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ボーダーラインシフト

(一般)
ぼーだーらいんしふと

ボーダーラインシフト(Border line shift ; BLS)とは、精神科医の市橋秀夫によって考案された、入院初期の境界性パーソナリティ障害(BPD)患者の操作、行動化、逆転移に対応するための治療指針である。

定義と目的

  • ボーダーラインシフトは、境界性パーソナリティ障害の患者に対して、主に入院初期に用いられる方式である。
  • 患者を取り巻く医療チームが、統一された方針のもと一貫した対応を取ることによって、患者の対人関係を構造化*1する。
  • スタッフへの対人操作や、その結果生じる逆転移を防ぎ、治療に混乱を生じないようにする。

ボーダーラインシフトの十箇条

  1. なにかしてあげてはならない。
  2. 医師の指示以外のことを行ってはならない。
  3. 話を聞いてあげてもよいが、患者に入れあげない。
  4. 他のスタッフに対する批判を真に受けない。患者の話を真に受けない。自分に対する陰性感情は「症状」の1つと割り切ること。
  5. 起こしたことの責任を患者自身に引き受けさせること。
  6. 大丈夫と言ってあげること。
  7. 互いに情報を綿密に交換する。
  8. 自殺企図などの深刻な行動化が起こっても、過剰反応しない。たじろがない。
  9. 患者の冗談やユーモアの才能を引き出すこと。
  10. 待つこと、我慢させることが治療の力になる。

*看護は「だめ」と「がまん」と「だいじょうぶ」の3つの言葉を使い分けられれば充分といえよう。*2

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  • 精神科看護のテキスト。ボーダーラインシフトについて詳しく記されている。

*1:構造化:一定の決まりや枠組みを設けること。

*2:市橋秀夫.境界人格障害の初期治療.精神科治療学6(7); 789-800, 1991.及び 市橋秀夫.境界性人格障害の治療技法.精神科治療学(13)増刊号 ; 105-110, 1998.より引用。

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