インダスの考古学


インダスの考古学 (世界の考古学)

インダスの考古学 (世界の考古学)


 先日読み終えた『インダス文明の謎』よりもちょっと前の本。
 そして、『インダス文明の謎』が強大な王権によるトップダウンの支配、というインダス文明イメージに否定的だったのに対して、こちらの『インダスの考古学』は支配者はいた、という立ち場で書かれていました。
 個人的には、前者の方が論拠となる事実が多く挙げられていて、また科学的でもあり、そちらに軍配あげたい気分になったりもしましたが。まぁ所詮一般向けの概説書からの判断なので、本格的に議論するならもっと情報収集する必要がありましょうな。


 とはいえ、この本自体はものすごく面白かったです。個々の遺跡の見取り図、出土品、その他の詳細なデータも多く、またそれぞれの特徴も分かりやすくまとめられていました。同じシリーズの『ギリシャの考古学』が、個別の遺跡の話があんまり出ずに、ただ土器編年が五つに分かれて云々、っていう結論だけが書かれてて、それがあんまり面白くなかったのでこのシリーズを警戒していたのですが、杞憂だったようです。
 アマチュアながらに自分で考えるのが楽しくて、こういう本読んでるんだもの。結論よりも具体的な出土品やデータを、つまり考える材料を提供してくれる事を、この手の本には期待しているのですよ。
 まぁそういう意味で、この本は非常に良書でした。いずれ自分用のウィキに自分なりにまとめなおしたいと思います。