冒頭「勝手に撮るな、ここは西成やぞ!」との映っていない人物からの怒号をよそに、炊き出しのおかゆを立ったまま箸で食べる長谷さんがこちらを見るのを捉えるカメラに、素朴な視点のドキュメンタリーだなという印象を受ける。西成という場所を伝えたいのか、怒号の主と「男の、じいさんの町だから」と89歳で越してきた長谷さんの違いを表現したいのか。撮られることに抵抗のない長谷さんに甘えているように見えるし、何度か口に出される「(撮影している)あんたとゲイの男達は全然違う」との言葉がどういう意味であれマジョリティがマイノリティを撮っている事実が全編つきまとう。この映像作品によって男性同性愛者同士の繋がりができたのも…