「ギザギザロック」とは、僕が勝手に作った言葉である。その言葉を初めて思い浮かべたのは、テレヴィジョンの「マーキームーン」についての記事を書いた時だった。このアルバムのことについて上手い言葉はないかな、と思って考えた末の言葉だった。 つまり「ギザギザロック」とは、何とも言い難い切実さを持って歌うヴォーカリスト(テレヴィジョンの場合はトム・ヴァ―ライン)を擁するバンドが奏でる音楽のことを指す。勿論演奏も切実であれば言うことない。僕は長きにわたってヴォーカルを中心に音楽を聴いていたから、どうしても唯一無二の声、という点に注目してしまう傾向にあったようだ。 だからギターが歪んでいたり、ヴォーカルが叫ん…