2008-12-08
■I wanna be just like you
今からおよそ十年ほど前のことである。映画『アメリカン・ビューティー』(‘99)の試写を見終えたトム・ハンクスは、試写室からでるなり「俺、この役やりたかったなー!」とくやしそうに叫んだという。わたしはこの話がとてもすきで、トム・ハンクスが主演の『アメリカン・ビューティー』を想像しては、それがどんな映画になるだろうと考えをめぐらせるのであった。
ケヴィン・スペイシーの『フォレスト・ガンプ』がうまく想像できないように(なんだかすごく不穏な映画になりそうな気がする)、トム・ハンクスの『アメリカン・ビューティー』はどうにもしっくりこない。いくらトム・ハンクスといえども、できないことはあるし、演じることのむずかしいフィールドはある。たとえ一流の役者になったとしても、やはりそれぞれの守備範囲というものがあり、演じることのできる役はあるていど決まっている。
とはいえ、このたとえはとてもハイレベルな部分における「できる/できない」という話であって、もっと身近な生活の場面においても、その人なりの性格や雰囲気は動かしがたい。われわれにはたいてい守備範囲というものがあり、それはたとえば、個々のキャラクターといいかえてもいいのかも知れないが、どんな人でも、自分のキャラクターの中でどうにかやりくりして生きていくしかない。そのことを考えると、悲しいような、笑えてくるような、よくわからない感じになる。
やっぱり自分ってどうしようもなく自分だから、どんなに他の人がうらやましいとおもっても、その人になることはできない。そういうときちょっとへこむね。俺もおまえみたいになれたらいいとおもうよ、ほんとにさ、おまえおもしろいし。というようなことを、わたしも他人に対してふと感じることがあって、そんなとき、自分って脱げねえのかなとおもってせつない。でもそんなこと、トム・ハンクスも考えてるんだろうね。うーん。ラーメン食らって走りだしたい。



