倉本一宏先生の平氏―公家の盛衰、武家の興亡を読んだ。本書には平氏の誕生の経緯から平清盛一族滅亡後の平氏についてまで詳細に書かれている。平清盛一族が滅亡しても、公家の平氏の一部は都で生き残り、明治の代まで続いていた。 平氏の誕生 桓武天皇の第三皇子の葛原親王が天長二(825)年三月二十四日に淳和天皇に上表して、自らの男女に平朝臣を賜ることを請うたが、この時淳和天皇は認めなかった。再び七月六日に子息の一部を臣籍に降下させることを上表すると、今度は許された。上表は一度では許されないのが通例であるのと、最初は全員であったことが認められなかった理由と推測されている。平というのは桓武天皇が平安京(「多比良…