山口直彦

「妬みは，「いじめ」の原動力である。（土居健郎）」（『看護のための精神医学 第２版』，中井久夫・山口直彦，医学書院） 看護のための精神医学 第2版 作者:久夫, 中井,直彦, 山口 医学書院 Amazon ○自分は不幸であると思い込んでいる人間は，他者の幸せを妬みがちであり（他者の不幸を願い，喜びがちであり），幸せそうに見える他者を自分と同じような不幸な状況に巻き込もうとしがちです。したがって，自分は不幸であると思い込んでいる人間が増えれば増えるほど，世の中は悪意に満ちた殺伐としたものになっていきます。したがって，そのような世の中で暮らしたくない，もっと善意に満ちた温かみや潤いのある世の中で暮…

「私たちを内面的にも外面的にも守ってくれるのは，無名性である。」（『看護のための精神医学 第２版』，中井久夫・山口直彦，医学書院） 看護のための精神医学 第2版 作者:久夫, 中井,直彦, 山口 医学書院 Amazon ○「出る杭（くい）は打たれる」とも言うように，称賛されたり，脚光を浴びたりすることが多くなればなるほど，誹謗中傷（ひぼうちゅうしょう）されたり，罵詈雑言（ばりぞうごん）を浴びせられたりすることも多くなるのが，世の常です。心の平安を乱されることなく自分が好きなことに打ち込みたい，自分が好きなことに全力で打ち込むことによって自分の可能性を十分に花開かせるとともに多少なりとも他者や社…

「一般に「正義われにあり」とか「自分こそ」という気がするときは，一歩下がって考えなおしてみてからでも遅くない。そういうときには視野の幅が狭くなっていることが多い。ここから孤立しがちになる。」（『看護のための精神医学 第２版』，中井久夫・山口直彦，医学書院） 看護のための精神医学 第2版 作者:久夫, 中井,直彦, 山口 医学書院 Amazon ○私たちは，失敗や過ちを犯した他者に対し，すぐに見下したり，嘲笑したり，鬼の首でも取ったかのように騒ぎ立てたり，正義をふりかざして不寛容に責め立てたりしがちです。しかし，正義を振りかざして他者を不寛容に責め立てたりすることは，多少の憂さ晴らしにはなるでし…

「いっしょに山に登るパーティは平等に荷物を配分しても，自分以外の荷が軽そうに見え，自分の荷がいちばん重く思えるものである。ときには，だれかがわざと自分に意地悪くして，いちばん思い荷を背負わされていると思う。」（『看護のための精神医学 第２版』，中井久夫・山口直彦，医学書院） 看護のための精神医学 第2版 作者:久夫, 中井,直彦, 山口 医学書院 Amazon ○私たちは，自分と他者をすぐに比較しがちですが，隣の芝生は青く見えるものですし，自分の荷物が一番重く感じられるものです。したがって，自分と他者との比較をやめない限り，常に不満を抱えながら他者を妬んだり，恨んだりし続けることになってしまい…