カオスの縁 ――無節操日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007-03-21 深夜にこっそり更新

[] 空の境界 下巻 03:24  空の境界 下巻 - カオスの縁 ――無節操日記 を含むブックマーク  空の境界 下巻 - カオスの縁 ――無節操日記 のブックマークコメント

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空の境界 下 (講談社ノベルス)

空の境界 下 (講談社ノベルス)


 読了。けっこう時間かかりました。


 とりあえず下巻は上巻よりは面白かった。各エピソードそれぞれに印象付けが明確だったし。

 ただし、やっぱりアラは目立ちますね。言葉遣いが乱暴だったり、伝わってくるビジョンが明確でなかったり。あと京極作品にインスパイアされたらしい、類似した道具だてやテーマや話題はかなり目に付きました。まあ、これは年代的に京極の影響を受けた作品群にはある程度共通して見られる特徴なんですけどね。京極みたいな博覧強記、そして語りを自分でもやりたいと思いつつ、そう簡単に京極に比肩できるレベルの引き出しなどできない結果、道具立てや理論立てや話題が大元の京極とほぼ同じになってしまうというケース。


 そういう意味では、やはりクオリティとしては「同人で出すレベル」ではある。


 けど、じゃあこの話を「このくらいのものなら俺にだって書ける」なんて言える人はほとんどいないでしょう(笑)。そこはやはり、奈須きのこという人のダイヤの原石だったんでしょうね。設定の奥行き、テーマ性の突き詰め、そして道具立ての魅力など。

 特に、彼の持つ問題意識のうちでも、「殺人」というテーマへの掘り下げと捉え方は独特で、ただ大上段から「人の命は地球より重い」などと言明するのとは一線を画していると思います。この点がさらに発展して『月姫』になり、多くの若い受け手の共感を得たのでしょう。

「教えてやる、これがモノを殺すっていうことだ」という『月姫』主人公のセリフは、やっぱり今という時代、その揺らいでる部分を見事に撃ち抜いていたんだろうな、と。

 この『空の境界』は、そうした部分の原点なのかもしれません。


 なにげに、橙子さんも鮮花さんも結構キャラに愛着はあったので、エピローグでもちょっとぐらい顔を出してほしかったけど、蛇足かなぁ。

 ともあれ、面白かったです。終盤の式の心情描写とか、ちょっとだけぐっときてしまったり。


 映画化もされることだし、時間に余裕があったら読んでみるのも悪くないかも。ただし上巻の序盤は読み飛ばすこと(笑)。


 ……あ、巻末の笠井潔の解説読んでねぇや。

 まぁいいか。

ScullScull 2007/03/21 12:34 いいでしょ、孫子。今度は是非、老荘、韓非子も読んでみて欲しいな!
よろしく!

zspherezsphere 2007/03/22 03:58 どうもです。
中国古典はやっぱり、含蓄が深くて良いですね。心が洗われます(笑)。
論語、老子、孫子は読んだので、あとは荘子……韓非子もですか(笑)。そうですね、いずれ読んでみたいと思います。
また気まぐれに感想あげることもあるかと。

2007-02-16 スプリングハズカム

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空の境界 上 (講談社ノベルス)

空の境界 上 (講談社ノベルス)


 映画化が決まったとかで、まあそれを機に読んでみようかな、とか思った次第。同人ゲーム月姫、そして『Fate/Stay night』のシナリオを手がけた奈須きのこ氏の長編小説。販売当初は売り切れ続出だったとか何とか。


 まず率直に思ったこと。文章が厳しい、というか端的に読みにくい。

 元が同人作品である事を差し引いても、さすがに悪文過ぎるきらいがあります。ところどころ、日本語がそもそも間違ってるとかあるし。


 そして、この作品の大元がHPでの連載小説だったそうですが、そのせいか基本的に連作短編集に近く、四つぐらいのエピソードがこの上巻に収められています。

 で、その最初のエピソードが、何が起こったのかも、何が言いたいのかもしたいのかも分かりにくい――というか分からない。

 そこが致命的にもったいないですね。

 もし、この作品の作者があの月姫』の人だという事前知識がなければ、8割方は途中で読むのやめると思います。それくらい、読みにくい。


 二つ目のエピソード辺りから面白くなってくるんですけどね。浅上藤乃さんだっけ? 彼女が出てくるエピソードあたりから、ようやく物語の結構が整い始める感じ。


 なんだろうなぁ。やっぱり、奈須きのこ独特のケレン味とか、独創、空気とかもあるし、面白い部分もあるんですけど……全体的に読みにくさがあって、それが邪魔をしている感じ。

 あと、もともとこの人の文章自体、PC上のノベルゲームだから読めてた部分というのも若干あります。背景やキャラの立ち絵があり、それらの情報を文章で述べなくて済むからかろうじて我慢して読める程度のボリュームに収まっていたとでも言いますか。

 あと、文字密度的にも、PC上で大き目の活字で、マウスのクリックでテンポよく読む方が多めに分量を読めるのかも知れません。

 どうも書籍にしてしまうと、彼の文章は段々胃にもたれてくる(笑)。


 そういう意味で、やっぱり、ちょっと読みにくさが先行してしまった、という感想でした。


 あ、あと。

 上巻最後のエピソードで出てくる建物ですけど。

 もうなんか、平面図とか出てきて、何だこれ探偵小説か? みたいな感じでしたが(笑)、まあフィクション上の建物に建築基準法がどうとか言うのは野暮だろうとは思いますが。

 あのビルに住んでる人たちってさ、洗濯物干せないよな(笑)。


 とりあえず、下巻も読む予定。