さて、作者としてではなく第三者として私が『ハンチバック』の批評を行うとしたら用いるだろう作品を三作挙げて解説したいと思います。私の執筆スタイルとして、事前の作品構想は緻密ではありません。完成後に自分の書いたものの意味が掴めてくるという感じですので、ここに挙げた作品も、構想段階から組み込むことを企図していたものではありません。あくまで私自身が「一読者」として分析の手がかりにする作品三作です。読みの正解は一人一人の読者の中に! 『冥府の建築家』 冥府の建築家―― ジルベール・クラヴェル伝 作者:田中 純 みすず書房 Amazon 資産家で、背骨の曲がった、芸術家(五七五調)。というところでジルベー…