樺太・朝鮮・満州・中国・台湾・仏印・蘭印…広漠たる大東亜共栄圏を旅した稀代の女流作家は激戦の地で、いったい何を“見た"のか─ 「朝日新聞」「毎日新聞」の“従軍作家"となった林芙美子は、母国の兵士たちと寝食を共にしながら、過酷な戦地を駆けめぐった。彼女が自分の目で確かめたかった“本当の戦争"とは何なのか。残された貴重な記録をもとに、その足跡を辿る。 これは、“従軍作家"林芙美子による『大東亜戦争全記録』である─「林芙美子ほど“戦線"を広く踏破した作家はいないだろう。幸い、作家だから多くの記録を残している。これは、宝の山が手つかずに目の前にあるようなものだ。なにしろ、彼女が当時書いたものは、後世の…