回復期リハビリテーション病棟実績指数の計算方法

 2016年3月4日、平成28年度診療報酬改定についてが更新され、告示・省令、通知が示された。膨大な資料のなかで重要と思われるものは、平成28年度診療報酬改定説明会(平成28年3月4日開催)資料等について内にある、平成28年度診療報酬改定説明(医科) III-1 通知その02III-1 通知その05、そして、III-1 通知その06である。
 今回は、回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカム評価、特に実績指数の計算方法について、検討する。

関連エントリー


 まず、回復期リハビリテーション病棟の提供実績についての評価がなされる。過去6ヶ月間の退棟患者が10名以上という基準は実質的に意味がないので、入院患者に対して提供されたリハビリテーション単位数が1日平均6単位以上という項目を満たしていると、アウトカム評価の対象となる。





 実績指数の計算対象は、平成28年4月以降の入棟患者となり、初回の判定は平成29年1月となる。以後、3ヶ月ごとに判定される。したがって、平成29年1月の判定対象となるものは、平成28年4月1日以降の入棟患者、かつ、7月1日以降12月31日までの退棟患者となる。同様に、平成29年4月の判定対象は、10月1日以降3月31日までの退棟患者となる。3ヶ月分が重複してカウントされる。


 実績指数の除外対象は、次のようになっている。

# 必ず除外する患者

  • 在棟中に回復期リハビリテーション病棟入院料を一度も算定しなかった患者
  • 在棟中に死亡した患者

# まとめて除外できる患者

  • 回復期リハビリテーション病棟に高次脳機能患者が特に多い(退棟患者の4割以上)保険医療機関では、高次脳機能の患者を全て除外しても良い。(高次脳機能障害の患者とは、入院料の算定上限日数が180日となっている、高次脳機能障害を伴っている重症脳血管障害、重度の頸髄損傷及び頭部外傷を含む多部位外傷の患者)

# 医療機関の判断で、各月の入棟患者数(高次脳機能障害の患者を除外した場合は、除外した後の数)の3割以下の範囲で除外できる患者

  • 入棟時にFIM運動項目の点数が20点以下の患者
  • 入棟時にFIM運動項目の点数が76点以上の患者
  • 入棟時にFIM認知項目の点数が24点以下の患者
  • 入棟時に年齢が80歳以上の患者

 ◎ 除外の判断は遅くとも入棟月分の診療報酬請求までに行うことが必要。
 (除外にあたっては、除外した患者の氏名と除外の理由を一覧性のある台帳に記入するとともに、当該患者の入棟月の診療報酬明細書の摘要欄に、実績指数の算出から除外する旨とその理由を記載する。)
※ 在棟中にFIM運動項目の得点が1週間で10点以上低下したものは、実績指数の算出において、当該低下の直前に退棟したものと見なすことができる。


 必ず除外する基準は明快である。一方、高次脳機能障害患者をまとめて除外することにはあまりメリットがない。なぜならば、算定日数上限が180日であるため、実績指数算出式の分母の計算で不利になるからである。
 そうなると、医療機関の判断で除外する患者をどう選ぶかが問題となる。注意しなければならないのは、退棟時ではなく入棟時に判断が求められることである。予後予測能力が問われることになる。
 例えば、発症から1ヶ月以上経ってから入院した85歳以上の患者で、FIM運動項目が13〜15点、FIM認知項目が14点以下の患者を全例リストアップし、医師の判断で大幅なFIM運動項目増加が見込めないものを選び、全入棟患者の3割以内の範囲で除外するという作業が毎月求められることになる。もっと具体的に言うと、重症脳血管障害患者で、回復期リハビリテーション病棟入棟時に経管栄養で寝返りを含めADL全介助、目標は経口摂取能力の獲得と起居動作介助量軽減、予想FIM運動項目利得が+5点以下、介護力もなく退院調整に時間がかかり算定日数上限近くまで入院となりそうな患者が、実績指数算出の除外対象候補となる。このような患者は、3ヶ月以上入院することが少なくないことを考えると、除外患者の選定は、平成28年4月から始めなければならない。
 本来なら、面倒な除外手続きをとらなくても、余裕を持って実績指数をクリアできた方が良い。しかし、万が一のことを考慮すると、除外項目を上手に利用できるようにシステムを作り上げておく必要がある。


 実際の実績指数に係る報告書は以下のとおりである。なお、1日当たりのリハビリテーション提供単位数の表に誤植がある。心脳血管疾患等リハビリテーションとあるのは、脳血管疾患等リハビリテーションの誤りである。いずれ、訂正がされるはずである。