続けてアーサー・ランサムにふれ、彼のロシア革命とのかかわりも既述したので、イギリスとベルギーのちがいはあれ、同時代のエルジェの「タンタンの冒険」シリーズにも言及しておきたい。それはこのシリーズの最初の作品が『タンタンのソビエト旅行』でもあるからだ。これは一九二九年にベルギーの日刊新聞『20世紀』の子どものための週刊付録『プチ20世紀』に連載され、翌年に出版されている。その事実はタンタンの誕生やその冒険にしても、二十世紀におけるロシア革命とリンクしていたことを物語っていよう。 作著のジョルジュ・レミは『20世紀』の若き記者として働き始めたのだが、すぐにイラストレーターとしての才能を発揮し、新聞に…