ダーウィンの足跡を訪ねて


ダーウィンの足跡を訪ねて (集英社新書)
【タイトル】  ダーウィンの足跡を訪ねて  はてな年間100冊読書クラブーNo.069
【著者】    長谷川真理子   
【出版社】   集英社集英社新書
【発行年月日】 2006年8月17日
【版型 頁数】 新書版 205頁
【版 刷】   4087203557
【ISBN】    初版一刷
【価格】    998円
【コメント】
集英社のPR誌『青春と読書』に計16回連載された内容を単行本化したもの。ダーウィンの人となり、業績をその足跡を追いながら楽しく解説してくれる本だ。ダーウィン本はこれまでいくつも出版されているし、その足跡もたくさん紹介されているが、日本における第一級の進化学者による本なので購入した。著者は総合研究大学院大学*1教授、動物行動学、行動生態学、進化生物学専攻。性選択に関する著書多数、『クジャクの雄はなぜ美しい?』などこの分野の啓蒙書等も多く出版しているこの分野の第1人者。ダーウィン研究でも知られ、『ダーウィン著作集』・文一総合出版の編者でもある。
本書はダーウィンの歩んだ足跡を追いながらその地においての彼の仕事を紹介しつつ、当時の上流階級社会・学会・研究・進化思想などを解説する。初心者にも分かりやすいような文体で、丁寧に楽しく語る科学読み物となっている。
またカラー写真が美しく、効果的に配置されている。しかしこの色合いを強調する目的で、通常の新書用紙ではなく、やや厚手の上質紙を使用しているため、背景が白すぎて大変に活字が読みにくい紙面になっている。読ませる本にこのような白すぎる紙を用いるのはよくない。これは相当な減点であるといえる。
ダーウィン関連本が数年前より多数出版されるようになってきた。生誕何年だかの記念出版にあわせているのだろうか?それとも単に研究が活発になってきたからなのだろうか?いずれにせよ私にとって重要な分野なのでできるだけ読破するように努めたいと思っている。
【目次】
1 ダーウィンのおもしろさ ・・・ 9
2 シュルーベリ ・・・ 19
3 メア・ホール ・・・ 31
4 エジンバラ ・・・ 43
5 ケンブリッジ part 1 ・・・ 53
6 ケンブリッジ part 2 ・・・ 67
7 ウェールズの山 ・・・ 77
8 ビーグル号の航海 ・・・ 89
9 ガラパゴスの動物たち part 1 ・・・ 101
10 ガラパゴスの動物たち part 2 ・・・ 117
11 標本のゆくえ ・・・ 127
12 エマとの結婚 ・・・ 137
13 ダウン・ハウス part 1 ・・・ 149
14 ダウン・ハウス part 2 ・・・ 161
15 モールヴァン&イルクリー ・・・ 171
16 ダーウィンの死 ・・・ 187
あとがき ・・・ 197
参考文献 ・・・ 205

ダーウィン―世界を変えたナチュラリストの生涯 ダーウィンと家族の絆―長女アニーとその早すぎる死が進化論を生んだ ダーウィンの時代―科学と宗教 ダーウィン前夜の進化論争 チャールズ・ダーウィン 生涯・学説・その影響 (朝日選書) 

*1:三浦半島の葉山に本部を置く国立大学法人。日本文化研究センター、岡崎基礎生物学研究機構など全国の散在する文部科学省関係の研究機関内にその施設があり、大学院後期過程が置かれている。