ヘ(F)、ロ(B)、嬰ニ(D♯)、嬰ト(G♯) からなる和音で和声学で言う減五七の和音の一種。また、また一般に同じ音程(下から順に増4度、長3度、完全4度)からなる和音も指す。 ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」の冒頭部で聞かれることからそう呼ばれる。 作曲された当時は音楽家達に(良い意味でも悪い意味でも)衝撃を与え、「和音崩壊の危機」とまで言われたが、マーラーやドビュッシーなど後世の作曲家達の作品にも多く用いられている。
💮圧倒的な男声ソリスト陣の歌声!! 💮女声ソリスト男声に圧倒されるも、立派に大健闘!! 💮ヤノフスキー・N響、アンサンブルのみならず奏者個々の力量発揮!! 💮男声合唱団、力強い響きをくり出すも、やや力味過ぎの箇所も! 💮演奏会形式超えの舞台効果の工夫が光る!! 【日時】2024.3.27.(水)15:00〜19:30(予定) 【会場】東京文化会館 【演目】ワーグナー楽劇『トリスタンとイゾルデ』全三幕(演奏会形式)、独語上演、日本語字幕付 【上演時間】約5時間(第1幕80分、休憩30分、第2幕65分、休憩30分、第3幕75分) 【管弦楽】NHK交響楽団 【指揮】マレク・ヤノフスキー 【合唱】東京…
新国立劇場に『トリスタンとイゾルデ』を観に行ってきました。いや〜良かったです。 ぽん太が前回このオペラを観たのは、調べてみると2007年のベルリン国立歌劇場の来日公演。この間、「前奏曲と愛の死」は動画やCDで何回かは聴いたものの、全幕は17年ぶりでした。 早寝早起き老人のぽん太、16時開演なら帰りはそんなに遅くはならないだろうと踏んでいたら、45分の休憩を2回挟んで、終演はなんと9時半ごろでした。すっかりお眠になりましたが、大変満足することができました。 しかしこのオペラ、長時間の楽劇にもかかわらず大きな出来事もなく、数人の登場人物が延々と歌う(会話する)場面が多く、なんだかぽん太は歌舞伎を、…
◎リエネ・キンチャ(イゾルデ役)、貫禄の重量ソプラノ披露。『愛の死』は、疲れを毫も見せず熱唱。この日の大賞級!! ◎藤村(ブランゲーネ役)実力発揮、大健闘!! ◎代役ゾルターン・ニャリ(トリスタン役)一幕終盤から本調子。第二幕で本領発揮。 ◎エギルス・シリンス(クルヴェナル)力強い歌唱!!要所を〆る。 ◎ヴィルヘルム・シュヴィングハマー(マルケ王役)重量戦車級バス・バリトン。堂々たる歌声!! ◎大野都響、見事な管弦捌き。特に冒頭の前奏は珠玉の演奏、日本版フルトベングラー・ベルリンフィルか? ◎合唱は出番の少い場面を手堅く抑え、演技も過剰にならず、さっぱり感。舞台はシンプル、演技もまずまず。男女…
誰しもワーグナー『トリスタンとイゾルデ』を論じるとなれば、ニーチェの『この人を見よ』の《あれこれ考え合わせてみると、私はヴァーグナーの音楽がなかったら、私の青年期を持ちこたえることが出来なかったと思う。(中略)レオナルド・ダ・ヴィンチの示すあらゆる異様な魅力も、『トリスタン』の最初の一音で魔力を失ってしまうであろう》あたりの、いかに『トリスタンとイゾルデ』に麻薬的に魅了されたことから始まって(そして後年のニーチェの愛憎相半ばしたワーグナーへの毀誉褒貶のいきさつも眺めたうえで)、トーマス・マンの『リヒャルト・ヴァーグナーの苦悩と偉大』におけるショーペンハウアーの「意志と表象」、ドイツ・ロマン派の…
手に汗握る、究極のブルックナーを聴いた。 ネルソンス指揮ゲヴァントハウス管、2日目も欠かさず足を運んだ。 前半は《トリスタンとイゾルデ》より前奏曲と愛の死。端正にトリスタン和音を鳴らし、解決しない音楽が切迫してゆく。大音響で頂点を極めても、飽和しないのは流石。ネルソンスらしい、劇的な愉悦がある演奏になった。 後半、とにかくブルックナー交響曲第9番が素晴らしいの一言。ネルソンスはパウぜの処理で緊張感を高めるような間の取り方を行った。テンポも自由度が高く、昨日よりはネルソンスの意図が前に出ている印象。鮮やかに鳴り渡る1stオーボエ。立体的に音の塊を生み出す弦セクション。全てが最上級の美しさであった…
岡田 本書の目的は従来型の音楽史とは異なる文脈を提示すること。最近のウクライナ情勢は、ソナタ形式の再現部のよう。提示部:二つの世界大戦、展開部がベルリンの壁崩壊以後、そして2022年以降が再現部? ユーラシア大陸の中心から非西欧の狼煙が上がった。「西洋音楽」は西欧自由主義、啓蒙主義の文化的象徴だったのだが・・。 片山 東方正教会の復活? ユーラシアはヨーロッパでもアジアでもない? 岡田 ウクライナはホロヴィッツ、リヒテル、オイストラフ、バーンスタインなどを生んだ。パリのオペラ座の天井の絵もシャガール。 片山 ロシアのユーラシア主義とは,正教を基礎にする正しい世界が東方に維持されていて、堕落した…
第三章 ロマン派というブラックホール1.ロマン派とは何か 岡田:ロマン派はクラシック・レパートリーの本丸。 片山:小難しい古典主義ではなく、階級を問わず広く受け入れられる新しい価値が「ロマン」。 岡田:ロマン派の時代は、1800年初頭からのほぼ100年と長い。しかしこの100年で世界は大きく変わった。馬車から汽車へ。深い森の闇への恐怖も失せていく。 古典派とロマン派では何かが根本的に違う。ベートーベンにはあった「終了感」がロマン派では失われる。ベートーベンが持っていた「社会へのメッセージ」から「個人のファンタジー」へと転換する。 片山:トルコの軍楽隊はヨーロッパのオーケストラの金管楽器や打楽器…
ワーグナー VS ブラームス【音楽史を作ったライバル達④】 - 弁護士法人フィクショナル・公式ブログ(架空)の続き 【時代と場所】 1920年〜1950年頃のウィーンとパリ(途中からアメリカ) 【登場人物】 アルノルト・シェーンベルク(1874年9月13日 - 1951年7月13日) イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882年6月17日 - 1971年4月6日) 【対立の概要】 ・十二音技法(シェーンベルク、ウェーベルン、ベルクら新ウィーン楽派やハウアー等)VS 新古典主義(ストラヴィンスキー、ヒンデミットやフランス六人組等)。 ・作曲のスタンスとして、新しいシステムの構築を目指す(十二音技法)…
ハイドン VS ベートーヴェン【音楽史を作ったライバル達③】 - 弁護士法人フィクショナル・公式ブログ(架空)の続き 【時代と場所】 19世紀後半のドイツ語圏 【登場人物】 リヒャルト・ワーグナー(1813年5月22日 - 1883年2月13日) ヨハネス・ブラームス(1833年5月7日 - 1897年4月3日) 【対立の概要】 ・保守派の音楽評論家として名を馳せたエドゥアルト・ハンスリックという人物がいた。 ・ハンスリックは、19世紀中頃から、新聞や著作において、ワーグナーら革新派の音楽を痛烈に批判した。 ・ハンスリックは「音楽は感情を表現するもの」という当時の一般的な価値観を全面的に否定し…