組合管掌健康保険、保険料負担増大の可能性

 東京新聞健保、赤字最悪6300億円 08年度 高齢者医療拠出で増加、より。

健保、赤字最悪6300億円 08年度 高齢者医療拠出で増加
2008年4月22日 朝刊


 健康保険組合連合会健保連)は二十一日、大企業の会社員や、その扶養家族ら計約三千万人が加入する健康保険組合について、全国千五百二組合の二〇〇八年度予算を集計すると、赤字総額が〇七年度比で三千九百二十四億円増え、過去最大の六千三百二十二億円に膨らむとの推計を発表した。既に百四十一組合が、保険料率を引き上げた。
 本年度から変わった高齢者医療制度を支えるため、六十五歳以上の医療費について、健保組合が拠出する負担金が約五千億円増加した影響が大きい。特に六十五−七十四歳の前期高齢者向けの負担金は約四千億円増。これまで健保組合OBに限ってきた支援対象が、国民健康保険の加入者らにも広がったためだ。
 七十五歳以上の後期高齢者への負担金との合計では、高齢者医療向けの拠出は二兆八千億円強に上り、健保組合の保険料収入六兆円強に対し46・5%を占める。赤字組合の割合は七割から九割に広がる見通し。
 健保連は「赤字分の穴埋めには平均0・8%の保険料率アップが必要」と試算。「現在の平均保険料率は7・4%で、引き上げると8・2%。政府管掌健康保険政管健保)の保険料率と同じだ」として、中小企業の会社員らが加入する政管健保に対し、財政支援する余裕はないとした。
 政府は、政管健保への国庫負担削減分のうち約七百五十億円について、健保組合に負担を肩代わりさせる特例法案を今国会に提出している。
 推計は、全健保組合に予算の報告を求め、回答した86%の千二百八十五組合のデータから算出した。


 続いて、被保険者と事業主の保険料の負担割合は?| 健康保険より、組合管掌健康保険の部分を引用。

 組合管掌健康保険は、基本的には政府管掌健康保険と同様に1:1です。 これは、大企業や業界でつくる健康保険組合ですね。 保険証には、「○○健康保険組合」という記載があります。
 組合管掌健康保険政府管掌健康保険と違って、 組合が規約で決めて、事業主の負担割合を増すことができます。 組合によって事業主負担を増やすことができますので、 保険料の割合について組合によって違いが生じる可能性があります。
 たとえば
 トヨタ自動車健康保険組合 本人1.95%+事業主4.25%(合計6.2%)
 松下電器健康保険組合 本人2.66%+事業主4.64%(合計7.3%)
 関東百貨店健康保険組合 本人3.40%+事業主3.40%(合計6.8%)
 関東ITソフトウェア健康保険組合 本人3.20%+事業主3.20%(合計6.4%)
となっています。
 事業主が多く支払う組合もあるし、労使で折半の組合もあります。 健康保険組合は総額や割合の見直しをたびたび行いますが、行わない組合もあります。
 健康保険組合は、保険者によってそこの財政状況が違ってきます。 そのため保険者の財政状況や事業内容に応じて、保険料率は1,000分の30〜95の範囲で決められています。 規約により、事業主の負担する保険料額の負担割合を増加することができますが、 被保険者の負担する保険料額は1,000分の45を超える場合、その超過分は事業主で負担すると法律で定められています。


 第2回地方公務員の医療保険制度に関する懇談会議事要旨より該当部分を引用。

7)   全国の健康保険組合の保険料率の事業主と組合員の負担割合はどうなっているのか。
←   事業主と被保険者の負担割合は、おおよそ56対44と聞いている。


 政府管掌保険では、事業主と被保険者の負担割合は、それぞれ4.1%、合計8.2%である。一方、組合管掌健康保険では、事業主と被保険者の負担割合は、概ね56対44であり、合計平均7.4%である。事業主負担は平均すると4.1%と政府管掌保険とほぼ同じになる。組合によって事業主の負担割合が異なり、トヨタなどは被保険者本人は1.95%しか負担していない。事業主負担は4.25%と高いが、それでも政府管掌保険の事業主負担と比べ0.15%しか高くない。競争相手のGMの経営者が日本企業は優遇されていると嘆く所以である。


 組合管掌健康保険が赤字だということだが、そもそも、政府管掌保険に比べて保険料率が低い。健康な従業員が多く、疾病リスクが低いことが原因である。しかし、「高齢者医療向けの拠出は二兆八千億円強に上り、健保組合の保険料収入六兆円強に対し46・5%を占める」という現状がある。今後、高齢者が飛躍的に増加する。組合管掌健康保険側も、保険料負担、特に事業主負担増大に対し、危機感が強い。


 「医療崩壊」を回避するためには、医療費抑制政策を根本的に転換することが急務となっている。国民皆保険が崩壊すると、米国と同様、高額な民間医療保険に大企業も加入する必要がある。組合管掌健康保険組合としても、保険料負担増大を受入れるかどうかが判断を迫られている。一方、医療機関側も単に医療費増大を迫るだけでなく、医療の質と効率に関する説明責任が求められる。