日露比較文学研究者。1964年生。筑波大学卒、東京大学大学院比較文学比較文化専攻博士課程中退、つくば国際大学専任講師、ロシア国立サンクト・ペテルブルグ大学助教授の後、筑波大学准教授。父は筑波大学名誉教授の加藤栄一。母方の祖母は生協運動の永谷晴子。 著書に修士論文を刊行した西村伊作伝「大正の夢の設計家」(朝日選書)。
Amazonで、私の「もし『源氏物語』の時代に芥川賞・直木賞があったら」に、sasabonという人が2月26日づけでレビューを書いた。「目くじらを立てるほどではないですが、過去の名作を恣意的に「芥川賞・直木賞」に選定したというお遊び」というタイトルだ。以前はAmazonレビューにはコメント欄があったのだが、なくなってしまったし、私は昨年自分のAmazonレビューを削除されてから、レビューを書くことができなくなり、今Amazonを提訴する準備をしているところだが、なのでここで答える。 まず「恣意的」ということだが、文学であれ美術であれ音楽であれ、最終的には評価は個人の主観であって、いくら説明して…
七田谷まりうす(1940ー2021)という珍奇な名前の俳人のことは、あなたも「文藝年鑑」で見たことがあるでしょう。なだや・まりうすと読み、本名を灘山龍輔という、東大経済学部卒の財界人が、俳句を作る時に使っていた名前です。 私の大学院での同期だった筑波大学教授・加藤百合さんの父上の加藤栄一(1933-)さんは、筑波大学名誉教授で、東大卒ですが官僚出身で、バリバリの右翼反共主義者で、統一教会員で、中川八洋らとともに、日本が共産主義に侵食されないよう、筑波大をその防衛線とした人物ですが、こないだまで「ニコニコ如来」の名でブログをやっていました。私は昔、この方が主催する『樹』という俳句雑誌に、娘さんの…
ちょっと機縁があったので近所の図書館にはなかったが北区図書館から取り寄せてざっとななめ読みした。著者は生年が書いていないが恐らく私より年上で、これは一橋大学の2010年の博士論文で2012年刊行だから著者は50歳を超えていただろう。実にものすごい量の文献を読破していて、これは十年がかりである。力作である。 島田謹二(1901-93)は文化功労者の比較文学者で、東北帝大の英文科を出たあと台北帝国大学教授となり、敗戦直前に香港へ渡ったが敗戦後日本へ引き上げて東大教養学部の英語教授となり、1954年比較文学比較文化の大学院を設置し、芳賀徹、平川祐弘、亀井俊介、小堀桂一郎らを育てた人で、私はいわばその…