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ミュラー・リヤー

(サイエンス)
みゅらありやあ

ドイツの社会学者・心理学者、1857〜1916。フランツ・ミュラー・リヤー(Franz Muller-Lyer)。
繁殖の社会学ということで、恋愛・婚姻・家族・相続・淘汰・教育・親族などの発展史を包摂する「生殖学」を提唱。全12巻にも及ぶ『人類の発展段階』という大著がある。「生殖学的形式論(形態学)」の第一部が『婚姻・家族および親族の諸形式』、「生殖学的位相経過」の全体像を描く第二部は『家族』、第三部の『恋愛の諸相』では運命の女神;「ノルネン」の制御を細かく分けて詳述している。
但しこの「生殖学」はオーギュスト・コントからウィルヘルム・オストワルド、ダーウィン、ハーバート・スペンサー、トムソン、マルクス、ゾンバルト、モルガン、フレーザーの仕事に倣ったものであり、いかにもな20世紀初頭の社会学を、至当にも展開している。
ただ一般に社会学といえば、ジンメルといい、ディルタイにしても、横広がりな“緯書”であるのに対し、独りこのミュラー・リヤーに限ってのみ、「人類発展の全体像」を中ん就く「人間関係」、引いては「恋愛」(〜結婚)に見出しており、マリノフスキーやレヴィ=ストロース以降さかんになる文化人類学的な“経書”の視点を持たざるを得なかった。
松岡正剛はマルクスら正流に呑まれ、隠れてしまったヴェルナー・ゾンバルトを「再び読む時が来た」と語ったし、それは軽佻みな謂いだとは捉えないばかりか、最近代の意識の流れの全体像を俯瞰した際、必ずマッハだとかスペンサーとかモース等々へのこの等閑を反省するべき時に来ており、その際おなじ“恋愛”を扱った社会学では寧ろゾムバルトよりもリヤーだ、と言いたい。
そのリヤーの作品でいま辛うじて入手可能なのは、先述の大著の第二部;『婚姻の諸形式』くらいのものだろうか。

なお、現代でもミュラー・リヤーの名が消えないのは、消極記号と積極を意味する図案の考察中に発見した「錯視」(Muller-Lyer illusion)により、ロールシャッハやエッシャー並に基礎的なモデルとして引用・照会が止まないためである。
同じ2本の線分の両端に、同サイズの矢尻をそれぞれ違う向きに接続すると、外に開いた方が長く・内に閉じた方が短く見える例の錯覚である。

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