【最近読んだ本】 山田正紀『謀殺のチェス・ゲーム』(ハルキ文庫、1999年、単行本1976年)A 人をゲームに見立てたタイプの物語はなんとなく食傷していたので読んでいなかったが、これは面白かった。何者かに奪われた自衛隊の最新型哨戒飛行機の行方を突き止めるため、立ち向かうのは新戦略専門家(ネオストラテジスト)たち。ゲーム理論を駆使して状況の分析・作戦の立案を行う彼らは、自分たちが戦っている相手もまた新戦略専門家に他ならないことに気づいていく。 非合理なものを徹底的に理論的に追い込んでいく快感、そしてそれが不確定要素によりひっくり返されることのマゾヒスティックな嗜虐の連続で、息もつかずに読み切った…