上京の室町通鞍馬口下ル森之木町にある喫茶店の前に立つと「近衛家別邸御花畑屋敷跡。小松帯刀寓居跡」と記された町中(まちなか)で見慣れたそれらのものよりもよほど新しい標石が目に入る。喫茶店の壁に貼った案内を見れば2017年に建てたものである。この薩摩藩家老小松帯刀(こまつたてわき)の家で坂本龍馬を交えて西郷吉之助(隆盛)、大久保一蔵(利通)、桂小五郎(木戸孝允)との間で薩長同盟が結ばれ、その流れに徳川幕府は押し流され木っ端の如く消え失せてしまうのであるが、その場所が二転三転した末に2016年に「ここである」として正式に認められたのだという。はじめ「その場所」は、いまの同志社大学今出川校の地にあった…