(ポピュラー・カルチャー論講義補遺)「アメリカ」を考える(16)城山三郎とフラワー・ムーブメント 作家・城山三郎と言えば、経済小説の草分け的存在で、歴史小説なども多く、どちらかといえば重厚な作風で、中高年男性向けといったイメージが私にはあります。ですが、1967年(当時城山は41歳)に出版された『ヒッピー発見 アメリカ細密旅行』(毎日新聞社)は、4カ月半にわたり北米をバスで駆け巡った紀行文となります。 船でサンフランシスコに着いた城山がまず目にしたのは、「ヒッピー族」の群れでした。 36p「美しいサンフランシスコの街に下りた私に、最も衝撃的だったのはビートの大群であった。私は啞然とし、同時に下…