性的な虐待体験に対しての否認と抑圧は、本人からはもちろん周囲や社会からも非常に強いために、たとえば近親者によってなされた虐待を見て見ぬふりをされることも少なくない。また、虐待の背景にはその前、三世代に渡って同様の虐待パターンを見ることができることもよく知られている。母親自身が外傷を体験しており、弱く、不安定で、自分の女性性や身体を肯定的にとらえることができない場合には、そのことが女児と母親との関係や母親の身体の認識、そしてそこに生じる空想に影響を与えることになる。娘が父親からの性的虐待を受けているのを見て見ぬふりをされていたといった例もある(McDougall 2004)。母や祖母の世代の女性…