空中キャンプ

2009-06-23

ふたりのインド人と東京を歩く

インド人がふたり、海外からわが社を訪問してきた。IT関係者だ。彼らは外国からやってきてはいるが、同じ会社に属するわたしの同僚である。目的は、サーバやルータといった機器のセッティングだ。とはいえ、わたしはIT的なことはあまりよくわからない。滞在中のお世話係といったところである。見るからにまじめな人たちのようだ。宗教はなんだろう。ヒンズー教なのだろうか。

初日。さっそく、機器が不足していることが判明。セッティングができない。開始五分で作業が止まってしまう。しかたなく、秋葉原へ不足した機器を買いにいくことになった。現物を見てチェックしたいから彼らもくるという。さっそく、インド人ふたりを連れて秋葉原へいった。検索をして、買いたい機器を売っている店は確認をしておいた。雨のなかを秋葉原へ移動する。

めんどうなのは駅構内などでのエスカレーターの乗り方説明だ。外国人はたいてい、エスカレーターの右側に止まって人の進行を塞いでしまう。「あの、止まるときは左側に寄ってください。歩く人は右。止まる人は左。ほら、みんなそうしてるでしょう」「おお、ほんとだね。これって法律?」「いや、法律じゃないです。なんか、その方がいいからって感じでみんなやってるんです」「へー。おもしろいな」。たしかにこの風習はふしぎだとおもう。効率的ではあるけれど、誰もがそれをあたりまえにやっているあたりに国民性があらわれている。

ようやく機器を買い、ごはん。秋葉原駅の周辺にはずいぶんきれいなビルが建っていた。このあたりを歩くのは何年ぶりかわからないが、かなり変わったような気がする。レストランもいくつかあり、このへんでごはんを食べますかと訊いたところ、「インド料理店はないか」という。「いや、ないですね…」と答えると、「じゃあ、マクドナルド」。せっかく日本にきたのに、インド料理かマクドナルドの二択。なぜだろうとおもい「日本のごはんはだめなんですか?」と質問すると、拾ったシュークリームを食べないんですかと訊かれた女の子みたいな顔になって、「ハ、ハ、ノゥ…」と答える。ちょっとくやしい。

しかたなく、秋葉原のマクドナルドでハンバーガーを食べながら話す。「僕、蓮光寺にいきたいんだよね」「へえー」「どこにあるか知ってる?」「たぶん、杉並じゃなかったかな」「スギナミってここから近いの?」「えっと…(といってトレーの上に置いてある紙をひっくり返して地図を書く)ここが今いるところ。秋葉原。それで、ここがあなたたちの泊まってるホテル。そしてここが蓮光寺」「ほとんど反対側だね」「そうです」。なぜいきなり蓮光寺なのかはよくわからない。

翌日。セッティングも進んでまたお昼。「お腹減りましたか? 近くに定食屋さんとかコンビニがあるけどどうしますか?」と訊くと「マクドナルド。もしくはサブウェイでも可」との答え。もう、ばか! それならばサブウェイのサンドイッチを買ってくるというと、「メニューを吟味したい」ということで、ひとりが代表として選出され、わたしと一緒に買いにいくことになった。日本人に任せたら、いったいどんなサンドイッチを買ってくるかわからないとでもいいたげであった。彼らは食にかんしてはどこまでもコンサバティヴなのだ。

インド人とわたしは自転車に乗ってサブウェイへ向かった。彼はおもいのほか自転車の乗り方がへただった。「セッティング終わったら蓮光寺にいくんだよ」「そうなんだ。じゃああとで電車の乗り方を地図に書いてあげるね」「ありがとう。日本のサブウェイってメニューがちがうの?」「どうだろうね。さすがにスシサンドはないとおもうけど」。インド人はぐらぐらしながら自転車を漕いでいた。ごみ焼却場のとても高いえんとつが見えた。”What is that building?” と彼は訊いた。 “That is not a building. That is a chimney” とわたしは答えた。

追記:その後、彼らが偏食なのは信教上の理由であることが判明しました。もうしわけない…。毎日チキンサンドとかチキンバーガーばかり食べているのを見て気がつきました。文化の差異からひとつ学んだ。ばかとかいってごめんね。