ムシウタ 09.夢贖う魔法使い
- 作者: 岩井恭平,るろお
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/07/01
- メディア: 文庫
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「……無理よ。あの人が諦めたことが、私なんかにできるわけがない」
「やりたくないなら、別だけど――できるかどうかなら、きっとできると思う」
詩歌は素直に、思ったことを口にする。
「だって七那、魔法使いみたいだもん」
虫憑きの力をビジネスに利用しようと、”むしばね” へ契約を申し出る赤瀬川七那。そして現われる謎のオークショニア。この国の経済を激変させた三つの転機"エンクロージャー" "バブル" "パラダイムシフト" の全ての原因――始原の虫憑き『α』 を落札するため、七那はオークションに参加することになる。
これは面白い。
何がって、読み返して評価が変わったことが。初読は訳が分からなくて全然ダメだったけど、いざ感想を書く時になって読み返してみると、よく分からなかった箇所の意味が通って、これがまた面白い面白い。『そういう意味だったのか!』 の連続だった。
"パラダイムシフト" の意味をいまいち掴みかねてたのが原因だったみたい。331頁「この国丸ごとひっくり返るような大逆転」 とかで、『結局”「それこそ×××××でもしない限り絶対に有り得ない」 とかいう大逆転フラグ” なのかよ』 とか思った*1のが間違いでした。そのせいで、弐兵衛が”「パラダイムシフトが……来る……」” とか言ってるのを間違えて解釈してしまった、と。
というわけで、印象に残ったシーンはやっぱり、210頁「今も生きていて、これからも生きていく君たちに任せる」 あたりと、387頁「彼らがそう信じてくれるならば――」 あたり。後者は再読して気づいた名シーン。初読の時は「盛り上げてる感じに書かれてるけど全然盛り上がらねーよ」 とか思ってた。
しかしどんどん風呂敷がでかくなっていく気が……大助の話もそうだし、302頁「この住所にこれを送ってくれ」 も伏線のまま放置だし。
*1:思って、萎えた。そんなの現実として有り得ないだろ、みたいな。