ダン・ブラウンの発表した『ダ・ヴィンチ・コード』が世界でベストセラーとなると、再び「シオン修道会」に人々の注目が集まった。前文においてダン・ブラウンは小説のもととなった「事実」に言及し、シオン修道会が1099年に創設された実在の秘密結社であるとしている。さらに1975年、パリの国立図書館で『秘密文書』なる資料が発見され、そこにおいてアイザック・ニュートンやサンドロ・ボッティチェリ、ヴィクトル・ユーゴー、レオナルド・ダ・ヴィンチなどがシオン修道会のメンバーとされているとした。小説の本文では、多くの有名人がシオン修道会のメンバーであったことの証拠となるこの「秘密文書は多くの学者たちによってその史的根拠を広く認められている」(48章)と登場人物に言わせている。しかし実際には、ほとんどの学者や研究者は、この『秘密文書』を偽書であるとみなしている。