夏衣まだひとへなるうたた寝に心して吹け秋の初風(拾遺/秋/137/秋の初めに詠み侍ける/安法法師) 夏の(うすい)単衣を着ているだけのうたた寝には、気を遣って吹いてくれ秋の初風よ、という歌*1。秋の巻の一番最初に置かれている。「心して吹け」と命令形であるにもかかわらず、詠者から秋風へのなんとなく気心の知れたというか、甘えた気配がある。気をつけて吹いてほしい(薄着だからあんまり涼しく吹かないでほしい)と願う理由が、通勤中だからとか共感できるものではなくて、ただ薄着でうたた寝しているからというのは、なんというか、ふてぶてしささえ感じられませんか。 それとは別に「心して吹」くなら「秋の初風」だろうな…