7/19 最終講評会@smt

7月19日にせんだいメディアテークオープンスクエアにて、せんだいスタジオ、設計Dの合同最終講評会が行われました。本年度は東北大学から4人×3チームの作品が発表されました。

今回の最終講評会には、スタジオマスターの松原弘典先生・小野田泰明教授以外にも、設計Dのスタジオマスターであられるヨコミゾマコト先生他、多くの方にお越し頂きました。
http://recorder311.smt.jp/movie/1831

まず、松原先生からの課題説明で講評スタート。
せんだいメディアテークの改修を通して「その場にふさわしい」空間を考える。』
天井が壊れてしまったメディアテークの7階と、2010年の開館10周年のときに配置換えを行った2階のプログラムの組み直しと再設計を行うというものです。


ランナーズハイ
7階の床をあげることで丘をつくり、キッチンと共に中心的な場を作り出すという提案。シアターと連携して丘を使用したり、丘で行われる新しいアクティビティを想定した。丘ができることによる「意味」が浅く、それを重ねて行けば案が深まるのではないか。ヨコミゾ先生からも、床を上げることに関して、分析と根拠が足りないのではないか。等の指摘。ラストスパートが凄かったので、もっと早めにアイディアが固まっていたらより面白くなったかもしれないですね。



■すずめ食堂
3段階のL字システム(L_size:7Fを大きく領域づける/M_size:設備や照明を取り込んだデザインの固定家具/S_size:現在のsmtに備えられている可動家具)により空間を作り出すという提案。発見した図式は面白いが、提案として空間を解く過程で良さが失われてしまったのではないか。M壁などのルールが逆に説明を分かりづらくしており、空間の豊かさの障害ともなっている。新しい予約の仕方などのストーリーから新しい空間と使われ方を提案しても良かったのでは?等の指摘



■テーブル
合板を5通りにカットした部材を組み合わせることでテーブルをつくり、オフィスランドスケープを作り出すという提案。1/2家具を制作したり、照明の提案などから、一見してスタジオの意図をよく理解した提案であるなという印象を受けた。最初の方針が一貫して、少しずつ進化していったチームである。講評としては、テーブルの高さの設定が普通であることから、使い方も普通の家具になっている。大きさや厚さでもっと多様性を作ることができたかもしれない。モジュロールを研究して作ったり、床や天井も同様のアイディアで構成するなど、やりきっても良かったかも。等



松原先生による全体のまとめとしては、3点。

1細かい観察力
インテリアの作業ということもあり、いかに細かく物事を把握できるか。ということが重要であった。建築は、周りに対する視線の細かさが要求される仕事である。

2面白くあること
ぱっと見て意図が込められていることが見える、というのが大事。真面目に解けているだけであったり、つまらなくてはダメ。

3分析=設計
その場にふさわしいものとは何なのか、考えて欲しい。内装をやっただけでもいろんなことが分かったのではないか。いろんな問題を同時にリンクさせながら、1つのものとして見せていく。現状の分析に対しての問いかけ、分析をどうするかで立ち位置が決まる。分析から設計が始まるという意識をもつ。




最後に
今年の設計は修士1年前期設計課題初の内装設計ということで、難しい課題だったと思います。
私もちゃんと内装に取り組んだことが無く、どうアドバイスしていいか分かりませんでした。
しかし、それぞれ異なる視点での提案となり、かつ設備の不安定な中、無事課題が終わったことに大変感動しました。

修士1年でやるグループワークはどうだったでしょうか?昨年のトルコスタジオでは、ものすごく悩んだり、反省したり、成長を実感できたり、自分を見直すいい機会になったと思っています。今回のように限られた時間での設計を行う際は、他人の長所短所を早めに見極めて、それを最高に活かす振る舞いができれば良いのかな、と個人的には思っています。

スタジオマスターの松原弘典先生、小野田先生、メディアテークの皆様、今回の課題・講評会に参加してくださった先生方、本当にありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。赤垣



明日は最終講評会です

http://www.smt.jp/thinkingtable/?p=1038


震災復興に向けて、建築学生にできること

東北大学建築学科による学部4年・修士1年時設計課題の合同講評会。
外部講師の松原弘典氏とヨコミゾマコト氏を招いてクリティーク・ディスカッション。
■日時:7月19日 (火)10時〜16時
■場所:せんだいメディアテーク1階オープンスクエア
■参加費:無料 直接会場へ
■問合せ:sugawami@m.tohoku.ac.jp(東北大学都市・建築デザイン学 技術職員 菅原)

*当日はユーストリーム放送もいたします。
番組視聴はわすれン!のホームページからご覧ください。
http://recorder311.smt.jp/

修士1年設計課題>
○外部講師/松原弘典 建築家 慶應義塾大学准教授
○指導教官/小野田泰明 東北大学大学院工学研究科 都市・建築学専攻 教授
http://d.hatena.ne.jp/china-studio/

せんだいメディアテークの改修を通して「その場にふさわしい」空間を考える。』
 東北大学で建築を学ぶ大学院生に向けて毎年行っている設計スタジオは、今年はせんだいメディアテークの7階を対象に、「その場にふさわしい空間」について考えてもらう内容で進めています。
 「その場にふさわしい」というのは「美しい」とか「使いやすい」とかいう評価とは違います。それはより文脈的であり、周辺に依存しており、関係の中でできあがっているはずのものです。学生のみなさんに、今その場所にある関係に敏感になってもらい、そこになにか新しいものを加えることを構想してほしいと考えてこのような課題を設定しました。
 このスタジオの課題は、3月11日に発生した東北大震災と関係しています。毎年海外の敷地を対象に実施やっているこのスタジオを、今年は仙台の、公共建築の内装設計にテーマを変更し、また海外の大学との交流もキャンセルしてこのスタジオを実施しています。これは私たちにとって、地震の負の影響と言わざるを得ません。
 しかし同時に、私はここで、私たちがこの地震をきっかけに、自分たちのまわりの環境というものをもう一度深く考えさせられる状況に置かれていることを、みなさんといっしょに前向きに受け止めたいと考えています。地震で我々は多くを失い、生活の変更を余技なくされました。そのほとんどはそのまま受け入れなくてはならないようなものばかりですが、なんとか一矢報いたい。設計スタジオをその一矢にしたい。これは今の我々ができる、地震に負けない、ささやかな態度の表明でもあると思っています。
 私はここで壊れたものを文字通り直すとか、新しい都市を作るチャンスだとか、そういうことを言っているのではありません。それは他の人にやってもらえばいいと思っています。私たちがここで、大学院のスタジオとして集中すべきなのは、失われる前の状態に敏感になり、それをよく思い出し、なにかそこに新しいものをつけたすこと、です。私たちの前でたくさんのものが失われてしまいました。
それは比喩的な意味でなく現実的に、です。その現実を前に、みなさんと出来る限り知的に強いものを、メディアテークを舞台に構想する、このスタジオではそうしたことを目指したいと思っています。(松原弘典)

松原先生ネットエスキス

Team ランナーズ・ハイ(遠藤・旭・山崎・平井)


ランナーズハイになる前に終わった、ってことがないように、もうスパートかけないとまずいですよ。


お世話になっております。
下記が、中間講評のまとめです。
・キッチンの可動性について具体的に考えていく。
・キッチン以外についてはどうなのか。
・今までのsmtとどう違うのか。

まず全体構成のゾーニングです。今までのようにアメーバの内/外で区切るのではなく全体を横断的に利用出来るようにし、キッチンを中心として全体の様子がパノラマのように把握できる空間を作っていこうと考えています。
また、シアターを横開きにしてキッチンと一体で利用出来るようにします。


我々建築設計の仕事で一番大事なのは形を決定することです。この案の現段階での一番の問題は形が決まってないことです。だから案も進まないし、講評もしづらい。
形をもっと大胆に決めちゃいなさい。ソラ豆でいいですから、「パターンの例」などといわず、固定した形をとにかくつくっちゃうことです。その上でそれがいいかわるいか見ながら作ったり壊したりするしかないですよ。形を作りもしないのに、それがいいかどうかなんてわからない。
グループでやっていると形をつくりづらい時があります。お互い遠慮する聡明すぎる/おとなしい人たちのあつまりだとたまにそういうことがあります。しかしそうした遠慮は我々の仕事ではほとんど意味がない、価値のないものです。どんどん絵を描いて周りを説得し、自分のペースをつくって周りの友人のペースを支配しましょう。そういう人が何人かいればしめたものです。そこで喧嘩でも競争でもして、早くいいものを作った人の意見に沿って前に進んでいくしかないです。


元のアメーバの円弧の端点から延長した線をもとに曲線グリッドを作り、この線に沿って間仕切り、カーテン、照明等を入れていきます。円弧のパターンは4種類を用いています。録音室などの閉じる場所も、この円弧を用いてソラ豆のように配置しています。


形を「どうつくったか」ということは別にどうでもいいです。もちろんそこに主題を見出す設計者もいますが、あなたたちの場合、もはやそこの精度を上げる時間的余裕はないでしょう。それよりも形はこれがいいと思う、この形ならこういういいことが空間で発生します、ということを言ってくれれば設計案としては成立します。難しく考えず、その場所にふさわしい形をあれこれ考えて絵にしてください。おそらく何種類かのRでできた天板を組み合わせたぐにゃぐにゃ曲がったテーブルが連続して行くようなイメージなんでしょうか。



8番チューブ周りにキッチンを備えつけにし、キッチンを中心にテーブルを継ぎ足していって様々なスケール(5人、10人、50人・・・)の活動に対応できるようにします。キッチンや家具もチューブを拡張したようなデザインにしていきます。
以下の写真が拡張パターンの例です。


「パターン」はいらないです。可変性をテーマにするならともかく、この案はそうではないでしょう。これでいけます、っていう案を1つ出してくれればいいです。キッチンワゴンが動くから可動性はいささか重要なコンセプトだとは思うけど、だからといって「態度保留」見たいな「設計の一例」などは不要です。キッチンがこっちにドッキングした場合とあっちにドッキングした場合、の2つのシーンくらいはあっていいと思いますが、それはいくつもの可能性をはらんだ2つという言い方である必要はないはずです。


今後の予定
・家具の詳細スタディ
・素材の検討
・間仕切りの入れ方のスタディ

抽象的で申し訳ありません。このままではまずいと皆、自覚しております。これから素材・寸法・組み立て方を具体的に検討していきます。
よろしくお願い致します。


どういうアドバイスがいいのか…「モスバーガーを見よ」とはもはや言うつもりはないですが、他の2つのチームのやり方も見ながらやっていくしかないんじゃないかなあ。
 今AVシアターの形が強いですよね。あの西、南面の曲面と北、東面の直線面の対比が気にならないくらい、全体を曲面のカウンターで囲ってしまって、AVシアターを埋没させるとか?

健闘を期待したいです。

松原先生ネットエスキスーすずめ食堂

■2班目
チーム・すずめ食堂(北本直裕、佐藤知、平野晴香、山田哲也)
ネットチェック、よろしくお願いいたします。


チーム名がよくない。もっとストレートに実現したい空間の名前を、知らない人にも共有できるような形でつけたほうがいい。


下記、6月14日の松原先生エスキス内のメモになります。


〈プログラム〉
・オフィスをなくすわけにはいかない
・プログラムをどうインテグレートするか

〈図式〉
・アメーバが震災によって壊れた→アメーバから新しい図式へ転換する理由づけとして、box性を高める方向へ。
・建築と細部を共有するために、キューブというデザインキーワードを共通させるべき。不動点を増やす方向へ。

〈空間〉
・キューブの図式を強める設計をしろ(床、壁、天井、家具、照明)
・家具と照明の一体となったようなデザイン(P:設備的な家具、対してのブラックボックス
・演出の仕方をもっと考えてみては。

・状況的な判断はダメだ、もっと長期的な判断をくださなければいけない。



※前半は6月14日のエスキスを踏まえ、その後のエスキスをまとめたモノになります。



なかなか前振りが長いですね…早くどうするかを示してもらったほうがいい。プロセスも重要ですが、結局我々に一番大事なのは設計したその結果です。問題をどう解いたかを最初に延々と語らず、まずあなたの出した答えを教えてほしい。


1、内外を隔てる閉じたアメーバ壁から活動を開くL字壁へ

  • fig1

以前は空間を隔てるアメーバのような壁によって領域が二分化していた。有機体のもつ曲線が膨らむことで〈場〉をつくっていた。

  • fig2

私たちの計画では、より活発な制作・発信・交流を狙い、フロアを一度漂白して、新たな領域つくりを試みる。

  • fig3,4

ルールは既存の壁体から、〈Tubeを内包するように、L字の壁体を切り取る〉。このL字壁とTubeの対関係は、未完結な空間を次々に生む。

  • fig5,6

ところどころL字の壁体が残されたことで、Tubeまわりに〈場〉が形成される。〈活動を開いて、変化する領域を生み出す〉働きをするTubeへ。Tubeを内包した図式が誕生する。


「アメーバ」に対して「L」というのはいいと思います。「アメーバ」が2つの領域を強くわけすぎていたから複数の半開放的な「L」で機能を分け直すというのもいい。あとはなぜ50m四方のここにこれだけの数の「L」がばらまかれたのかということがうまくダイヤグラムで言えればいいんじゃないでしょうか。


2、Tube×Grid
従来のGridシステムは、空間の文節だけでなく、Tubeのリズムにも調和していることから、設備や固定家具の配置はこのGridに沿った3段階の大きさををもつL字システムで展開させる予定。


3、3段階のL字システム
L_size:7Fを大きく領域づける
M_size:設備や照明を取り込んだデザインの固定家具
S_size:可動する家具(現在のsmtに備えられている家具)


L型とスケールのLが用語がだぶっているのは説明上損ですね。この話はなくてもいいんじゃないの。


形態操作とプログラムの関係性


やっぱりこの絵わかりづらいな。左の001図面で黒く塗られているのが閉じたスペースで白いのが開放的なスペースだとしたら、右の003図面も白い平面の中に黒なりグレーなりの閉じた/半分閉じたスペースが表示されているようなものにしないとだめじゃないかと思います。今の003図の全体がグレーの床と黒の壁という書き方はやめて、基本的には白い床にL型壁が立っており、壁のそばが黒でLの外に向かうにつれてグレーから白に代わる、というような絵にしたらどうですか。黒と白が中と外ではっきりわかれている図式から、細かく分かれたLスペースがなるべく黒白を混ぜている、というようなことがこの2枚の比較ですぱっと言えないと。諸機能を色の違う線と文字で書いているのもこの図をわかりづらくしていると思います。それは別の図で描いてもいいんじゃないかと。おそらく次の「機能の入れ替え図」としてまとめたほうがいい。1つの図にいろんなことを重ねすぎててわかりづらくなってると思います。

  • fig1

以前7Fのスキマ空間で行なわれていた顧客たちのアクティビティ、〈固定化が際立っていた。

  • fig2予約時に借りられる家具はHP上でリスト化されいつでもチェック可能。使用者が自分でレイアウト出来る上、カタログでも対応する。
  • fig3

前年から予約するビッグイベントを知り、他団体が被せて1ヶ月前に他のイベントを、前日に個人でイベントをしかけたり今までになかった戦略的な運営システムを提案する。

  • fig4

同時多発的なイベントの発生は、継続的に企画者間の成長を促し、アクティビティの精度は急上昇していくことになるはである。

  • fig5

〈●は家具や設備〉導入の初期段階では、おそらく顧客の領域意識が抜けずに、なんとなくお互いのアクティビティを視線で交換する程度になる。

  • fig6

システムに慣れると、各団体間の評価で交流が生まれ、〈smt内の団体と個人〉、〈団体と団体で企画を主催する〉という第二段階の運営システムが生まれる。


機能の入れ替え/見直しを行う。


この絵もわかりづらい。要はLスペースという最初の大事な概念が表現されていない図面にこのトピックだけを描きこんでいるから他の概念との関係がわからないし、余計な情報ばかりが気になる。黄色い点線などいらないでしょうし、青い色がいくつかあるのもわかりづらい。まずもって描きこんでいるベースになる平面図がLスペースを表していないのが問題だ。

 このへん、アウトプットの質は低くないのに、ようはメンバーがばらばらにやっているから全体のチームとしての案の訴求力が落ちてるんですな。最初のコンセプトをもっと共有し、それにみなが向かって作業しないとだめです。ソツはないけどつまらないことになっては、グループでやっている意味はない。わかりますかね私の言いたいことが。


主として、2Fの映像音響ライブラリ、雑誌類と7Fのオフィスの入れ替えで、その他に7Fに新しくすずめ食堂などの機能を追加する。
7Fのアメーバ外の空間は、使われ方が東部分に偏っていたため、アクティビティが全体的に広がるようにL.size ,M.size家具を配置していく。

まず、L.size:壁によって大きく領域を分ける。
劇場系   (南西)
バックヤード(北西)
映像系   (北東)
展示系   (東)
スタジオ  (南東)
食堂    (中心)


そして、その周辺に関連性の強い機能を備えたM.size:設備家具をチューブ間に配置することで一般の人が自由に7Fを動き回れる環境を与える。


  • 1.ラウンジ

ラウンジではメイン動線からの流れを一旦引き込み、各イベントへと分散させる家具配置を行なう。Mサイズ家具に雑誌の展示機能とアーカイブ機能を割り振り、求心性を持たせメインエントランスからの流れに1クッション緩衝帯を置く。この場所「伊東氏お気に入り」というパネルが置かれている事からも眺めが良い場所であるため、家具は低めに抑えてあり、出口へ向かう際にも視線を遮らず、かつ雑誌等が目に入りやすいようになっている。

  • 2.すずめ食堂

食堂部分は動線をまたぐように大きく領域をつくり、動きのある場とした。食堂西側にある家具は、チューブからはみだすように配置することで、誘い込むような動線をつくりつつ、アイストップとなるようにしてある。座面の高さは400mm程度、奥行きはゆるやかに傾斜する背もたれと合わせて600mmにし、家具の置き方(机を置くか椅子を置くかによって)椅子にも机にもなるような寸法にする。映画祭などの大規模なイベントの際にはカウンターとしても使用する。

  • 3.映像音響ライブラリー

L字壁と受付カウンターによって、バリアの様に少し強めの領域分けをし、同時に動線を分ける。北側の家具にはプロジェクターやスピーカー等の設備を備える。

  • 4.

5番チューブからアクセスした際、9番チューブが見えるように東西方向の家具の高さを抑えてある。

  • 5.

8番チューブは内側外側の明暗により、外からは反射して見えにくく、中からは視線が通る。

  • 6.

機能の強い領域の中間にある場所で、家具によって動線をキューブの内側に曲げてある。この家具もプロジェクターなどの機能が埋め込んである。

  • 7.

掲示にも使える本棚は、数人でミーティングを行なう際の小さな領域作りにもなる。

  • 8.

動線はが交差しないようになっている。カフェからシアターへのサービス動線も確保してある。


この平面図兼照明計画図がとても重要です。今のこの絵はまだ十分にLスペースを強調できてない。もっとLスペースを全面に出すように考え直してほしい。位置と大きさはどうやらそれなりに考えられているようですからいいとして、もっとLがはっきり見える平面図と照明計画にしてください。

たとえば、AVシアターの南西のL照明はないほうがいいでしょう。シアターの東壁と北壁を強調しLスペースとしてライン照明をきちんと北側にも入れ、南と西の壁をなるべく弱くして別の照明システムにするなど考えたほうがいい。
 その北側のキッチンもL型の壁はあるんだから、そのL型の壁をしっかり描いてカウンターはもっとぼかして描く(点線化するとか)。
 その東側の映写室会議室も、きちんと一番外側の壁を厚めに描いてLを見せてさ、南側の倉庫の東壁や北壁を細めに描いてL型を強調する。
 オフィスとギャラリーのところのヨコ倒れのL型も同じ、Lの壁を太く描いて西側の部屋の南壁と東壁は細く描く。スタジオも同じ。

まずLがはっきり出るダイヤグラム的平面図を描いて、それに照明システムを乗せてみる。L壁の外側に天井スリットで壁をウォールウォッシャー的に照らすなどしてL壁が輝いていて、それ以外は間接照明にするとか点光源にするとかして、最初のLスペースコンセプトをうまく強調するように照明計画を貢献させないと。今のこの絵は、平面図ダイヤグラムとしてもL型が見えてきづらいあいまいなものだし、照明はその機能ごとに場当たり的に決められていてLスペースのコンセプトを強めるどころか弱めてしまっている。結果としていくつかのアイデアがごった煮になったはっきりしない案になってしまっています。
  

照明計画について

キューブの図式を強める照明のコンセプトが決まっているので、上図のようににライティングの検討をしている段階です。現在は商品カタログや内装の利用例もとに、少しラグジュアリーな演出の仕方を考えています。


上に描いた通りです。L壁を強調する照明システムがまずあり、それ以外の照明システムがある。それ以外のシステムが多すぎると、L壁の照明が目立たなくなるので注意。L壁の照明は天井スリットでウォールウォッシャーでもいいし、壁自体がガラスでできていて内側に照明を仕込んで面発光させてもいいし、いろいろ考えられるはずです。



サイン計画について

直行するグリッドで作られたL字の壁の空間に合わせて、垂直と平行な直線によって構成されるフォントを作りました。これをもとにサイン計画も考えていきたいと考えています。現在、すずめ食堂のロゴも制作中です。



フォントのデータはうまく表示されないようです。まあそういうのも大事ですからいい案を出してください。


以下、6月30日の小野田先生エスキスのメモになります。

・家具に違和感 → 普通のスケールがもったいない(家具の出し入れで劇的)
・空間を面白くおもしろく → 魅力は何?
・今までと使われ方としてどう違うのかわからない
・床レベルの操作をしよう
・活動を誘導する方法が弱い
・チューブとの対応を優先しすぎて、コンセプトとしての面白さをつめれていない
・スケールが言語的(スケール/空間で活動を促す)
・Mサイズ家具のデザインをデカクしてもいいんじゃない?



床レベルを上げ下げするのはどうかな。床の素材はなんですか?L型壁があり、そこで囲われた長方形はある色のカーペットでそれ以外は別の色というようにして四角を視覚的に区別しながらレベルと素材は一緒、というような形もありかと思います。L型の四角の中と外で天井を変えるのもありでしょうね。

チューブとの対応も重要ですが、重要なのは、あなたたちがチューブ以外に、アメーバに代わるLスペースを発見したということなんだから、そのLスペースをいかに魅力的に見せるかということなんじゃないでしょうか。Lスペースを挿入したことで、他の階にはないチューブと対比的ななにかスペースが生まれれば、それはその場所にふさわしい場所、として言い切ってもいい。そのために必要なダイヤグラムを逆算して描き起こしなさい。空間として魅力的にできるかどうかはまだ今の段階ではわかりません。がんばってこの方向でやってみるしかないですよ。


では、よろしくお願いいたします。

松原先生ネットエスキス

6/21、6/30は片平にて小野田先生によるエスキスが行われました。
コンセプト提案から飛躍して、次のレベルでのディティースタディ、どの班も面白くなりそうです!
今日の内容をふまえて、松原先生に内容を報告させていただきます。

(後ほど付け足し)



■1班目
Team Table(新藤、片桐、中村、青島)

お世話になっております。Team Tableです。

中間講評会の際に発表したオフィスランドスケープ型のアイデアを、テーブルを製作するという観点から具体化し、現在は各プログラムはこのように展開するプランに至っています。
(模型はgoban tube周りのstudyゾーンとrestingゾーン)


Tableは滑らかな傾斜をつけるのではなく、高さ方向で3段階に分けて、各々の高さで行為を与えるつくりにしました。
3種類の高さの木材スラブ面(FL+400(ピンク)、+700(青)、+1000(緑))は、1220×2440の規格の合板を5通りにカットした全10種類の部材をピース状にして組み合わせでできており、
7F常駐スタッフと利用者の視線を遮る事なく、各々の行為・WS・催し毎等をゆるやかに分割するかたちで全体が構成されています。


ぱっと見て面白くなりそう。ピースを整理し、レベルをそろえたのがよかった。多様なようでいて実は整理されているところがいいと思います。


<+400>
シナランバーコアt=20 UC
軟質ウレタンフォームt=6
硬質ウレタンフォームt=7
ラワン合板t=10

行為:座る、+700との間において本棚、スラブ下引き出し収納(特にオフィス部)


ランバーコアにウレタンクリア塗装はそれだけで成り立ちます。しかしウレタンフォームが素地で出ていることはないので、なにか塗装なりカバーがつくはずです。ウレタンフォームについてイメージがちゃんと具体的になってますか?ウレタンフォームはテーブルトップ全面になくてもいいわけでしょう?クッションみたいに部分的に置かれたり、座面になるところに下のランバーコアと接着してくっついてカバーがそれにつくような在り方でもいいです。
ラワン合板もそのうえに何か塗装なり貼りモノが出てくると思うけど。あるいは無理してラワン合板を使わず全部ランバーコアにするとか、あるいはその逆もあり得ます。ここでシナランバーとラワン合板の2種類の木板を使う根拠がわからない。


<+700>
ラワン合板t=12小口テープ貼り
構造用OSBt=12

行為:FLにいすを置いた場合の作業用天板、+400に座った際の作業用天板、+1000との間での本棚、資料置き、等


これは合板とOSBのどちらかが天板でどちらかが縦の支持材ということでしょうか。なぜ2つの異なる材料を使うのかがわからない。
どうやら3つのレベルの天板を変えたいということのようですね。それならそれはいいんだけど、その場合、縦の支持材は材料を1つにし、水平の面材だけを材料を切り替えたほうがコンセプトが明確になると思います。


<+1000>
ラワンフラッシュt=12 OS小口テープ貼り

行為:立ちながらの筆記・雑談、カフェカウンター、本棚、等


カウンターが厚12って結構薄いですよ。普通30−40くらいはあるもんです。反りも気になるし。今の7階のラブグローブ設計の緑のカウンタートップや書架天板も30くらいはあるんじゃないかな


木材の固定には、十字型にリブを入れる事を考えています。
リブ:ランバーコアt=24


この模型写真と最初の色分けされた平面図の関係がよくわからないんだけど、一番上は水平材がついてこのように縦材が目立つことはないと考えていいですよね?縦リブを全部ランバーコアt24で作るように考えたらどうですか。あまり余計な材料を他に入れない。水平のレベルは3つあり、素材も違うが、厚はみな同じ24or30程度でそろえている、というのがエレガントだと思います。



天井については、旧オフィス部のFL+2978のルーバーをそのまま全体に延長させています(天伏図有)。
ルーバーの素材については、現行のMバーを全体に延長させるか、木製のルーバーに変更するのか、検討中です。


天井が木製の場合は不燃処理が必要。お金を気にしなければ木製もありえるでしょう。事実上あまりありえないよね。家具のカウンタートップは建築の内装仕上げではないので、不燃処理を必要とせず、そのまま木を使っても問題ありません。
それから、床の素材はどうなりますか。3レベルの天板が木色だと、床のカーペットも木色にするとか、あるいは床を実際フローリングにするとかはできます。どういう考えで床素材を決めるかはっきりさせて、それにあわせて詳細化するといいでしょう。もともとの「知のガーデン」をどうとらえ直すかがあなたたちに問われています。


照明については、直径150mm〜350mの大きさの、伸縮・取り外し可能な丸形ペンダントライトを考えています(パナソニック電工)。
設置方法は、ルーバーから吊るし、1500mmピッチで配置しています。


この照明を使うのは面白そうですね。正確に言うと「ルーバーから釣る」のではなく「ルーバーとルーバーの間の下地から釣る」んでしょう。
照明を地面の高低差に合わせて波打たせて設置して見せるのか、あえて同じ大きさで小さめの照明を多めに設置して定禅寺通りから見たときに大きな発光面として見せるのか、いろんなやり方があります。方針を決めて、それにふさわしい器具の大きさとピッチ(とできれば照度確認)を決めてください。昔山口県萩市に行ったとき、萩市民館というのを見ました。菊竹さんの設計で照明はまだ当時かけだしだった石井幹子さんで、あの照明がすごかったですね。中心のコアから放射状に電線をメッシュでかけわたして、それに裸電球がついていて点灯すると見事に曲面の光の面を作るんです。ああいうシンプルな工夫でも強い設計の意図を表出できる。以下に写真があります。
http://www.city.hagi.lg.jp/furusato/network/pdf/200109.pdf#search='萩市民館 石井幹子'



<左パース>
Cafe右より、会議室を見る。
会議室はガラスボックスでできており、その外皮を100mm間隔で垂直方向にルーバーが伸びており、+400、+700、+1000の高さの部分は他の機能の場と同様に、Tableが伸びていくかたちを考えています。


まだ無駄なスペースが多い気がする。テーブルの面が大きすぎて使えない面が広すぎないですか?もっとテーブル面を細長くして接触長さを大きくしてなるべく多くの人がテーブルなり椅子に近づけるようにしないとまずいと思います。


<右パース>
goban tubeのstudyゾーンから東側presentation spaceを見る。
今までスタジオA部で見られたような、専門的な内容を行っているWSなどの脇を第3者が通っていた風景に対して、この提案の場合は、滞在しながら(ex.勉強しながら、軽く座って話し合いながら)WSの様子を窺うことができるようになります。


パース奥のボードの前にたまっている人の群れは地面に座っているんでしょうか?それはないんじゃないか。椅子にすわって+700の机をうまくかませるか、+400のに座らせるかしないと。


現在考えている、今後2週間余りでブラッシュアップして行く点・作業項目としては、
・南面のファサードの美しさと人の流動性を保つために、南面を塞ぐかたちで敷き詰めているテーブルを調節する。
・あまり整理出来ていないリブの構造を整える。
・現行提案の天井、照明、床材、テーブルと、多様なデザインコードが占めている空間に対して、統一感を出すために、色調を揃える・機能を絡ませる等の操作をする。


南面以外の3面は、積極的に2人掛けできる浅い+700とか+1000のレベルの机を設けて、窓に向かって作業できる面を確保するのはありかと思います。これは他の階にあまり空間の使い方だし。縦リブは思い切って割り切ってあるグリッドにあわせて立てて、それがうまく間引かれながら、何種類かに整理された雲型のカウンタートップがジグソーパズルのようにくっつきあうのを支える、というあたりが美しいありかたではないでしょうか。


直近では、1/50の全体模型で主に動線など全体の納まりを検討しつつ、1/20模型でリブの検討とよりヒューマンなスケールでの1シーンの想定を行うスタディをする予定です。


あらためて最初の全体平面図を見てください。この案のポイントは、この平面図でぱっとみなさんの設計意図が伝わらないとだめです。そのための着目点はおそらく、「AVシアター」よりも、「チューブ」に対してどういう考えでこのテーブルを並べるか、ということじゃないかと思う。ああ、こういう意図でこういうテーブル群を並べたのね、ということがぱっとわかるようなものをもう一度目指してみてください。外周に薄いテーブルがまわっていてそれ以外はチューブのまわりにテーブルが立体的に絡まっているとか、あるいは13本のチューブ以外にチューブ的にテーブルが集まっていてあたかも18本チューブがあるように見えるとか。この全体配置を雰囲気で決めず、なにか強い意志でもって並べられれば、これを「その場所にふさわしい」と言いきれると思う。テーマを忘れない。私の質問に答えてください。質問は「その場所にふさわしい」空間をつくることですよ。頭の中で抽象的になりすぎないよう、SMTの7階の写真をもう一回見て、うまく平面図であなたたちの意図を示してほしい。がんばってください。


2班目以降は次のログで。

6/14 松原先生エスキス1

5月14日(土)松原弘典先生による第1回のエスキスを行いました。
初回の課題説明と同様に、せんだいメディアテークの3がつ11にちをわすれないためにセンターを利用させていただきました。北野様はじめ、ご協力頂きましたメディアテークの皆様には心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

当日の発表の様子はこちらから見ることができます。
http://www.ustream.tv/channel/recorder311
http://twitter.com/#!/recorder311



チーム/テーブル
・着目した点→イベント、プログラムの性質から、7階には専門的内容のイベントが多く、利用者が限定的である。
・提案→7階をサードプレイスとして位置づける。利用者とスタッフの距離を近づけるために、固定席ではなく、大きなテーブルで作られるオフィスランドスケープのあり方を考えていく。内壁を取り払うことで行為をmixし、共鳴させていく。
・講評→内向きである7階の現状を、より内向きにしたいのか外向きにしたいのか分かりにくいが、方向性としては良い。会議室が閉じている理由(音の問題など)を考える必要あり。大胆な思いつきで終わらせないために、素材や動線、収納など機能配置のスタディを行う。等・・・

チーム/すずめ食堂
・着目した点→10年のイベントの分析から、smtは文化の発信地として機能している。誰でも情報発信ができる今、施設利用の柔軟性が弱い。
・提案→オープンヤードとして歴史を継承しつつ、新しい団体を取り込んで行くための新しい運営モデルから導きだすリノベーション。空間としては、オフィス部分を2階に移し、利用者に7階の使い方を自由に考えてもらう。アメーバ壁の解消により、家具によって空間をつくり、干渉し合うことを目論む。
・講評→オフィスを減らすことにより中と外をつなげる際に、オフィスをゼロにすることはできないため、どこに配置するか。壁を壊すだけでなく、アメーバに変わる新しい形態の言い方。例えば、最低限必要な部分を箱にすれば、空間の図式として強くなる。元々持っていた建物の特徴を弱めるだけでは弱い、等・・・




チーム/ランナーズハイ
・着目した点→7階にあるたくさんのコミュニティが横断的に活動していない。(特にシアターをもっと開放的にしてはどうか。)
・提案→今までの10年を引き継ぎ、これからの10年、多くの人が交流し、より活動できる場にする。7階を海面、水面としてとらえ、海や島のようなデザインコンセプト。可動式のキッチンを重点的に設計し、日常的なコミュニケーションを活発にする。チューブによって囲まれた空間や、家具や人によって構成される空間などの可能性を探る。
・講評→コンセプトは良い。横断的なスペースをつくるためのキッチンについての提案であるが、キッチン以外についてはどうなのか。今までのsmtとどう違うのか具体的に提案を。二重の壁があるシアターを開けたりしても良い。横断的にするということへの踏み込んだ解釈が必要、等・・・





勝手ながら赤垣個人の感想を言わせていただきます。
利用者とスタッフを近づける、干渉的な活動、利用者同士のmix、横断的活動、・・・などなど、言葉は違えども各チームに似た考え方があると感じました。しかし異質な物同士を混ぜることによる、「効果」や「これまでと違う面白さ」は一体何なのかもっと聞かせて欲しいと感じました。そもそも、交流とはどのようなものなのか。空間や視線、家具の交流ならすでに達成されていたかと思います。私も7階のスタジオをよく利用していましたが、勉強をしている受験生とか、忙しそうに働いているスタッフ、限られた時間の中でミーティングをするアート団体などと、どうにかして交流する意味を考えたことはありませんでした。
唯一すずめ食堂だけは、「大イベントにかぶせてイベントを予約する面白さ」など、その干渉の仕方に具体的な部分があってよかったと思います。



最後に総評として松原先生からは、大きく2点が挙げられました。
�分析と設計との関連性。自分たちが必要だと思った要素を、具体的な空間として提案すること。アイディアからの脱却。
�実際の施工性を現実的に考えること。
の重要性を指摘されました。

また、チームが一体となった状態をプレゼンすることが大切であり、誰がどこを考えたのか分かってしまうプレゼンを超える努力が必要であるそうです。チーム同士の戦いというよりも、チーム内でのぶつかり合いを成果として見せて欲しいということです。

今後の予定と致しましては、21日に小野田先生のエスキスがあり(各チーム発表10分程度)、30日〜1日の間に松原先生によるネットチェックを行いたいと考えております。

最終講評まであと1ヶ月となりました。松原先生、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
本日はありがとうございました。

TA赤垣