いまこの原稿を書いている場所は、ベルリン映画祭を訪れる前に立ち寄ったパリの知人のアパートで、ラジオから流れるFM局のナビゲーターが「最近行われた国際的なアンケート調査によれば、フランス語が世界で最もロマンティックな言語であると認識されているそうです」と語っている。ナビゲーターは特に浮かれるわけでもなく淡々と語っているが、まだフランスに華やかなイメージが残っていることを皮肉に思っている様子が感じられなくもない。 フランス語圏からの帰国子女だった僕は、70年代末の帰国直後に通った日本の小学校の教員から「おフランス」と揶揄され、イジメとまではいかなかったけれど「なんだよそれ」という気分は存分に味わっ…