空中キャンプ

2008-08-11

[]「ダークナイト」を見たゼ!

歌舞伎町にて。初日。すごくおもしろかった。「光と影」というテーマが、何層にも重なりあいながらストーリー全体をつらぬき、複雑で広がりのある世界観になっていた。この映画は、見直すたびに発見がありそうな気がするし、いろいろな解釈ができそうにおもえる。バットマンシリーズの最新作。

映画の中で用いられる数々のメタファーが、最終的にはすべて「光と影」という共通のテーマにおいて回収されていくのがすばらしい。Dark Knight(闇の騎士)であるバットマンと、White Knight(光の騎士)である新市長。頻出するコイントスのシークエンス(Heads or Tails?)。すべてを裏で操っているジョーカーの存在は影そのものだ。バットマンとジョーカーの対比もとうぜん、光と影であり、また新市長のかつての古いあだなが ”Two Faces” であった点も見逃せない──これは後半においてもっとも重要なポイントになる。こうした暗喩を無数に散りばめていく手法には唸ってしまう。

また、興味ぶかかったのは、ジョーカーがまったく強そうではない点である。あっさり倒されたり、殴られてひっくり返ったりする。肉体的にはまったく弱いジョーカーという描写がより、彼の狂気を強調していくようで、これはほんとうにすばらしかった。ジョーカー役のヒース・レジャーはまさに迫真で、特に中盤の施設爆破シーンでの表情、歩き方など、ジョーカーというキャラクターの狂気がまさに炸裂しており、あまりにリアルでびっくりしてしまう。あの、ちょっとヒゲダンスみたいな歩き方とか、半笑いな感じとか、なんなの。もうすごすぎる。

アクションシークエンスのよさとか、ビジュアル的な気持ちよさなど、映像としてすぐれているのはもちろんなのだが、ここまでストーリーにおける暗喩がきれいに並べられ、メタファーとして完全に機能し、すべてがひとつのまっすぐな物語のラインにおいて回収されているところにはほんとうに驚いた。この社会に光と影があるように、とうぜんひとりの人間の中にも光と影があり、それはコインの裏表のようでもあり、善と悪はつねにお互いを脅かす存在としてあり、善性はきわめて脆弱であり…。これらがすべてビジュアルとして提示されているのはすばらしかった。おどろきました。

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