ずしょのすけブログ このページをアンテナに追加 RSSフィード

2006-11-29

続・著作権延長ですって。(番外の1)

チマタで話題の「著作権保護期間延長問題を考える国民会議」の,発起人の方々のコメント(前編)について若干。

伝・福井氏談

50年がさらに70年に延びたら死んでしまったクリエイターの意欲が高まるのか

って,わざわざ「死んでしまった」と限定されているので,福井氏自身も存命中のクリエイターであれば意欲が高まる可能性はあると思ってらっしゃるのかな?

アガサ・クリスティだかが,死ぬ前に娘と夫に未発表原稿を渡したらしいけど,そういう意味では存命中のクリエイターの意欲が高まるという要素は“ゼロ”ではないかも? 仮に平成20年1月施行として,平成19年1月1日以降に死亡したクリエイターに関して延長という線だと,どのように考えられるだろう?

むしろクリエイターの立場に立つと、古い作品から新しい作品を作り上げていくという万化不変の想像のサイクルが絶たれるのではないかと心配する声もあります。(原文のママ

その可能性は,わたしも感じます。それから,「その2」に書いたように,偶然に似てしまった作品が訴えられるリスクが20年延びるというのも落ち着きません。

伝・別役氏談

結局は著作権が切れたことがきっかけで、銀河鉄道がさまざまな形で戯曲化、シナリオ化されて、元の作品も活性化されたのではないか──というふうに考えるわけです。

う〜ん。難しい問題だなぁ! 遺族の思い入れが強くて,“オリジナル”こそ尊くて「改編などはもってのほか」なんてことはありえる話で,そんな場合,“活性化”なんか大きなお世話だろうし ...。

正直なところ,“感情の問題”は“経済の問題”よりも解決は難しいもんなぁ! それに,「その3」で書いたような,できれば,なかったことにしたい作品もあるだろうし!!

伝・富田氏談

電子テキストになっている青空文庫の本は、目で見て読むだけではなく、視覚障害を持った方が耳で楽しめるように音に変換したり、あるいは点字のデータに変換したり、文字を大きく拡大したりといったさまざまな可能性が開けています。

それは,そうなんだろうけど,なんだかシックリ来ないのはナゼだろう? 著作者の死後40年程度経過したモノで,著作権者との連絡が容易にできる率,その中から更に許諾が得られる率だとか,チョットしたデータが示されると印象も違うんだろうけどなぁ!

自分自身,青空文庫によって,それまで存在すら知らなかった文学作品に出会うなどという経験をしているし,保護期間が延びれば,そういう出会いの機会が20年延びるかもしれないってことは解るんだけど,書かれたコメントだけからの印象だけど,なんだか権利が消滅する日を指折り数えて待っているような雰囲気が感じられて ...。

伝・竹熊氏談

著作権を守るとおっしゃっている団体の方々には「著作者の権利を代わって守っている」という共通した主張がありますが、でもそれが本当に著作権者の権利を守っているのかというのは、かねがね疑問に思ってました。

おっしゃりたいことは解るような気がします。

伝・田中氏談

この議論は2つの利益の比較ですから、実は計って比較できるんです。

ほ〜ぉっ! 経済学的に何年が適正な保護期間なのか,ぜひ知りたいと思います。もっとも,「30年」とかいう数値が出てきても,条約に加盟している以上,今より短くすることはできないんじゃないかと思いますが!

著作権切れタイトルのDVDが500円程度で出回っています。あれは明らかに消費者にとって目に見える利益でしょう。

まぁ,著作権保護期間内であっても需要と供給とのバランスに基づいた適正な価格が付されればイイわけですけど,昨日今日に発売されたアツアツのモノと,かなり昔に発売された相当に冷めたモノが,ほぼ同じ価格というのが問題の1点! 消費者が“冷めたモノ”を買おうとしたとき,ほとんどが市場にないことが問題のもう1点! かな?!

 しかも,「中古を売ることは,まかりならぬ!」などとおっしゃる団体もあったり!!

2006-11-28

ヤッパリおかしい#

元某政党の国会議員が復党するとかしないとかいう話。

その中の何人かは「別に(郵政民営化に)反対だったわけではない」とか言ってるようだけど,おぼろげな記憶によれば,復党するらしい中には選挙を“反対”で闘ってた議員もいたような? ほとんどの議員は,今回の復党以前に“賛成”に転じているようだけど,“反対”で当選してきたんじゃないの?

各種報道では党の方への批判が取り上げられているようだけど,わたしゃ個々の議員の方に疑問を感じるな! 政策云々は知らんけど“詫び状”を出さなかった1人に1票!!

2006-11-27

続・著作権延長ですって。(その3・完)

なんか,かなり面倒くさくなってきたなぁ! 一応,“完”ってコトで!!

Q、著作権の切れた名作をネット上で公開している「青空文庫」などのボランティア活動が難しくなるのではないですか。

「保護期間内の作品をネット上に公開することも可能ではないでしょうか」って,現状,そうなっていないのは,なぜでしょうかねぇ?

“お金”とか,そんな問題だけじゃなくってね,“駆け出しの頃の稚拙な作品だから,できることなら,なかったことにしたい”とか,“戦争(なんか)のとき,自分の意思に反する内容を書いたものだから,できることなら,なかったことにしたい”というようなコトもあるわけで ...。そんなモノまでネット上に載せる必要はないと言えばないんだろうけど,それはそれで貴重な資料(史料)であったりもするし ...。

「わたしたち著作者としても、ネット公開に積極的に関わっていきたいと考えています」って,今,どんな関わりをしてらっしゃるのでしょう? 今,特に何もされていないから,青空文庫なんかの関係者から保護期間延長の理解が得られてないんじゃないですか??

Q、インターネット産業の関係者から、著作権がコンテンツの流通を阻害しているという声があがっていますが、これに対してはどのように考えればいいでしょうか。

「すべての著作物の利用が円滑に運ぶように努める」って,その一環として「データベースの整備」ですか? じゃぁ,わたしなんかもコレまで一応は著作物の要件を満たすモノを作ってきたし,コレからも作ることになるだろうけど,16団体のうちの,どの団体がデータベースに情報を載せてくださるんでしょう? まぁ,その前に,わたしが作ってきた,そしてコレから作る著作物を使いたいなんていうモノ好きがいるかって問題はあるワケだけど ...。

今どきは,多分,そんなデータベースに情報を載せてくれるな! って人が沢山おられると思うけど,その点は,どのように解決されるのでしょう? わたしだって,情報を載せてくれる団体があったとしても,載せることを拒否するかもしれないし ...。

最初から実現性のない話をしない方がいいと思いますけどね!

Q、共同声明に加わった16団体の中には、レコード会社や実演家など、著作隣接権の団体も加わっています。著作隣接権の保護期間延長も要望するのですか。

「著作権の保護期間のように、「国際的なレベルに合わせてほしい」といった要望はできません」って,長い方が世の中のためなんだとすれば,「国際的」なんて言わずに延長を要望されればよろしいでしょうに?!

必ずしも正しいとは言えない「国際的」なんて論理を持ち出すから,主張にムリが出るし賛同しにくいんです。むしろ「お金が欲しい」という主張を前面に出された方が,よっぽど賛同できる気がするんですが?!

あっ! “インセンティブ論”でいうなら,“50年”のママだと“70年”の1.4倍の著作権料が必要で,1.4倍の著作権料の支払に値する著作物を創るか,1.4倍の量の著作物を創らなくてはならないから,より質の高い,もしくは豊富な著作物が創作されると理屈も立たなくはないような ...??

Q、日本と戦勝国との間には「戦時加算」というものが設定されています。日本の保護期間が延長された場合、この戦時加算はどうなるのですか。

まず,戦時加算の対象となる国のすべてが“70年”ではなく,半数ちかくは“50年”のハズだから,「20年も短い状態で、「戦時加算」の撤廃を求めることはフェアではありません」というのは当たらないでしょう!

それから「個々の戦勝国と個別に交渉すべき」だそうですが,戦時加算はサンフランシスコ講和条約の中の条項なので,個々の締結国と個別の交渉が有効なのか知りませんけど,わたしが相手国の意思決定ができる立場で,内心,保護期間の延長と戦時加算の撤廃とを交換条件にするのは仕方がないと考えていたとしても,先に保護期間の延長をしてから交渉に来られたら,「戦時加算の撤廃なんか知らん」って言いますけどね!

つまり,保護期間の延長をしてから戦時加算の撤廃を求める交渉方法なんて,下の下だと言えるでしょうね!!

Q、記者会見を開き、省庁に要望書を提出したあと、どのような展開が予想されますか。保護期間の延長が認められる可能性はあるのでしょうか。

いや,だから「諸外国がすでに70年になっている現状」という認識が,必ずしも正しくないんですってば! まぁ,必ずしも「ご理解」が得られてなかったレコードの輸入権や書籍の貸与権に関しても,ろくな議論がないまま改正されたので,ぜひとも「充分に話し合いを続け」てください。

なんだか,このQ&Aを見ることで,延長反対の方向へと心が動くというのは,なんとも皮肉と言うか何と言うか ...。

2006-11-24

続・著作権延長ですって。(その2)

著作権延長に対して中立の立場などと言っておきながら,例の「文藝著作権通信」にツッコミを入れていると,ドンドン,反対派みたいな内容になってしまったり ...。

Q、漫画やアニメが輸出されているといっても、文学や音楽を含めたコンテンツの輸出と輸入を比較すれば、日本はまだ輸入大国です。保護期間を短く設定しておいた方が、日本としては有利なのではないですか。

「損得だけでものを考えるのはまるで後進国」ということは,“相互利益”という名目で,よその国の著作権保護期間の延長を求めてくる国(20ページ)は後進国であって,文化国家ではないのですね?

それから,よその国が20年長く保護していることをもって,日本で「権利が剥奪」されているというのは論理のすり替えだと思いますよ! 死後50年の権利が与えられているのであって,20年分を剥奪しているわけではないと思いますけどね!!

Q、世界標準が70年だとしても、日本には日本の考え方があるので、追随する必要はないのではありませんか。

え〜ぇ,まず70年が必ずしも“世界標準”ではないと思いますし,EU加盟国を1国1国カウントするのも正当とは思えません

そもそも70年反対派は「ネット業者の利便性」のために反対しているのではないと思いますが,いかが? 重ねて言えば保護期間が50年であることが“権利の剥奪”や「制限」とするのも正当とは思えませんし,「文化の発展を阻害」することへの関連も疑問です。著作権の“チョ”の字もなかったルネサンス期をどのように説明されるのでしょう?

それから! 「文化の発展の阻害」へとつながるというのが事実だとすれば,70年なんてケチくさいことを言わず“未来永劫”を主張されればいいと思いますけどね!!

ついでに! “世界標準”ということをおっしゃるなら,少数派であるハズの公衆送信権の廃止なんかも同時に訴えられればどうですか?

Q、芸術は模倣によって生み出されるという考え方があります。保護期間が長すぎると、新たな芸術の創造を阻害するのではありませんか。

小林亜星氏と服部克久氏との裁判のことは日本文藝著作権センター様でもご承知だと思います。裁判の結果は結果として,“本当に著作権侵害だったのか”は,服部氏以外は判らないわけですが,同様の訴えを起こされるリスクが20年延びるのですよ!

で! 敗訴でもすれば,新しい方の作品は,事実上,封印されます。それでも「阻害するなどということはまったくありません」と,おっしゃいますか?

Q、保護期間の切れた外国の作品が、多様な翻訳でよめるようになり、多くの読者に歓迎されているという現実があります。この点についてはどのようにお考えですか。

「独占権の問題なので、保護期間の問題ではありません」とおっしゃいますが,前提として翻訳権が存在するから,独占的な契約が成立すると思うんですが? 保護期間内に新訳が出された例を挙げてらっしゃいますが,恐らく,新訳の企画の大部分は交渉にすらならないと想像しますが,いかが?

Q、著作権の保護期間延長の問題と、著作者人格権とは、どのように関わってくるのでしょうか。

海賊版などが出れば、出版社が対処してくれる」はいいとして,なぜ,それが「人格権を守ること」になるのか理解できません。仮に著作者の死後に人格権の侵害となるような行為があったとして,出版社は訴えをおこす立場にはないと思いますけど?

余計なお節介ですが,「人格権を守ること」になるとしても,全体に延長反対に対する反論的な内容になっているQ&Aに,このような設問・回答を載せるのは逆効果だと思いますよ!

2006-11-22

続・著作権延長ですって。(その1)

「日本文藝著作権センター」なるところから出されている「文藝著作権通信」の第7号に「著作権保護期間の延長に関するQ&A」なるものが載っている。自分では著作権保護期間の延長に関しては中立の立場のつもりだけど,“香ばしい”ことが書いてあるので,ちょっとツッコミ! ホントは「A」も引用すると解りやすいんだけど,“引用の要件”内に納まるか微妙なので,基本的に「Q」のみ引用(引用というよりは参照指示ですな!)。

Q、保護期間を延長しても当の作家は死んでしまっているわけですから、作家の創作意欲につながるとは思えません。

保護期間が長いと芸術として評価され,高い評価が得られることで創作意欲が高まるというようなことを書いてらっしゃるのですが,保護期間と芸術としての評価とは別の次元の話で,保護期間内にあっても評価されないものはされないし,保護期間が満了していようが評価されるものはされる。そもそも,現代において評価されていると言っていいであろうルネサンス期の芸術,当時,著作権の“チョ”の字もなかったと思うんだけど,いかが? って言うか,日本文藝著作権センター様は保護期間が満了すると同時に評価を「0」にされるので??

Q、保護期間の延長は一般の読者にどんな影響をもたらすのでしょうか。

「読者の皆さんにご負担をおかけすることはない」とおっしゃいますが,著作権を制限する各規定を越えた利用をしたい場合,使いたい側からすれば面倒が増えることは確かじゃないかな?! まぁ,権利を持つ側からすれば「使いたいんだから面倒を厭わないの当然だ」という理屈もあるだろうけど,使うためのハードルが極度に高いと,せっかくの芸術としての評価が,別の方面から崩れることになりますゼ!

ヤッパリ,簡易に許諾が得られるシステムを作るのが先だと思うなぁ! じゃなきゃ次(↓)の「ご遺族の権利」(つまり金)にはつながらないと思うけど!?

Q、最近は人間が長生きするようになりました。90歳、100歳まで生きる作家も珍しくありません。そこから70年も保護されるということになると、妻子ではなく、孫や曾孫の代まで財産権が保護されることになります。そのようなことが必要なのでしょうか。

「若死にする作家がいないわけではありません」ってことですが,日本書籍出版協会の「出版契約に関する実態調査」の3ページによれば,この調査が完全に実態と一致していないとしても,約3割が“買取原稿払い方式”だそうで ...。

総じて若い作家ほど“印税方式”よりも“買取原稿払い方式”になる可能性が高いでしょうから,保護期間を延長したとしても,若死にした作家の遺族にはメリットは極めて低いんじゃないかと思うんだけど,いかが?

それから,「作家の生活を支えた妻子などご遺族の権利を保護することはぜひとも必要です」ってことですが,日本文藝著作権センター様は,例えば,不幸にも早くに亡くなられた(って言うか,以下の例の場合,いつ死んだかは,あまり関係がないけど)家具職人とか宮大工のご遺族の“権利”については,どのようにお考えで? 応用美術の類は著作権法による保護の範囲ではないから知らないとでも? 神社仏閣が建築の著作物に該当する可能性が高く,保護の対象だとしても職人のことまでは知らないとでも?

モノを創るという部分で近縁の職業だと思いますが,そういった“周辺”部分にも配慮した要望じゃないと“自分勝手”にしか見えませんよ。まぁ,“要望”というモノは自分勝手でいいのかもしれませんがね!

Q、「ミッキーマウス法案」という言葉があるように、著作権保護期間の延長に対しては、一般の利用者からの反対の声も大きいのではないでしょうか。

“ミッキーマウス保護法”の批判は別に映画の著作物に限った話じゃないと思いますけど,いかが? ただ,個人的には,映画の著作物であれ,言語の著作物であれ,音楽の著作物であれ,“死後○○年”ではなく“公表後○○年”の方がいいと思っているので,映画の著作物の保護期間に関して言えば,英仏独あたりより米の方がいいような気がする。

そもそも,“ミッキーマウス保護法”が批判されるのは「保護期間として長すぎる」ということもあるけど,成立に至るまでの経緯やら目的やらがアヤシイからだと思うんだけど,いかが?

以下のQ&Aに対するツッコミは機会を改めるとして,囲みの「世界の主要国の著作権保護期間」の表は,あまりにヒドくない? 70年のところは,かなりの数を列記した上に「等多数」なんてモノまで付いているのに,50年のところは日本だけ?? 保護期間を70年に延長することを求める趣旨のモノだから,恣意的に列記する保護期間70年未満の国を減らすまでは許すとして,少なくとも50年の方にも「等多数」ぐらいは付けるべきだと思うけどなぁ!! ついでに言うと,保護期間が50年未満の国だってないことはないわけだし ...。