空中キャンプ

2007-07-28

夏休み

[]「天然コケッコー」を見たゼ!

新宿にて。初日。山下敦弘新作。渡辺あや脚本。よかったです。ぐっときたねー。もう、いろんなシークエンスがひとつひとつせつなくて。山下/渡辺のストーリーテリングの手つきにすっかりまいってしまった。この映画の主人公の持つ繊細さ、他者に対するまなざしといったものを、わたしは歳と共にすっかり忘却してしまっていますが、このようにひとつの映画にして見せられると、なんだか過去の記憶があふれでてくるようで、おもわず自分を省みてしまう。まっすぐで美しい子ども。もちろんわたしは大人だから、もっとずるくなくちゃいけないし、まっすぐである必要はないんだけど、できれば美しくはありたいなとおもう。夏休み映画っぽい雰囲気もあってよかったです。島根県の田舎町に越してきた少年と、彼の同級生となる少女。

やはり主人公のそよ(夏帆)である。この子がねえ、いいんですよ。しっかり目を凝らして、ものごとを見きわめようとしている姿勢というか。立ちふるまいや声なんかも、とってもキュートでね。ひとつ、とてもいいなあと感じたシークエンスがあって、そよは、気になる男の子と一緒にいたいがために、めんどうを見てあげなくてはいけなかった六歳の女の子を放ったらかしにしてしまう。そのことが原因で、女の子はからだの具合がわるくなってしまうのだが、そこでそよは、歳下の子どもの世話よりも男を優先させてしまった自分を「すごく恥ずかしい」と感じる。ここでそよが見せる、うつむいた表情がすごくいいんだよね。はじめて、他のものごとより男を優先させてしまった。そうした、取り扱いのむずかしい欲求に直面してしまった十四歳の女の子。たぶんこれって、この年代の女の子がすごく意識することだとおもうのだ。その相手の男の子ってのも、自分勝手でがさつだったり、かとおもえばそよより繊細な部分があったりと、奥行きがあっておもしろい。会話のよさや、登場人物どうしの感情のやり取りなども、山下/渡辺それぞれのテイストがきちんと感じられて、もちろんクオリティも高く、どれもぐっときました。

大人とのぎくしゃくした軋轢や、子ども同士のちょっと残酷な人間関係などもさりげなく織り込まれていたし、方言の響きがやけに音楽的でおもしろかったということも印象に残った。方言、よかったな。自然もとてもきれいで、外を歩くシークエンスはどれもよかった。そよは修学旅行に行くときに、新調したぴかぴかの靴を履いていたので、その子ども美意識にぐっときました(よそいき感覚)。そよちゃんかわいい。

追記

初日ということもあり、たまたまですが、山下監督の舞台あいさつを見ることができた。ちょっとシャイな感じで好印象でした。ひげも髪もさらに伸ばしていくといいとおもう。もっとキリストっぽいビジュアルに。お客さんとの質疑応答などもありましたが、ちょっと照れくさそうに話していてキュートでしたよ。わたしよりずっと歳下の青年が、こんなにいい映画をどんどん作っているのだとおもうと、たのもしいかぎりです。山下監督はどの作品もハズレないですからね。また、あらためて渡辺あや脚本のよさにもうなりました。以後はいろいろな監督と仕事をしてほしいです。杉作/渡辺とかいいとおもいますね。