本書は、ハーバード大学のケネス・S・ロゴフ教授が従来から主張している「レスキャッシュ」、すなわち、現金のない取引である「キャッシュレス」ではなく、現金の少ない社会を解説している書籍である。 振り返ると、現在はロゴフ教授の提唱するレスキャッシュ社会になっている。朝起きて、駅の近くの喫茶店で朝食をとり、駅から職場まで電車で移動し、職場の近くのコンビニで缶コーヒーを買い、職場で働き、職場の社員食堂で昼食をとり、職場近くの書店で本を、ドラッグストアでシャンプーを買い、電車で自宅近くの駅に着いて、スーパーマーケットで買い物をして帰る。これはよくある社会人の日常であるが、その流れの中で一度も現金を使わない…