の流刑地、大奥である。印象として、すでにできあがった企画を、映画というフォーマットに流し込んでいるだけのような気がする。今年の話題作の中で、自前で脚本を準備したのは、「蒼き狼」くらい(しかし、オリジナル脚本の映画にかぎってどうも擁護しにくいのはなぜかしら。わたしは応援したいのに)。中にはいい作品もあるから、個々の映画の出来不出来はさておくとしても、オリジナル脚本の映画がここまで劇場でかからないというのは、端的につまらないとわたしはおもう。

もしほんとうに日本映画がバブルであるなら、いろいろな種類の映画がどんどん撮られてしかるべきだし、頭をひねって自前の脚本を書いて、おもしろい映画をたくさん発表できる環境があっていいはずなのだ。それができない。つまり、今は出資者はたくさんいるが、お金を出す人は誰もがまず「損をしないこと」を考えているから(まあ、当たり前だけど)、先行して人気や話題性のある漫画、小説、テレビドラマなどを映画化しようとする。漫画を映画化すれば、原作のファンは見にいくだろうし、賞を取った小説を映画化すれば、話題にはなりやすい。そしておそらく儲かる。だから人気漫画や小説の映画化、ドラマ作品や旧作のリメイクが増える。おもしろくないね。せっかくのバブルなら、もっとぐちゃぐちゃの泡まみれになりたい。なんかこう、ぐっとくる映画が見たい。今の状況から、なにかあたらしい作品が生まれるのかとおもうと、なんかそれはむりっぽい気がする。

たぶん、ちゃんと映画を作りたいとおもっている監督はたくさんいるのだろう。でも、今はリスク忌避で安易な企画ばかりが通るから、不服ながら雇われの仕事をしているのかも知れない。そういうのは気の毒だなとはおもう。それにたとえば「あしたの私のつくり方」なんかはすごくいい映画だったし、人気の漫画や小説を映画化することがすべて悪いとはおもってないです。でも、このバブルは自由度が上がったように見えて、単に選択肢が減っただけなのではという気がすごくする。