駒澤大学の村上光徳さんと共に、「校本長門本平家物語」の作成を思い立った頃のことは本ブログに連載しましたが、当初は国語学の木村晟さんとの3人でやろうという話でした。その後ぐずぐずしている内に(村上さんが忙しかったり、校合に使う伝本の絞り込みにいま一つ躊躇があったり)、麻原美子さんの企画が先に始動しました。 未だ若かった木村晟さんにも何度かお目に掛かりました。古辞書の研究が専門の木村さんは、すでに山内潤三氏と共に『平松家旧蔵本平家物語』の影印を出しておられました(S40=1965 古典刊行会)。それまでは平家物語異本の影印は珍しく、長沢規矩也氏の『延慶本平家物語』(汲古書院3冊本 S39=1964…