11 西寧編2(蘭州−西寧)

蘭州〜西寧移動

(2012年3月のお話。前の話はこちら

さて蘭州〜西寧への高速バスに乗り込む。「高快客」という区分のバスで、車自体も新しく、なにやら少し高級感がある。値段もやや高く、58元。14:30蘭州発車、17:30西寧着で、途中張家寺で1度休憩があった。時刻通りの出発、到着。そしてなんと、服務員が1人付いているのである。通常のバスでも、お金を集めたり途中からくる人を乗せたり、運転手の他に車掌的な人が1人同乗してはいるが、運営が主業務で、サービスはとくにない。それが今回のバスでは発車後に、
「本日はご乗車ありがとうございます。このバスは蘭州発西寧ゆきでございます。17時半の到着を予定しており、途中張家寺で1度休憩いたします…乗車中気分が悪くなったり、お飲み物がほしい方がいらっしゃいましたら、遠慮なく申し付けください。薬や飲みものを用意してございます…」
とアナウンスを始めたので、どびっくりした。おお…なんだこれ…。
中国でこんなにサービスのよいバスに乗ったのは、初めてである(そして今のところ、最後である)。いずれはこういう風になっていくのであろうか。まあ、観光路線だけだとは思うが。
車窓からの景色は、荒涼とした山々が続く。太古の地層が断崖にむき出しになり、延々と続く縞模様。そして集落内を通り過ぎる時には、無限とも思える農作物用屋根の骨組み(長辺片側が土壁のビニールハウスのようなもの、ただしビニールではなく蓆で保護するよう)が連なる。決して豊かではなさそうな土地柄、チンクー麦(青稞)でも育てているのだろうか。

西寧近く、高速道路から石窟らしきものが見えた。後でわかったが、これは市の外れにある北禅寺であった。

17:30に西寧新寧路バスターミナルに到着。市街の西のはずれにあるバスターミナルに着いてしまった。予約していたユースホステルは東のはずれなので、ちょっと焦る。このターミナルは真新しくて、この高快客線と共に新設されたものかもしれない。あまりに遠くてバスでも大変そうなので、タクシーに乗る。西寧の初乗りは6元。ユースまで16元かかった。着いたらもう18:20、日が沈み始めてしまった。

西寧散策

ユースに関する情報は後回しにして、後日分も含めた西寧の街歩きについて。
西寧の標高は2300m。着いたその日の夜は頭がぼおーっとした。うっすらと高山病の気配。以前訪れた雲南省シャングリラの3300mと比べれば大したことないような気もするが、頭痛と、ほんの少しの息苦しさが、ちょっと怖かった。スーパーに行くと、スナック菓子の袋がぱんぱん。視覚的に高地を感じる。

西寧は青海省省都で、近代的な都市である。街の北端断崖上にある北禅寺から見下ろすと、西寧の街が一望できる。高速道路、高層ビルといった町並みは、中国の他の都市と変わらない。変わらなすぎて、つまらない。

市内中心部、中心広場附近。普通にファッションビルがあったり、地下街には店があふれていたり。当然だが、漢族がほとんど。西寧の人口の8割は漢族らしい。次に多いのは回族で、街中には清真食堂(イスラム食堂)が多い。

西寧駅近くの西寧バスターミナルに行ってみると、周囲には回族はもちろん、チベット族の姿が目に付く。分厚い布団のような綿入れで作った、袖の長いチベット族の衣装。それを片肌脱ぎにし、大きな石のアクセサリーや銀の垂飾りをつけている女性たちが、かなりかっこいい。


回族が多いということは、当然モスクも多い。大小のモスクがいくつも目に付く。

そして北禅寺に向かう途中で見かけた、墓石屋。よく見る漢族式の墓石に混ざって、回族のものと思しき墓石もあった。月と星のマーク、ウイグル文字。

ここでも人気の刺繍ショップに立ち寄ると、イスラム図柄の刺繍キットがたくさん。描かれた文字は、コーランの文句だったりするようだ。旅行する先々で、ご当地図案の刺繍を探して刺繍ショップに立ち寄るのだが、さすがにこのイスラムシリーズは、買う気には(やる気には)ならないのだった。雲南では少数民族の図案のを買ったけど。

そしてスーパーで買った、チンクー麦(青稞)のミルクティー。特別な味はしなかったが、これも青海特有の食品。青稞は白酒の原料にもなるし、様々な食品に利用されている。このミルクティーには、「ヤクみたいなスタミナ(がつくぞ)」と書かれている。栄養価が高いらしく、ヨーグルトに入っていたり、お菓子に入っていたりもする。