五月に公開された映画『銀河鉄道の父』を観た。監督は成島出。門井慶喜の小説『銀河鉄道の父』が原作の映画化作品である。 父を役所広司、賢治を菅田将暉、賢治の妹トシを森七菜、母を坂井真紀、弟の清六を豊田裕大、そして祖父を田中泯が演じている。 冒頭の賢治とトシの二人のシーンは、「永訣の朝」を思い出させる。ラストの鉄道のシーンは「銀河鉄道の夜」を思わせるのだった。 関川夏央著『汽車旅放浪記』の「オホーツク発、銀河行」を読む。 一九二三(大正十二)年、岩手県立花巻農学校教諭となって二年目の夏休みを利用しての樺太旅行を筆者は追体験している。 賢治の樺太行きの表向きの目的は、盛岡高等農林学校を卒業後、王子製紙…