ジャケットの絵が不思議に印象的なカナダのシンガー・ソング・ライター、トニー・コジネクのセカンドアルバム『バッド・ガール・ソングス』は、ずいぶん前から目を付けていたアルバムだったが、最近になって思い立って入手し、事あるごとに聞いてきた。1970年、トニー・コジネクが22歳の時のリリースだが、その音楽は時代の垣根を軽々と越えて、今そこにいるように生々しく新鮮に響く。 あるいは、ちょっと懐かしい感じを予想していたのかもしれない。でも、そういう風にはならなかった。50年も前の音楽なのに、そのシンプルで繊細な感触ごと切り取られ、僕の日常の中に違和感なくはめ込まれた。 そこには、色褪せないものが厳然とある…