綺麗な絵でしょう と先生は言った。小学校2年生の頃だろうか。図画の教室は音楽室の隣の建物で 古いにおいがした。その図画室を私は好きだった。長い髪の綺麗な樫山先生も好きだった。放課後の図画室で 先生は机に向かって絵を見ていた そっと覗いた私を見つけ微笑みながら手招きした先生。授業の時と違うお茶目な少女のような先生 大きな机の上に絵本があった。画集という言葉を知らない私は 先生も絵本が好きなのかと嬉しかった。 樫山先生は他の先生とは違い はっきりとした自分を持っていることを幼い私は分かっていた。長い長い黒髪を潔く一つに束ね ご自分にはどのようなものが似合うのかをよく知っている。先生は少しレンガ色が…