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リハ医の独白 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008-05-25 尾道市医師会の地域連携と長期継続プログラム

DEPAPEPE Let's Go!!!

Let's Go!!!

Let's Go!!!

 第1回宮城県リハビリテーションと病診連携研究会の懇親会で、DEPAPEPEの「Let's Go!!!」がBGMとしてかかっていました。2005年発売、キターデュオ、DEPAPEPEのデビューアルバムです。妻が気に入っていて、ドライブに行く時にずっとかけています。

尾道市医師会の地域連携と長期継続プログラム

 第1回宮城県リハビリテーションと病診連携研究会で、尾道市医師会長片山壽先生の講演を聞く機会があった。あいにくの濃霧のため、搭乗機が仙台空港に着陸できず、羽田空港に引き返すというアクシデントがあった。主催者一同青くなり、講演中止という最悪の事態も覚悟した。しかし、片山先生の機転が功を奏し、新幹線で仙台に向い、予定の時間から40分遅れで講演を開始することができた。


 噂に聞いていたが、尾道市医師会のシステムは聞きしに勝るものだった。ネットで探してみたところ、主治医機能を最大限に発揮して 切れ目のないサービスを効率提供というインタビュー記事があった。講演内容を伺える内容があり、一部をご紹介する。

「カンファレンス」は

医療を効率提供させる


ーーケアカンファレンスでは、主治医と患者は必ず参加するそうですね。

片山 在宅主治医と病院主治医との医療の継続性は、患者にとっては最重要なことです。このプロセスをシステム化しなければ、医療提供の効率が悪くなります。

 せっかく急性期でゲットしたポイントが下がってしまうことになります。説明責任を果たし理想的な患者本位の退院支援プロセスというと、急性期病院の退院前ケアカンファレンスになります。

 患者としては不安な場面といえますが、その急性期と回復期の接続場面において、患者と病院主治医とともに、受け皿である在宅主治医、ケアマネジャーや在宅サービス資源が一堂に会し、カンファレンスを行うのは大変重要な意味を持ちます。必要な総合的情報の確認の場であり、それにともなう作戦会議の場であり、患者・利用者への説明責任を果たす場でもあります。


ーーみなさんお忙しいわけですからカンファレンスで一堂に会するのはなかなかできないのでは。

片山 集まりやすい時間帯で行うのはもちろん、カンファレンスは通常、15分で終えるようにします。その15分に集約するために、その前の努力が大変重要になります。ケアマネジャーは、ケアプランを綿密に絞っていなければなりませんし、主治医との打ち合わせも済ませておく。それから、歯科の口腔ケアプランや通所の報告、患者への説明等々。

 しかし、初動段階でカンファレンスを行っておくと、チームの動きが大変効率化できて、その後の業務が整理されます。また、患者・利用者との信頼関係がスムーズに構築されます。


尾道方式の多職種協働で

「連携医」を実感


ーー多様な専門職種がチームとしての医療を行うことについては、どのように進めているのですか。

片山 「プロが診ないと駄目」とか、「ここがあなたにお願いしたいところです」と、各自の専門性を発揮してもらうようにする。最初は「往診なんか慣れてないから」と言っていますが、だんだんはまってくるのです。

 多職種協働というのは、野球にたとえるとよくわかる。たとえばピッチャーが主治医で、速球をコントロールしてバッターを打ち取れば、スムーズに試合も終わる。守備もエラーがなく、ダブルプレーをピシャッと取る。フェンス際のファールボールなんかも取ってしまう。そういうチームは連戦連勝ですよ。そして敗北しないチームはモチベーションもどんどん高まります。


 だから、多職種協働がうまく機能したら、みんな心地よくてはまっちゃうんです。この連携力が日本にいかに欠けていることか。競争原理などと勘違いしている人が結構いるが、市場経済で医療を考えるのは所詮無理なわけです。

 尾道の場合は専門家を全部注入しています。だから在宅のトラブルが少ないのです。泌尿器科と皮膚科がものすごい数の在宅患者を抱えている。これも尾道の特徴といえるでしょう。


ーーまさに理想的な環境を整備することができているという印象を受けます。

片山 尾道方式というのは、いわば医療と福祉の一体論なのです。ケアマネジメントをツールに、主治医機能を軸とすることで、介護と医療の連携を図ることができ、多職種協働が実現できるわけです。

 ケアマネジメントというのは、山登りと一緒で、2000メートルしか登ったことがない人はその上の景色や存在を知らない。あと1000メートル登ればすごいきれいな花園が広がっているとか、おいしい水がわき出ている……。尾道の場合は医師会員みんなで3000メートルまで登ったので、その良さをみんなが知っている。

 だから神経細胞が横につながっているのと同じで、平場でつながっているのです。それが触手を出して機能している。どこにも指揮官はいない、オートマチックで機能しているのです。それはみんなが理念を持って、達成度を高くすることが自分の仕事だとわかっているからモチベーションが下がらない。医療、あるいは医術の本質論なのです。

 そして自分らのレベルが高くなっていくと連携力がますます高まる。普通、医師1人では1馬力で、在宅医療を行うにも限界がある。しかし、地域で多職種協働でやればやるほど、いい治療ができる。その環境ができているのです。それも無料でチームを利用できるわけですからね。


ーーなるほど、モチベーションは医療の本質・原点なわけですね。開業医のみなさんの反応はいかがですか。

片山 新たな医療空間で役割を果たしていると思っていますよ。

 現場のいろんな人の話を聞くと、「開業医をやっていて、これだけ充実感があるというのは開業医が復権してきているんじゃないか」とか、「ぼくは連携医をやっているような気がする」と、みんなその実感を持っているようです。

 せっかくこの尾道で一緒に医療を行っているのです。1人の診療所だったら1馬力しかできないわけです。それだったら、収入アップとか、患者増ということを考えるよりも、お互いが連携して、よりよい医療を提供することのほうが本分です。それが地域から求められていることでもあり、医師にとって一番大事なことだと思います。


(平成18年6月13日/取材協力:高地輝之税理士事務所/TKC医業経営情報2006年8月号より)


 片山壽先生の講演を聞いていると、研修とカンファレンスのスライドが次から次へと出てくる。1人の患者のカンファレンスに、開業医だけで4、5人が集まるのはざらである。明日、退院するからという急性期病院からの依頼を受け、在宅主治医が必要なスタッフに招集をかけ、翌日、午後1時30分にカンファレンスを行う。その後、5人の開業医が病室に訪問し、患者や家族と顔合わせをする。「この時点で急性期病院の医師は5人増えている。」と語る片山壽先生の姿をみると、うらやましくなる。

 高いプロフェッショナリズムが、連携・多職種協働という視点で結びついている。成果を上げることでモチベーションがあがり、新たな峰を目指すという良循環が生じている。

 尾道市のようなシステムを、そのまま移植しても根づかないことは間違いない。システムづくりには、片山壽先生のような強力なリーダーシップが必要である。病院内のシステムを変えるだけでもなかなか困難である。しかし、なんとか当地域でも作り上げることはできないかという思いがしている。