空中キャンプ

2008-12-27

2008年の映画をふりかえる/結果発表

みなさんこんにちは。空中キャンプを書いている者です。今年いちばんおもしろかった映画を、みなさんの投票により、ちょう民主主義的に決定する「2008年の映画をふりかえる」の結果がでました。さっそく、順を追って発表していきたいとおもいます。みなさんからは、あらかじめ以下のフォーマットにてアンケートを集めました。

  1. 名前(id、もしくはテキトーな名前)/性別
  2. 2008年に劇場公開された映画でよかったものを3つ教えてください
  3. 2で選んだ映画の中で、印象に残っている場面をひとつ教えてください
  4. 今年いちばんよかったなと思う役者さんは誰ですか
  5. ひとことコメント

参加していただいた方々の人数と男女比は以下です。

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まずは、参加していただいた方々にお礼を述べたいとおもいます。ありがとうございます! 今まででいちばんの人数、ついに大台の3ケタに到達しまして、よりたくさんの方の意見が含まれた貴重な調査結果になったのではないでしょうか。比率としては、男性六に対して女性四ということで、怖れていたホモソーシャル化が着々と進行していることがうかがえます。ちなみに去年まではまったく同比率でした。わたしはガーリーなブログをめざしているので、来年はもっとキュートでおしゃれな内容に方向転換して(下北沢カフェ特集等)、女性読者の獲得につとめようとおもいました。

2008年についていえば、たくさんの方がおっしゃっているように、ほんとうにいい映画が多く、劇場へいくたびに衝撃が待っている、毎月のようにマスターピースが投入されるという、うれしい一年だったとおもいます。今回は上位10作をリストアップしてみたのですが、通常であれば年間ベスト級の作品であってもなかなか上位に入ってこない、といったハイレベルなランキングになりました。また、トップ10のうち5作品は現在のところ未ソフト化であり、回答された方の多くは、じっさいに劇場へ足を運んでいる人たちであることがわかります。みなさん、ちゃんと映画館いってますね。

今回のリストについては、ほんとうにハイクオリティで、ひとつとして駄作は入っていないし、10本ぜんぶ見てください! と自信をもっていえる、とてもかっこいい投票結果になったと自負しています。これが今年の、映画ファンたちの率直な声だとわたしはおもう。個人的にも、ほんとうに納得のいくリストです。ただし、さきほどもいったように、今年はいい映画がたくさんありすぎて、このリストだけではフォローしきれない良質な映画が多数あることも書いておきたいです。そのへんは、回答者それぞれの方の意見を読んでもらって、興味のわいた作品をチェックするといったかたちで、ぜひたのしんでいただきたいとおもっています。

では結果を見ていきましょう。いやー、ほんとにいい映画ばっかりだなー。どれも今年を代表する作品ばかりで見逃せないです。まず10位。

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『落下の王国』
これ、信じられないくらいうつくしい映像で、見た人がみんな「めちゃくちゃすごかった」「どうやって撮影したの?」とびっくりした、話題の作品です。デヴィット・フィンチャーとスパイク・ジョーンズが共同プロデュース、それだけでテンションが上がるし、内容もとてもいい。映像だけではなく、ストーリーテリングも充実していて、青年と少女が物語の力で再生していくというモチーフも感動的。世界遺跡を背景に撮られた映像はどれもすごくいい! まだDVDにはなっていませんが、もうすぐソフト化されますので、いましばらくお待ちください。そして次に同率の8位が2本。

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『ノーカントリー』
でた、横分け殺人鬼! アカデミー賞も取ったこの作品ですがシガーはやっぱりすごかった。見ているあいだずっと緊張してお腹が痛くなりそうだったし、ドアを隔てて向かいあうホテルのくだりなんかほんとうに怖かったです。薬局の前での車爆破も、まったく後ろをふりかえらない感じがすごくかっこよかった。『アイアンマン』もそうですが、「爆破の後はふりかえらない」ブームの到来を感じています。やっぱりこれはおもしろくていい映画。そして同票でこれも8位。

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『ミスト』
ちょうダーク! 誰もがつい呑み屋でトークせずにはいられない、あのものすごいエンディング。よかれとおもった選択が実は…という、おそろしすぎる展開にみんなが暗い気持ちになったはずである。これはわたしも呑み屋で語りましたよ、つくねとか食いながらさ。クリチャーの造形など秀逸で、とくにそのカラーリング(あろうことか白が基調、その虫きもちわるすぎ!)など実に独特である。DVDの特典には、『ミスト』白黒バージョンもあるらしく(こちらは未見)、そちらもぜひ見てみたいです。そして次は7位。

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『トウキョウソナタ』
これもほんとうによかった。あいかわらず挙動不審な香川照之、そんな香川をものすごい表情でにらむ小泉今日子、そしてなぜか異様におもしろい役所広司(役所さんさいこう!)。後半の、いかにも映画的なフィクションを通過して、また日常へと着地していくようすがすごくいい。作品にすごく現代性があって、今だから描けるテーマになっているところもすばらしいです。家族がテーマの映画は今年わりあいに多くて、なかでも『トウキョウソナタ』はずばぬけてよかった。家族ってなんだろうね、ほんとに。なお現時点ではまだDVDにはなってません。未見の方は、ソフト化されたらチェックおねがいします! 次は6位です。

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『人のセックスを笑うな』
女性人気がとても高かったこの映画。女の人って、『人のセックスを笑うな』とか『SEX AND THE CITY』とか、そんなタイトルの映画ばっかり好きで見てるから、たぶんふだんはすごく淫乱だとおもうんですよね。きっと、いつも性行為のことばかり考えているはずです。いやらしい。って、そんなどうでもいい前置きはさておいて、この映画はほんとうにすばらしかったです。いい映画! 井口奈巳監督の得意技であるロングショットがびしびし冴えわたる、映像的にも注目すべきところの多い作品だったと感じました。永作博美の魔性ぶりが炸裂し、蒼井優はぶっちぎりのリアリティで見る者の心をぐさっとえぐる。女性のみなさんは、永作さんに同化したり蒼井さんに同化したりしながらたのしんでいたようで、こうした女性の「同化」という映画の見方についてはぜひ今後、研究してみたいものです。そして次は4位でまたもや同率が2作品、まずはこれ。

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『崖の上のポニョ』
さかなのこ! 武蔵野の老人がとつぜん大暴走した、ちょう新機軸アニメーション! こんなにアブストラクトな映画を作って、あまつさえ子どもたちに見せてしまっていいのか、とハラハラするような作風は、もちろん今年いちばんの問題作だったとおもいます。「荒れ狂う波の上を疾走する、赤い服を着た女の子」というシークエンスなど、その強烈さとわけのわからなさに言葉を失ってしまう。それはいったいなんですか…。チキンラーメンを食べたかとおもえば、そのまま涅槃まで直行してしまうアナーキー。誰もが毎日うたっていた主題歌は、シングル収録の「のぞみちゃんデモ」がぐっとくるのでぜひ聴いてください。アニメの原点に戻った「動きまくる絵」はすばらしいですね。そしてもうひとつの4位はこれ。

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『僕らのミライへ逆回転』
お金がなくても、たいていのことは想像力と段ボール箱でどうにかなる! ぎっしりつめこまれたアイデアとユーモアで転がっていくストーリーはすばらしく、ミシェル・ゴンドリーにしか撮れないであろうこの展開は、おっさん達までもを号泣させたエンディングへと到達! 「ものを作る」という行為そのものを問いただすかのような、新鮮なクリエイティヴィティを自由に発揮させつつ、アナログ文化の終焉というテーマを、さりげないノスタルジーと共に、ポジティブに描いていく。これ、ほんといいんですよねー。いちばん重要なのは、決してシネフィルの資質を持ちあわせてはいないミシェル・ゴンドリーが、シネフィル的(サンプリング的)手法とはべつの方法論でここまでユニークな作風を確立させていることではないかとおもいました。ミシェル・ゴンドリーさいこう! そしてついにベスト3です。

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『ぐるりのこと。』
これが3位に入ったことはほんとうによかった。文句なしにすばらしい作品。どんなことがあってもお互いの手をはなさない夫婦の物語は、他人といることへの希望をもたらすような、すばらしい仕上がりになっていました。だらしなくなった、弱くなった、元気がなくなったといわれてばかりの男性ですが、「男だってほんとうはけっこう強いんだ」とエネルギーをもらえるようないい映画だったとおもいます。リリーさんかっこいいね。男性7/女性11と、いくぶん女性からの支持が多かったですが、男女問わず見てほしい。これも未ソフト化の作品ですが、発売は来年の二月末らしいので、それまでタイトルを記憶しておいてほしいです。そして2位。

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『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』
前作から待つこと五年、ようやく公開されたポール・トーマス・アンダーソン新作は、なんだか魔物みたいなエネルギーを持った作品でちょうびっくり! PTAが好んで取り上げる「父親」のモチーフを中心に据えつつ、成功をつきぬけてその向こう側へと飛び込んでしまう男のようすが描かれています。これ、説明つきにくいんだよなー。見てもらうしかない。誰もが今、いちばん期待する現役の映画監督となったPTAのとんでもない実力がばっちり発揮されたすごい映画です。ぜったい見るべし! そしてついに1位、残ってるのはこれしかない!

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『ダークナイト』
〇八年、いちばんおもしろかった映画は『ダークナイト』で決定! 今年ここまで話題になり、もりあがった映画はないし、この映画を好きな人もそうではない人も、やはり認めざるをえないなにかが『ダークナイト』にはある。名シーン、繰り返して見たいシーンがたくさんあり、もはや説明するまでもなくかっこいいジョーカーのキャラクターも必見です。これが今年のいちばんおもしろい映画だということは、たった今、ちょう民主主義的に決定しましたので、未見の方はどんなことがあっても見ていただきたい。よろしくおねがいします。ここまでのランキングをまとめたものを表にしました。

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そして今年いちばんよかった役者は、もちろんヒース・レジャーで決まり! ダントツすぎて他の候補がほとんどいませんでした。これもとうぜんですね。いずれにせよ今年は『ダークナイト』ですので、彼の冥福を祈りつつ、映画をたのしみたいところです。

そして空中キャンプ賞ですが、たったひとり、1位/2位/3位の3本を今年のベスト3として選択した、id:dragon-bossさんに決定しました。彼は役者部門でもヒース・レジャーを選んでいるので、完全試合、グランドスラム達成です。あなたはもっともふつうです! たぶん日本でいちばんふつうだとおもう。おめでとうございます。惜しかったのは、メールをくださったアスカさんで、1位/2位/6位を選んでいました。

ということで、ベスト10の解説はここまでで終了です。ここからは、それぞれの方の回答を細かくチェックしていくことになります。こちらはかなり膨大なテキストになりますので、時間のあるときにでも読んでいただけるとありがたいです。さて、最後になりましたが…

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Why So Serious?

空中キャンプ拝