西洋史学 = The studies in Western history / 日本西洋史学会 編 (216), 313-330, 2004 ドイツ社会民主党と性倫理:一九一三年、「出産ストライキ」論争を中心に 水戸部由枝 ドイツ第二帝政則、特にヴィルヘルム時代は、出生率低下が社会問題として、帝国主義・国民主義そして女性解放との関連で、初めて公的に議論された時代であった。出生率低下の主な原因として考えられたのは、急速な産業化により急増した女性労働者たちの出産に係わる行為である。彼女たちは、度重なる出産とそれに伴い期大する家事・育児労働、就労という二重負担を軽減するために、産児制限により出産を控…