備後一宮吉備津神社に伝えられた太刀。尾道で活動した刀工・五阿弥長行が制作し、天文二十四年(1555)に寄進された。毛抜形太刀と呼ばれる平安期の様式の模古作とみられ、舞楽の際に使用されたと考えられている。 舞楽太刀 五阿弥派 参考文献 舞楽太刀 毛抜形太刀は、柄に毛抜形の透かしが施されることに由来する。平安中期頃に登場した太刀の一様式であり、日本刀の原型と考えられている。柄(鉄製)と刀身とが接合され、一体となるよう作られている(共鉄造り)。 吉備津神社には「備州尾道五阿弥長行」の銘をもつ2口と、「正光」銘の2口、計4口の毛抜形太刀がある。いずれも平安期の毛抜形太刀の模古作と伝わる。『福山志料』巻…