大阪弁護士会所属の弁護士
児童ポルノ単純所持罪(7条1項)の無罪判決(大阪地裁r06.4.16) 東京地裁H28、東京高裁H29の流れです。 無罪事件で用いられる文献・判例を紹介しておきます東京地裁のCG事件(東京地裁H28.3.15) https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail3?id=87027 では、34画像中31画像が無罪になっています。 ↓ 控訴審(東京高裁h29.1.24)で追認 d1law 被告人が、不特定多数の者に提供する目的で、衣服をつけない実在する自動の姿態が撮影された画像データを素材として編集した画像データである児童ポルノを製造し、同一のファイルを訴…
青少年条例が、法律の範囲を超えて、16歳から17 歳までの者の性的行為の自由及びそれらの者との性的行為の自由を不当に制限するとして規定違憲をいう点は、同条例が、青少年をその健全な成長を阻害する行為から保護し、青少年の健全な育成を図ることを目的とするものであるから、前提を欠く(最決R6.4.8) 原判決はR5.12で、確定をR6.4以降に延ばすというミッションは達成。ほとんどは4ヶ月以内に棄却されるし、事実誤認だけだと上告趣意書差出最終日から2週間くらいで棄却されることもある。 そういうときは、控訴理由の段階で、最高裁の判断がない論点を挙げる。 よくわからないので、文献を羅列するだけの主張になっ…
「ひそかに、同所側溝内に動画撮影状態にしたスマートフォンを設置し、同スマートフォンで同側溝上を通行中の氏名不詳者12名が身に着けている下着の性的な部位を覆っている部分を撮影した」という性的姿態撮影罪は包括一罪(神戸地裁r6.1.26) 性的姿態撮影罪の保護法益は不同意わいせつ罪と接近した個人的法益だと説明されていますが、足下からの下着盗撮はわいせつ行為ではないので個人的法益が薄まって12人でも包括一罪になりますかね。 法務省逐条説明 第2章前説 【説明】 第2条から第6条までの各罪は、人の意思に反して性的な姿態を撮影したり、これにより生成された性的な姿態の記録を提供するといった行為がなされれば…
小学校教師であった被告人が、勤務先の小学校の女子児童に対して行った、強制わいせつ1件、窃盗1件並びに盗撮による児童ポルノ製造5件及び建造物侵入、迷惑防止条例違反1件の各犯行につき、懲役4年を求刑された事案において、被告人の責任は重いといわざるを得ないが、被告人が反省の弁を述べ、既に児童に関わる仕事からは離れていること、前科のないこと、被告人の罹患するADHDの本件各犯行への影響について否定まではできず、被告人が治療を受け続けると述べていることなどを考慮し、懲役3年、保護観察付きの執行猶予5年間を言い渡した事例(横浜地裁r5.12.6) 提供 TKC 【文献番号】 25596585 【文献種別】…
裸体を撮影送信させる行為について、高裁レベルでは強要罪説(岡山支部H22.12.15、東京高裁H28.2.19)から、強制わいせつ罪説(大阪高裁R03.7.14)に移りつつあるが、最高裁の判断がない状況。 警察に聞かれましたが、大阪高裁は実刑になっていますが、送信させる型強制わいせつ(リモートわいせつ型)は、量刑が軽めなので、1審と控訴審の未決が多くなっているのと、上告未決が何日もらえるかわからないのとで、上告できていません。 文献番号】 25470943 【文献種別】 判決/広島高等裁判所岡山支部(控訴審) 【裁判年月日】 平成22年12月15日 【事件番号】 平成22年(う)第100号 【…
刑法の性犯罪規定(176条3項、177条3項)で刑法の保護対象外となった16~17歳には、性的行為の自由があるかを検討する際の文献 2 青少年側の性的権利について 24 (1)未成年者の人権享有主体性 24 ※佐藤幸司 日本国憲法論 第2版P155 25 (2)青少年側の性的権利について 27 憲法と青少年―未成年者の人権をめぐって2021 28 村西良太「刑罰法規の不明確性と広範性―福岡県青少年保護育成条例事件―」『憲法判例百選Ⅱ 第7 版』(別冊Jurist No.246)有斐閣, 2019, pp.240-241 29 (3) 現行刑法は、青少年側の決定権を重視して、13~16歳に対する…
弁解は、「この条例の罰則は、青少年に対しては適用しないはずだ」でお願いします。 具体的事案も東京高裁の事例とは違うので、勾留はしない方がいいでしょう。 関連記事 https://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2017/08/31/000000 https://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2022/06/06/182837 https://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/20150520/1432096878 https://okumuraosaka.hatenadiary.jp/e…
児童が覚醒して裸でいるのを視野外からスマホで撮影する行為はひそかに製造罪(東京高裁R5.3.30 大阪高裁r5.9.28)だが、児童が熟睡中にスマホで撮るのは、姿態をとらせて製造罪(大阪高裁r5.1.24) 児童を描写する行為の客観的態様についての要件だからカメラを構えてあからさまに撮るような場合は、「ひそかに」にならない筈ですが。 「客観的」と言いながら、児童が具体的に気付いていれば「ひそかに」ではなく、具体的に気付いていなければ「ひそかに」になるいという解釈になっています。 坪井麻友美「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律について」(法曹時…
製造していることは間違いないわけですが、立法者解説では、所定の目的(提供・陳列)もなくただ複製行為するだけというのは製造罪に当たらないと説明されています。 こっそり複製しているので「ひそかに製造罪(7条5項)」になるように読めますが、 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正後) 7条5項 前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。 判例(最決r1.11.12)は、一次製造者(撮影者)が…
DBSでは排除できない初犯の性犯罪を判例DBから挙げてみました。 https://okumuraosaka.hatenadiary.jp/archive/2023/09/05保育士・ベビーシッター・教員・コーチによるわいせつ事件では、前科前歴が指摘されていないこと - 児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com) 結構、件数も多くて刑期も長い事件が多いのですが、これはDBSでは排除で…