エッセイ「TOKYO FILMeX 2018」(感想は当時のもの) 2018年のフィルメックスにおいて、いくつかの作品を見たなかでそれぞれの作品に共通する主題があるように思えてならなかった。それは境界をこえることである。 『自由行』は中国大陸から香港に住まわざるをえなくなった主人公の女性監督が台湾を訪れるというのはそのものといっていい。演出においても、家族を乗せたタクシーと母親のいる観光バスがべつべつの道を進んでいくシーンや主人公が政府を煽るようなことをすると言ったときにベランダにいた夫が離れていってしまう場面は境界に線を引いている。終りの方で主人公が「わたしは異邦人です」というのも、イン・リ…