空中キャンプ

2010-12-29

2010年の映画をふりかえる/結果発表

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(写真は「ふりかえる」イメージキャラクターのオリーヴさんです)

こんにちは、このブログを書いている伊藤聡ともうします。さて、先日からおこなっていた「2010年の映画をふりかえる」回答募集がようやくまとまり、今年いちばんおもしろかった映画ベスト10が決定しましたので、これからご紹介したいとおもいます。いまとなってみれば、「夏がなんかすごく暑かった」くらいしか記憶がない2010年ですが、映画はどれも見ごたえのあるものばかりでしたので、年末年始のDVD鑑賞にも参考になるかとおもわれます。このような質問内容でした。

  1. 名前/性別/ブログURLもしくはTwitterアカウント
  2. 2010年に劇場公開された映画でよかったものを3つ教えてください
  3. 2で選んだ映画のなかで、印象に残っている場面をひとつ教えてください
  4. 今年いちばんよかったなと思う役者さんは誰ですか
  5. ひとことコメント

今回の参加者は、トータルで179人。協力いただきましてありがとうございましたー! 内訳は以下のようになっています。比率は男性58%、女性42%でした。男女比もちょうどよく、結果として偏りのない作品セレクションになっているとおもいます。

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今年のベスト10についていえば、並べてみるととてもバランスがよく、今年見るべき映画はまさにこの10本だという(ほぼ完ぺきな)リストが完成したとおもいます。どれもおもしろくて印象に残る映画ばかりで、個人的にもいっさい不満がなく、全ての順位が納得できるラインアップです。回答された方々の意見が反映され、良作ばかりが並んだしっかりしたリストが完成しました。とはいえ、今回の調査結果で出たランキングを今年の国内興行収入のベスト10と比較してみると、興行収入のベスト10とこちらのベスト10で重なっているのは2作品のみで、かなりの乖離があることがわかりますし、単館系で上映規模の小さな作品も含まれていますので、規模は小さいながらも支持された、隠れた名作を見逃してしまっている方にも参考にしてもらえるのではとおもいます。では10位から順番にいきますよー!

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十三人の刺客
10位は、三池崇史監督の新作(63年作品のリメイク)。エンタテインメント作品としてのクオリティもきわめて高いのですが、わけても異様な魅力を放射した稲垣吾郎氏の怪演がすばらしく、ことによると稲垣氏は、本作において俳優として別の次元へ到達してしまったのではないかと興奮させられる映画でした。どの役者陣も好演、スリリングな展開もみごとな娯楽作品です。

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シングルマン
9位は、ファッションデザイナー、トム・フォードの初監督作品。初めての監督作品でこれだけレベルの高い作品を撮れてしまう才能も怖ろしいですが、ファッション業界にいながら、虚飾としてのファッションを否定すらしていく生身のトム・フォードが見えるようでもあります。個人的には『アメリカン・ビューティー』にも近い「生の実感」を描いているようにも感じられ、とても胸を打たれました。映像美、スタイリッシュな構成、ファッションなども見どころのすばらしい映画です。

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ローラーガールズ・ダイアリー
8位は、ドリュー・バリモアがついに監督デビュー、ラブリーな初監督作品。個人的にもほんとうに好きな映画です。ガールズ・ムービーですが、男が見てもむろんさいこう! 「見終えた後に元気が出る」という点では、おそらくこの10作中ベストですし、エンドクレジットに書かれた “To All the Girls That Believe They Can ... You Can!”というドリューのメッセージに胸が熱くなる女子が世界中にいるのではないでしょうか。今後のドリュー監督作にも期待大です!

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キック・アス
7位は、公開してから数日後には回答締め切りという条件にもかかわらず、いきなり票を集めて食い込んできた『キック・アス』でした。ヒーローになるとき、それはいま。緑色でできたナイロンのコスチューム(通販で買ったやつ)を身につけ、青年はヒーローへと変身する! という熱いストーリーが感動的であり、おしゃまなヒットガール(aka殺人女児)の超絶アクションがさいこうの見どころ! 映画は公開規模を拡大しながら日本中で上映されていくので、いまから映画館で見るならぜったいにこれです。

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ヒックとドラゴン
6位は、ドリームワークス製の3Dアニメ作品『ヒックとドラゴン』。ていねいに練られたストーリー性の豊かさ、まるでほんとうに空を飛んでいるかのような映像のクオリティ、そしてトゥースレスと名付けられたドラゴンのかわいらしさ。誰もが目を疑ったラストにおける主人公の変化も含め、話題の多い作品でしたね。いまの子どもはこんなにクオリティの高いまんが映画が見れてうらやましいなー。とおもいました。家族の物語としてもすばらしい。ぜひ見てほしい作品です。

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息もできない
シーバーラーマー!! 5位は韓国映画『息もできない』。もともと俳優だったヤン・イクチュンの初監督作品。大作、ビッグバジェットの映画と肩をならべて、低予算のインディー映画が支持され、応援されているというのがすばらしいです。少女とチンピラがそっと痛みをわかちあう、漢江のシークエンスで誰もが号泣メーン! そしてこの映画を見ればまちがいなく誰もが声にだしてしまう卑語「シバラマ」(とても汚い言葉らしいので使用注意!)も、主人公のシグネチャーになっておりとても印象的でしたね。今回のランキングのなかでもいちばん意外な人気、ダークホースでもあり、ぜひ見てほしい映画でもあります。

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トイ・ストーリー3
4位は、ついにトリロジー完結! 『トイ・ストーリー』シリーズ最終作の『3』でした。消費社会、おもちゃの運命、子どものたちイノセンスなど、いままでに提示してきたテーマをすべて描ききり、なおかつ徹底的なエンタテインメントとして最高のクオリティを見せた驚異のピクサー最新作。個人的にはこれが1位ではないかと考えていました。エンディングの感動はとてつもなく、これ以上の終わり方があるのかとびっくりさせられました。なにもかもがすばらしいので、ぜひ見てくださいね。そしてここからベスト3です。

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インセプション
3位は、クリストファー・ノーラン新作。スリリングな作風と、謎の多い展開、そして空中にふわふわ浮いてぐるぐる巻きになったりとか、街がぐわーって折りたたみになったりとか、道路にいきなり列車がぐおーって走ってきたりとかしてすごかったです。作品内ルールのややこしさもまたたのしく、考える快感のつまった作品でもありましたね。さまざまな話題のふくらむ今年の人気作品でした。個人的にもとても刺激的な映画体験ができたとおもっています。

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第9地区
2位は、やっぱり今年はエビの年! ニール・ブロンカンプ初監督作品、エビ宇宙人と人間との争いを描いた『第9地区』でした。異様におもしろい初期設定、やけにリアリティのある世界観、そして主人公らしさからもっともほど遠いふつうの人・主人公のヴィカス。ふだんはいいかげんな生き方しかしてこなかった男が、ついに勇気をだして他人のために行動する、その瞬間の勇気に胸がふるえる! エビと人間はなかよくできるのか? これも最高におもしろかったー! 今年エビちゃんは結婚し、エビ蔵は大ケガ、そしてエビ星人はヴィカスと手を組んで人間と戦う…。必見のSFアクションエビ映画です。

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(500)日のサマー
そして今年もっとも票を集めた映画は、マーク・ウェブ初監督作品『(500)日のサマー』でした。さまざまな場所で話題になり、作風が議論され、主人公トム君のダメっぷりについて(主に飲み屋で)激論が交わされ、テレビドラマで引用され…とトピックが広がっていく映画でもありました。そうした話題性があったのも、やはりキャラクター造形のよさ、感情移入できる場面の多さ、映画としてのルックのよさ、ポップな編集や印象的な音楽の使い方などがすぐれていたためではないかとおもいます。今年いちばんの話題作、未見の方はぜひ見ていただきたいです!

ということで、今年の映画ランキングがこのように決定しました!*1

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DVDの欄は、現時点でDVDが発売されているか否かです。○がついているものは、すでに自宅鑑賞が可能です。

こうして見てみると、今年は初監督でいきなりマスターピースを完成させてしまった人たちが多かったですね。映画を見る人にとっては逆風も多いのですが(海外映画の上映本数が減っていること、単館系の劇場が相次いで休館していること)、来年もまた劇場に足を運ぶ人が増えるといいなーとおもっています。

俳優部門ですが、『サマー』『インセプション』で活躍したジョゼフ・ゴードン=レヴィットさんと、『サマー』『キック・アス』のキュートな女子、クロエ・モレッツさんが同票(12票)でダブル受賞でした。このふたりって『サマー』で兄妹の関係なんだよね。ふたりともおめでとうございます。クロエさんの大暴れが見られる『キック・アス』オススメです!

そして、今年もっともふつうな人(ヴィカスっぽい人)に贈呈される空中キャンプ賞ですが、今年はshowheyさんに決定しました。showheyさんのセレクションは、『息もできない』『第9地区』『(500)日のサマー』でした。うーん、ふつうだ。こんなにふつうな人はあまりいないとおもいますよ。ということで発表はこのあたりで終わりにします。ありがとうございました。みなさんの回答も追って発表いたしますので、こちらもぜひごらんくださいませ。

かしこ
伊藤聡拝

*1:あと、もしかしたらよその国の人が見るかもしれないので、英語版も作りました。
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